大人っぽいラブソングにも挑戦 新境地を切り開いた清水翔太のニューアルバム
清水翔太 | 2011.03.08
日本の生んだ若手実力派シンガーソングーライター、清水翔太。十代でデビューした彼も二十代に突入(現在22歳)し、以前にも増して音楽性や表 現方法の幅を広げつつある。そして、その著しい成長を実感できるのが3rdアルバム『COLORS』(3月9日発売)だ。ここで彼は、かなり大人っぽいラブソングにも挑戦し、新境地を切り開いている。
もちろん、日常風景を切り取った曲も健在だが、今回のアルバムは、かなり思い切った選曲 でのぞんだようだ。6月からはアルバムを掲げた全国ツアーもスタートするので、気になる人はぜひ足を運んでリアルな歌声を聴いて欲しい。彼の意外 な一面が生で見られるかも――。ということで、今回のインタビューでは、主に制作にのぞむ上での葛藤や思いを話してもらった。
- EMTG:まず、タイトルの『COLORS』に、どんな思いをこめたのか教えてください。
- 翔太:実はいろんな思いがあるので、どこから話せば……詳しく話すために、ちょっと前のアルバムの話からしてもいいですか?
- EMTG:もちろん(笑)。
- 翔太:これまでに1stアルバムの『Umbrella』(08年)と2ndアルバムの『Journey』(10年)をリリースしたんですが、1stを出したあとで作品を聴き返した時、荒削りだなって思ったんです。当然、デビュー前に作った曲がほとんどなので、いろんなことに対する意識が足りなかったような気がして。だから、2ndは完璧な作品を作ろうと思って制作に入ったんですよ。でも、少し時間が経ってから2ndに対して思ったのは、あまりにも完璧を追い求めすぎて、逆にまるく収まってるんじゃないかってことだったんですね。
- EMTG:まるく収まるとは?
- 翔太:自分自身の完璧さを求める気持ちもあった上に、いろんな人達からの期待や求められているもの……イメージから離れない清水翔太を演じなければならないって思いが強すぎて、視野が狭まってたんです。もちろん、1stも2ndもいい作品だけど、自分の理想に近づくための反省点として、そう感じたわけです。今思うと、1stには荒削りな感じから生まれるカッコよさもあったし、あの頃の方が、もっと自由に曲作りしてたなと。まぁ、デビュー前だから当然ですけど、デビューして、多くの人に受け入れてもらえたことによって、意識しすぎたんですね。でも、そこで生まれたイメージが、想像より優等生的すぎて、自分が息苦しくなってきたんです。
- EMTG:優等生的……ありますね、それは。
- 翔太:そうなんです!(苦笑)。いい人感を出し過ぎて、マジメな人だと思われて――。
- EMTG:でも、ホントにマジメですよね?
- 翔太:もちろんマジメですよ(笑)。でも、僕はそんなに完璧な人間じゃない。たぶん、このままいったら、パブリック・イメージ通りの音楽しか できなくなるんじゃないかと思ったんです。だからこそ3rdで軌道修正しなきゃないけないと。音楽的セオリーはもちろん、自分以外の人達が求めて いることは気にせず、自分の思うように作ろうって。
- EMTG:だんだん読めてきました(笑)。
- 翔太:で、なぜ『COLORS』なのかと言うと、以前、曲作りは絵を描くことに似てるってたとえたことがあったんですね。これは加藤ミリヤさんと 「Love Forever」「FOREVER LOVE」でコラボした時のインタビューで、「絵を描く時って自分の好きな色で描いていくけど、コラボではそこに自分が全く使わないような色が入ってくるから楽しい」って言ったことがあって。2ndの『Journey』は、あまりに自分の好きな色しか使わなかったから、次はもっとカラフルにしようと感じたのが、3枚目の制作スタートになったと思います。それで『COLORS』ってタイトルにしました。
- EMTG:ここでようやくタイトルの理由が明らかになりましたね(笑)。でも、話をきいていると、非常にベーシックな進化の仕方をされているような気がします。70年代あたりは、アルバムはよく1stは荒削りで2ndは反動で緻密になり、そして3rdに傑作が出来るって言われてたんです。
- 翔太:僕、全くその感じできてるじゃないですか(笑)。今回、傑作になってるのかなぁ。
- EMTG:いや、相当な力作になっていると思いますよ。例えばM-8の「So Good」とか、かなり意外な路線の曲もあるし。このセクシーな歌を翔太君が歌うのか?と(笑)。
- 翔太:ビックリしますよね(苦笑)。
- EMTG:こういうエロティックな歌は、今までなかったじゃないですか。まさにさっき言っていた、これまでのイメージにない歌だし、歌うのに勇気 が必要だったと思いますが。
- 翔太:必要でしたね! 聴いた人がどういう反応をするんだろうとか不安だったりもするし。まぁ、それは「So Good」に限らず、アルバム自体に思うことなんですけど。ただ、僕自身はずっとこういう曲がやりたいと思ってましたし、自宅でデモを作る分には、こういう曲も作ってはいたんですよ。でも、いざ音源として出すとなると……ね。かといって“翔太君、変わっちゃったね”とか“何か好きなことやり始めちゃったね”とかは、思われたくないんです。そうじゃなく、今このアルバムを出すのはファンのみんなを信頼してるからこそなんだってことは伝えたいです。
- EMTG:ファンを信頼しているからこそ、こういうアルバムが出せるんだと。
- 翔太:はい。2枚のアルバムで作ってきた清水翔太らしさを裏切るわけじゃないんだと。これまでたくさんのライブを通していろんな会場でファンと会って、みんなからの愛を肌で感じてることができたし、今ならこういう自分も見せていいかなって思えたんです。あの……僕ってなかなか人と仲良くなれないんですよ(笑)。
- EMTG:自ら言いますか!(笑)。でも、仲良くなれないと、自分の内側は見せられないですよね。
- 翔太:そうなんです!だから、そこまで慎重な僕がこういう作品を出すっていうのは、よっぽどリスナーを信頼していないとできないわけなんです。
- EMTG:相当な決心をされているんですね。
- 翔太:アルバムを作り終えて思ったのは、僕も大人になったんだなって(笑)。
- EMTG:そりゃそうですよ(笑)。一方では、等身大で共感を覚える歌詞の清水翔太らしい曲もたくさん収録されてますよね。
- 翔太:はい。やっぱりリアルさや温度感、生々しさは常に持っていたいので。
- EMTG:さて、アルバム・リリースのあとは6月から全国ツアーが控えてますね。どんなツアーにしたいですか?
- 翔太:何も思いつかないんですよね(笑)。でも、今年のアタマに「2011年の抱負は?」ってきかれて「いいライブをしたい」ってたくさん言ったので、それくらい自分の中ではツアーやライブへの期待が高いので、ちょっと焦っています(笑)。
- EMTG:なるほど(笑)。では最後に……清水翔太っていう人間はホントは何色?
- 翔太:結構、いろんなところで答えているんですけど、アルバム『COLORS』で使われている“R”の薄紫色かな?(笑)。今の気分はそんな感じです!
【 取材・文:海江敦士 】
関連記事
-
清水翔太
清水翔太、カバーアルバム『MELODY』をひっさげた“MELODY TOUR 2013”ツアーファイナルの東京国際フォーラム公演をレポート!
-
清水翔太
-
清水翔太
-
清水翔太
清水翔太feat.小田和正「君さえいれば」は、「人は、何か大切な存在を持つことで、笑顔にもなれるし、強くなれる。そんな“光”を感じる。大切な“君”への歌。」
-
清水翔太
前作「マダオワラナイ」のリリースから約2ヶ月。早くも清水翔太のニューシングル「冬が終わる前に」が完成! 切なさのこもった、それでいてどこか心が安らぐようなウィンターソングは、この冬のマストチューン!
-
清水翔太
アルバム『COLORS』を掲げ、全国ツアーを行っていた清水翔太。アルバムの世界観をどう表現するのかを期待しつつ、ツアー中盤の6月21日の東京公演を取材した。
-
清水翔太
等身大のラブソングが、同世代を中心に圧倒的支持を集めている清水翔太。10枚目のシングル「love」は、王道のバラードで勝負。葛藤の中産まれたという新曲への想いを、じっくりときいてみた。
ビデオコメント
リリース情報
INFORMATION
清水翔太「COLORS TOUR 2011」
◆6月3日(金)
宮城 Zepp Sendai
OPEN18:00/START19:00
[問]GIP 022-222-9999
◆6月5日(日)
北海道 Zepp Sapporo
OPEN17:00/START18:00
[問]SMASH EAST 011-261-5569
◆6月7日(火)
新潟 新潟県民会館
OPEN18:30/START19:00
[問]キョードー北陸チケットセンター 025-245-5100
◆6月9日(木)
愛知 Zepp Nagoya
OPEN18:00/START19:00
[問]サンデ?フォ?クプロモ?ション 052-320-9100
◆6月16日(木)
福岡 Zepp Fukuoka
OPEN18:00/START19:00
[問]キョードー西日本 092-714-0159
◆6月20日(月)
Zepp Tokyo
OPEN18:00/START19:00
[問]H.I.P. 03-3475-9999
◆6月21日(火)
Zepp Tokyo
OPEN18:00/START19:00
[問]H.I.P. 03-3475-9999
◆6月26日(日)
愛媛 松山市総合コミュニティセンター・キャメリアホール
OPEN17:30/START18:00
[問]デューク松山 089-947-3535
◆6月28日(火)
広島 ALSOKホール
OPEN18:30/START19:00
[問]キャンディープロモーション 082-249-8334
◆6月30日(木)
大阪 Zepp Osaka
OPEN18:00/START19:00
[問]キョードーインフォメーション 06-7732-8888
◆7月1日(金)
大阪 Zepp Osaka
OPEN18:00/START19:00
[問]キョードーインフォメーション 06-7732-8888
≫詳細はこちら