清水翔太が自らの恋愛観を盛り込んだシングル「love」を発表
清水翔太 | 2011.06.27
等身大のラブソングが、同世代を中心に圧倒的支持を集めている清水翔太。今年3月にリリースしたアルバム『COLORS』では、アダルトなベクトルの楽曲にも挑戦し、作品の幅をグッと広げてきた。このあと、どんな楽曲を届けてくれるのかと思ったら、10枚目のシングル「love」は、王道のバラードで勝負。実は曲の完成までには、かなりの葛藤があったという。そのあたりも含め、彼自身がどのような思いで制作にのぞんだのかを、じっくりときいてみた。
- EMTG:前回のアルバム(=『COLORS』)では新境地の楽曲に挑戦したりしてましたが、ニュー・シングル『love』は、かなり王道になりましたね。
- 清水翔太:まず、あのアルバムを作ったあと、スランプになりまして--。
- EMTG:えっ? スランプ?
- 清水翔太:そうなんです(苦笑)。何も作れなくなって……。で、何がどう作れないかっていうと、詞が作れなくて。何をメッセージとして発信すればいいのかわからなくなったんですよね。音作りの方はやれてたんですけど、ずっと悩んでました。さらに、そこへ震災が起こって。ますます自分は何をすべきなのかを考えさせられまして。
- EMTG:精神的にシビアな時期でしたね。
- 清水翔太:ホントにずっと曲が作れませんでした。で、そのあと、ようやく自分の作った曲の中で答えが出たんです。順番で言うと、カップリングの「Song for you」についてから話すことになるんですが--。
- EMTG:あ、わかるような気がします。
- 清水翔太:この曲は今、自分がアーティストとして発信すべきだ思って出来た曲なんです。最初はラブソングを書く気になれなくて、でも、だからといって“日本がんばれ!”っていう直接的なことを言うのも違うと感じてて。自分が思っていることは何かを考えて作ったのが「Song for you」だったんです。
僕自身、いろんな人の孤独や悲しみ、苦しみをリアルにわかってあげられないし、背負えない。もちろん、被災していない人達にも僕にも、それぞれ種類は違うけど、苦しみや迷いもあるわけで。そういう時、僕の歌声が、苦しんでいる人達の心に寄り添えたらいいなと。ほんのささいな支えにしかならないかもしれないけど、それでもいいんじゃないか--それが答えだったんですよね。 - EMTG:まずはこの曲を作らないと次に進めなかったのかもしれないですね。
- 清水翔太:そうですね。この曲が出来たことで、スランプから脱出できたと思います。すごく大きな1曲でしたね。大事にしていきたい曲になりました。実は、これをシングルのタイトル曲にしてもいいかと思ったんですけど、きっとこの先、たくさんの“がんばれ”っていう曲が出てくるだろうし、 そこで僕がこれをシングルとして出すのも何となく引っかかって。それでカップリングにしました。「Song for you」は、ただ寄り添っていたいっていう曲ですからね。
- EMTG:じゃあ、そのあとはスムーズに作曲できるように?
- 清水翔太:はい。そのあとすぐに「love」が出来まして。
- EMTG:タイトルがもう……直球です(笑)。
- 清水翔太:恋愛は、人生応援歌よりも僕の年齢的に一番リアルに書けるものだし、今回の曲の中で描かれた恋愛観も、自分にとってはまさにこれなんだって感じなんですよ。それもあって「love」ってタイトルにしました。
- EMTG:恋愛は楽しいだけじゃないし、人を好きになることで、逆に相手を傷つけることもある。それを飲み込んで相手への思いを歌った「love」は究極な恋愛の形だと思います。
- 清水翔太:痛みを伴わない恋愛はないと思うんですよ。相手を大切に思うからこそ傷つけるのは辛いし、悲しいし。でも、人と人である以上、どんなにわかり合っていても、傷つけ合うと思うんです。でも、それでも一緒にいたいと思える人……そういう人とだけ長く続いていくんじゃないかなって。
- EMTG:テーマが広いし深いですねぇ。
- 清水翔太:実は、過去の曲に、テーマと目指したところが似ている曲があるんです。2ndシングルの「アイシテル」なんですけど、今思うとあの曲と 同じような感覚で書いたのに、全然大人になったなって思いますね。
- EMTG:では、「アイシテル」と「love」で共通していると実感するのはどの部分ですか?
- 清水翔太:痛みを伴う恋愛を描いているってことと、夏を感じさせる歌ってところですかね。夏の歌は僕自身すごく好きなんですけど、「love」で もかなり意識してまして。ただ、「アイシテル」の時は蒸し暑い夏って感じだったけど、「love」は、夏だけど涼しいっていう感じ。サウンド的に はそういうみずみずしい感じにしてみました。
- EMTG:すごく大きなテーマの2曲がある中、3曲目の「まっすぐに」もハズせない清水翔太のマストチューンですね!曲を聴いてて“あるよね~”って共感できる部分、等身大の内容がツボです。
- 清水翔太:今、すべておっしゃっていただいた感じなんですけど、この曲は--“あるよね~”っていう曲なんです(笑)。
- EMTG:友達だと思っていたのに、在る日なぜか気になる人になってしまうという(笑)。
- 清水翔太:この曲だけ少し幼い感じですよね。1年くらい前に書いた曲なんです。だから、他の2曲はマジメにガッツリ語る要素があるけど、「まっすぐに」は曲の中で説明しちゃってるし(笑)、これは中学生くらいの子達に聴いて欲しいかも。僕もそのぐらいの時期を思い出しながら書いたんで。
- EMTG:大人でも共感できるますよ(笑)。
- 清水翔太:大人でも、当時の気持ちを今の自分達の恋愛に塗り込んでいくべきですよね(笑)。こういうピュアな気持ちって、年齢を重ねるごとに失っていくものだから。
- EMTG:スランプを乗り越えた今、逆にテーマが広がったんじゃないですか?
- 清水翔太:そうですね。ただ、結局どんな曲を書いても僕でありたいと思うんです。だから、あまり大きなテーマはまだ歌いたくないっていうか。でも、もう少し広い範囲のことをピンポイントで攻めたいっていう気持ちは出てきたかな。これまでテーマをピンポイントで歌ったことはないので。
- EMTG:その結果、今回のシングルが「love」っていうのも象徴的ですね。
- 清水翔太:あとは、僕自身をもっともっと曲に反映させていかなきゃなって思いました。自分の生き方も含めてね。それがないと、アーティストとしての僕に、みんなついてきてくれないと思うから。それだけに自分の言葉が大切しないといけないなって思ってます。
【 取材・文:海江敦士 】
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