SEKAI NO OWARIがニューアルバム『ENTERTAINMENT』をリリース!!
SEKAI NO OWARI | 2012.07.17
- EMTG:本作品集の全てを象徴しているような、そしてまたこのワードからもさまざまなイメージが想起できるような、『ENTERTAINMENT』というタイトルを掲げたアルバムが完成しました。新たなステージのきっかけとなった、と以前おっしゃっていた「眠り姫」を経てのアルバムですけれど、具体的なヴィジョンなどは描いていらっしゃったのでしょうか?
- 深瀬:いえ。“アルバムを作ろう!”と思ってそのために曲を作っていったわけではなく、“できたものを入れました”という形なので、すごく自由に作っていった感じですね。もともと“コンセプトがある”ということが嫌いですし。アルバムって、基本的には“記録”だと思っているんです。で、『EARTH』というアルバムを発表してから2年3ヶ月経っているんですけれど、その約2年半という僕たちが生きてきた歳月にはコンセプトというものはなかった。ですから、この『ENTERTAINMENT』は、『EARTH』を完成させてからの“コンセプトなしの僕らの2年半の記録”だと思っています。
- EMTG:コンセプトは立てない、というのは、これまでの皆さんの活動を見てきても納得のいくところです。ただ、気持ちの中での指針や旗印のようなものはありませんでしたか?
- 深瀬:僕はありました、イメージは。いつものことですけれど、何かに特定されたりカテゴライズされたりするのがイヤなので、、、、、、例えばポップなものを“白い”と表現すると、その白いものができたら黒いものがほしくなるし、黒いものができたら白いものがほしくなる、、、、、、。というところではバランスをとって、1曲できるごとに調整をしていきました。それと、とにかく飽きないものにする、ということは意識しましたね。ですから、1曲1曲にパワーがあって、アルバムのどこから始まっても、聴いてもらってもカッコいいものという構成は心がけたつもりです。“1曲勝負”でしたね、どの曲に対しても必ず。僕、曲を作るときは木しか見ていない。森では見ていないんですよ。アルバムのためにその1曲があるわけではないし、すごい木が16本あれば、それはそれでいい森になるんじゃないか、と信じてやっているので。
- 藤崎:深瀬となかじんを見ていると、特に深瀬はそうなんですが、何に対しても“とりあえず”ということにものすごく嫌悪感があるんです。だから、アルバムにシングルのカップリング曲も当たり前のこととして入れているんですけれど。普通は入れないことが多いみたいなんですが、私たちは1曲1曲どの楽曲に対しても同じ熱量を注いできているので、入れない理由がないというか。
- EMTG:バランスのお話が出ましたけれど、細かい部分を含めてのジャッジはどのようなところを軸にされていったのでしょうか?
- 深瀬:僕ら、誰かの感覚で突破していくようなことはしないので。だから、なかじんが挑戦的なアレンジをするときは僕が引いた立場から見たり、逆に僕が挑戦的なアイデアを進めるとなかじんがアドバイスをくれたり。そのアイデアやトライを実現可能なものにしていくために、よりよいやり方をみんなで考えていくというところですね。
- 中島:「天使と悪魔」の歌詞みたいだよね。“「賛成」と「反対」の間に「答」が生まれればいい”という。だから曲のアレンジひとつとっても、僕と彩織ちゃんとLOVEが“これはこっちのほうがいいね”って言ってるものに対して、深瀬はあえて反対意見をぶつけたりする。実はそんなに反対しているわけではないときも、一石を投じるためにあえて石を拾ってくる(笑)。
- 藤崎:わかる、それすごく(笑)。本気でダメだと思っているときと、一石を投じることで“それが本当にいいのかもう1回考えてみる”っていうときと両方あるんですよ。
- 中島:みんなの意見が凝り固まっているんじゃないかと思うときは、ちょっと鼓舞するっぽいような石をあえて投じてくる、、、、、、ときもあれば、、、、、、。
- 深瀬:石をバーン!って弾き返されるときもある(笑)。僕の石の投げ方にも、ホントに倒してやろうという石と“大丈夫かな?”って思ってヒュルッて投げる石とふたつあって。やっぱり柔軟性は大切にしていきたいので。
- EMTG:ちなみに、アレンジの最終形が決まるまでにメンバー間でのやりとりがいちばん多かった楽曲というと?
- 藤崎:「眠り姫」です。いちばん討論があって、しかも二転三転したので。「眠り姫」以降にやった曲はスムーズなイメージもあるし、、、、、、あの曲でちょっと成長したんじゃないか、とも思います。
- 深瀬:うん。前衛的にアグレッシヴに攻める部分と守る部分にすごく苦労したというか。
- 中島:そのバランスがここで決まったような感じかもしれない。「眠り姫」はメロディ、歌の力が強力でしたから。でも「眠り姫」に限らないことなんですけれど、メロディが強力であればあるほど強力な楽器、フレーズ、音をぶつけられるんです。ただ、“アレンジでどうにかすればいい”というような根拠のない希望は持っていないですね。メロディが生まれた最初の段階から妥協せずに取り組んでいますし、“歌がしっかり届く”ということがいちばん大事なので、そこはすごく心がけてやっています。
- 深瀬:そう!今回のアルバムに入れた楽曲の制作で“奇抜なことをしよう”と思ったことは1回もないんですよ。『EARTH』のときにはありましたけど。メロディがポップであればあるほど自然とアレンジの幅も広がる、ということもわかったので。
- EMTG:でも、先ほどの“すごい木”の例えで言えば、“新種の木に見たこともない花が咲いている”という感じの楽曲ばかりでワクワクしますよ。「Love the warz」などは、初めてライヴで聴いたときにものすごい衝撃を受けましたし。
- 深瀬:「Love the warz」は、レコーディングは結構大変だったんです。CDに落とし込むのがすごく難しかったんですよ。
- 藤崎:もうライヴで何度もやっている曲なので、ヴィジョンがみんなの中にありすぎて。お客さんがいる曲、になっていたんですよね。
- 中島:しかもデカい会場でやってたイメージが強くて。で、“たぶんこれが「Love the warz」だ”って思っていた部分がCDには落とし込みづらかったんです。
- 深瀬:でも、ライヴを表現しようという考えは違うな、と思って。音源には音源の良さがあるので、そこを重視して完成させていきました。
- EMTG:ラストに収められている「深い森」も一聴ポップですが、すさまじい世界観ですよね。これまでのSEKAI NO OWARIの楽曲の中でもいちばん強烈というか、鮮烈に感じます。
- 深瀬:そうですね。うん。このアルバムだと、「Love the warz」か「深い森」がいちばん過激なんじゃないでしょうか。
- 藤崎:これはお気に入りですね。イントロのピアノのフレーズは私がこのバンドに入る前からあるので、原曲ができたのはかなり前です。で、イメージを膨らませながら時間をかけて作ってきた楽曲ですね。
- 深瀬:“End of the world”という言葉がこの曲の中に出てくるんですけれど。僕、SEKAI NO OWARIというバンド名はそこからインスピレーションを受けた記憶があります。この曲の原形は、バンドより先に生まれていましたから。形になるまでにはかなり時間がかかりましたけど、英語にしてオートチューンを使ったことでようやく完成しました。
- 藤崎:育てていって、なかじんの狂ったギターソロ(笑)も入って。
- 中島:ハイテンションですよね(笑)。あのギターソロを作るのに、1曲ぶんのメロディを仕上げるくらいの労力と時間がかかりました(苦笑)。でも、この楽曲をいちばん最後に収録することで、アルバムとしての世界観も面白いものになったと思います。
- EMTG:なんともいえない余韻がありますよね。最後に大きな杭を打たれるという感覚もあるし。この曲聴き終えて、すぐに1曲目からリピートできないですから。だって、1曲目の「The Entrance」では、、、、、、。
- 藤崎:優しい顔してるけど(笑)。でも、、、、、、。
- DJ LOVE:もう一度、「深い森」まで連れて行ってやろうか!っていう、ね(一同笑)。
- 深瀬:この曲がなぜ最後になったかっていうと、後ろに連結できる曲がなかったからなんです(苦笑)。もともとこの曲が浮かんだとき、すでに“アルバムの最後の曲になるだろうな”とは思っていたんですけれど。でも、この曲は僕らにとってのアンセム的な存在になってほしい、と思う楽曲ですね。
- EMTG:過激、というわけではないですけれど、「illusion」の歌詞は今の時代に鋭く斬り込んでいて、いろいろ考えさせられました。
- 深瀬:あぁ、そうですね、、、、、、。この歌は、僕より下の世代に向けて歌っているんですけれど。歌詞というよりは、論文みたいな感じで書いています。かなり強い気持ちで書きました、この作品は。
- EMTG:ところで。アレンジとリンクするところで、楽器や機材のセレクトには毎回LOVEさんの拘りが表れていますが。今回、“全て狙いどおりに、スムーズにバシッとハマったな”と感じられた楽曲というと?
- DJ LOVE:どの曲も最終的には狙いどおりなんですけれど、レコーディング前日に“録るから機材を集めなきゃ”という話になったにも関わらずドンピシャでハマったのは、「炎の戦士」ですね。これまでの経験を生かして、閃いた機材を使ってみたらすごく良かったんです。読みが当たった、というか。
- 中島:「炎の戦士」は、レコーディングを進めていく終盤戦にできた楽曲です。こんなに短期間で曲を仕上げてレコーディングするのは、僕らとしては異例中の異例というくらいで、集中して勢いで作り上げました。でもだからこそ、いい意味で吟味しすぎないというか、、、、、、、詞にしろ曲にしろアレンジにしろ、すごく僕らしいものが出たような気がします。
- DJ LOVE:今回、楽器いろいろ入ってますよ。楽曲ごとに楽器を替えているので、音色はすごくカラフルになっているんじゃないかな、と思います。
- 中島:僕、初めてマンドリンを弾きました。
- 藤崎:管楽器の生も入ってるし。『EARTH』のときは完全に4人でしたから。
- 深瀬:もうバンドっていう感じじゃないよね。『EARTH』のときがバンドだったとすると、『ENTERTAINMENT』はクリエイター集団になった感じですね。極端なこと言うと。
- EMTG:あ!それ、すごくわかりますね。音楽そのものではないところも含めると、さらにその感じが強く表れますし。ではそのクリエイター集団による『ENTERTAINMENT』。このアルバムタイトルに関してはもう、説明不用な気もしますけれど、、、、、、。
- 藤崎:もう絶対これしかない!と思いました。いくつか候補が出たんですけれど、“何を言ってるんだ!?”と一蹴して(笑)。
- 深瀬:深い意味があればあるほどダサい気がするんです。このタイトルは、深い意味のない、でも意味を限定しない良さがあると思います。
- 藤崎:ツアータイトルも、Zeepツアーを含めて早々にこれに決めていましたから(笑)。
- EMTG:たしかに。で、このタイトルを掲げた、今度はホールツアーが控えていますが。
- 藤崎:初めて行く場所がかなり多いので、“初めまして”の気持ちを大切にして各地行きたいと思っています。選曲、演出に関してはいろいろなアイデアを着々と進めていますので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。
【取材・文:竹内美保】
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