PUSHIMのニューシングルは、柔らかさに満ちたミディアム・バラード
PUSHIM | 2012.10.08
柔らかい音楽というものがある。PUSHIMのニューシングル「夕陽」は、まさに柔らかさに満ちたミディアム・バラードだ。懐かしくて切ない情景が、オーセンティックなレゲエのスタイルである“ワン・ドロップ”=ずっと同じコードとリズムの繰り返しの中でエモーショナルに歌われる。それはPUSHIMというアーティストの音楽性が、キャリアを積む中で熟成していったからこその“収穫”だ。
一方、カップリングの「One Night...」はワンナイトスタンドの恋愛をエロティックに描くダンスホール・レゲエだが、スリリングなリリックなのにこれも柔らかさを感じさせるのは、やはりPUSHIMのキャリアが成せるワザなのかも(失礼!!)。
その他、今年4月に行なわれた所属の“キューンミュージック”20周年イベントのライブが収録されていて、彼女のライブ・アーティストとしての魅力もたっぷり楽しめる。
三軒茶屋のゆったりしたカフェで、インタビューは始まった。
- EMTG:「夕陽」はどんな風にできた曲なんですか?
- PUSHIM:今年の5月にプライベートで初めてハワイに行って、そのときに作ったんです。
- EMTG:それって全然、プライベートじゃないじゃないですか(笑)。
- PUSHIM:初めて行く場所だから、何かヒントがあるんじゃないかって。ハワイで久しぶりにゆっくり夕陽を見てたら、たぶんみんなが思うことと同じで「頑張ろう」っていう気持ちになったので、それを素直に歌にしようって思ったんですよ。それは逆に、プライベートだからこそできたことなのかもしれない(笑)。
- EMTG:なるほど。
- PUSHIM:まあ、”秋には何かリリースしたいな…”って思ってたし、6月にジャマイカにレコーディングに行くから、”ミックスはそこでやれるな…”と思ってたし。
- EMTG:なんだ、やっぱり仕事モードじゃないですか(笑)。
- PUSHIM:そうかもね(笑)。サボるのは好きだけど・・・。
- EMTG:貧乏性!
- PUSHIM:(笑)。
- EMTG:「夕陽」は本当にゆったりしていて、ワン・ドロップの曲が新鮮に聴こえた。
- PUSHIM:ずっと追いかけてきたジャマイカの音楽も今は進化していて、ワン・ドロップとかよくあるレゲエが薄れてきているんです。80年代からアメリカのR&Bやヒップホップの影響で、洗練されたダンスホールっていうスタイルが主流になって、10代や20代がダンスホールを好んで聴くようになっていったし。私も「One Night...」みたいなダンスホールもやってるんだけど、今回のシングルのリード曲はこちゃこちゃしたのよりも、もう一回シンプルなものに戻ってみようと思ったんです。私も年を取ったのかな(笑)。
- EMTG:そんなことないです(笑)。今、日本の音楽シーンも曲が複雑になり過ぎてるから、フレッシュに響いてくる。
- PUSHIM:シンプルなコードの上で、「夕陽」のメロディはツルッとできました。歌詞もすぐにできたし。
- EMTG:歌詞もハワイで書いちゃったんですか?
- PUSHIM:いや、日本に帰ってきたから。ハワイでは寝てました。
- EMTG:あははは。でもすごく励まされる歌詞ですね。
- PUSHIM:リスナーにも私にも、こういう曲が必要だと思ったんですよね。私の歌詞はいつでも同じようなことを言ってて、でもそれを無理やり変えなかった。自然に素直に出てきたものを歌ったんです。
- EMTG:だからリラックスして聴けるのかな。
- PUSHIM:自分の役割をわかってるつもりなので、その役割と、自分から素直に出たものが一致したっていう。みんな、落ち着ける場所が欲しいんじゃないかな。「夕陽」はめちゃシンプルで、シングルっぽくないけど、今、そういう曲を出すことは、ある意味、反逆でもあるし。
- EMTG:そうですね。では、「One Night...」の方は?
- PUSHIM:これはジャマイカで活動している日本人のレーベル“GACHAPAN RECORDS”の二人のプロデュースです。実はこれ、“GACHAPAN RECORDS”のコンピ・アルバム用にもらったトラックで作ったんだけど、コンピより先に出させてもらいました(笑)。
- EMTG:空間のあるサウンドが気持ちいい。
- PUSHIM:最近、ジャマイカのダンスホールは、R&BやHIP HOPのような洗練されたものになってきていて。そういうサウンドを、作品として試してみたかったんです。それと、昔のジャマイカの人って、アグレッシヴでガツガツ歌ってたけど、最近の若いボーカルはクールなんです。エナジーだけで歌うんじゃなくて、抑えて歌う。それがまた心地よかったりして。だから、私も最近はこういう曲調のものも“引き算“でつくっています。
- EMTG:歌詞が、ちょっとエロい(笑)。どんなところから作ったんですか?
- PUSHIM:自分の経験上から(笑)。
- EMTG:あは。歌の主人公の推定年齢は?
- PUSHIM:25才以上じゃないでしょうか(笑)。普通にクラブで起こってることっていうか。クラブでイケメン探しても、そんなにいるわけじゃない。となると、話してて面白い男じゃないと、一緒に踊る以上には行かないっていう。後はリスナーの人の想像に任せます(笑)。
- EMTG:はい、想像してみます(笑)。そして、今年の春のライブ音源も入ってる。
- PUSHIM:「a song dedicated?one unity version?」は、昔の曲なんですけど、震災の後に仲間のボーカリストたちに参加してもらって、みんなで一緒に作れた。こういう歌こそ、シェアして歌うことに意味がある。その生まれ変わったバージョンを、キューンの20周年イベントで、初めてライブで実現できたんですよ。今回、それを絶対に入れたかったんです。
- EMTG:他にも定番の「FOREVER」のライブも入ってる。
- PUSHIM:はい、そうです。今の時代、ボリュームが大事ですから。
- EMTG:あはは。
- PUSHIM:いろんな意味で、自分の役割はわかってるシングルです。ぜひ、聴いてみてください!!
【取材・文:平山雄一】
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Christophe Mae「La rumeur」
テレビで観て、"凄くいい曲やなぁ..."と思って、(パソコンで)ちゃかちゃかちゃかちゃか探してみたんです(笑)。そうしたら、 出てきたんですよ。フランス人のChristophe Maeさんの「La rumeur(噂)」(2010年)という曲で、それ以来、よく聴いています。見つかってホントよかったなと。
■ライブ情報
SOUL REBEL 2012
2012/10/20(土)日比谷野外大音楽堂
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
Christophe Mae「La rumeur」
テレビで観て、"凄くいい曲やなぁ..."と思って、(パソコンで)ちゃかちゃかちゃかちゃか探してみたんです(笑)。そうしたら、 出てきたんですよ。フランス人のChristophe Maeさんの「La rumeur(噂)」(2010年)という曲で、それ以来、よく聴いています。見つかってホントよかったなと。
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2012/10/20(土)日比谷野外大音楽堂
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