The Mirraz特集スタート! 第一回は畠山がメジャー1stアルバムについて語る!

The Mirraz | 2013.02.01

 インディーズでの精力的な活動を経て、昨年10月にメジャー移籍。リリースした2枚のシングル『僕らは/気持ち悪りぃ』『傷名/うるせー』で圧倒的な存在感を示したThe Mirrazが、アルバム『選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ』を完成させた。シャープに刻まれるリフ、骨太なグルーヴ、ビートを巧みに乗りこなしながら言葉とエモーションを溢れ返らせるボーカル……などなど、彼らならではのスタイルが鮮やかに発揮されている1枚だ。今作について畠山承平(Vo・G)が語る。

EMTG:全体像に関して、何か考えていたことはありました?
畠山:メジャーに来て1枚目のアルバムなので、バンドの代名詞的なものを作りたいなと思っていました。より多くの人に聴かれるチャンスですから。ベースやギターのリフっていうのは、より強く出ていると思うし、言葉数の多さも、より強く出ていますね。
EMTG:ミイラズってダンスミュージックとしての強力さも持っているバンドだとも感じるんですけど、その点に関してはどう思います?
畠山:僕はライブハウスやクラブで踊りたいとはあんまり思わないんですけど、ビート感が強いロックは好きで。それで、こういうものになっていくんでしょうね。
EMTG:例えば「僕らは」は、シンセとかを中心にしたアレンジにしたら、すごくクラブミュージック的なものになりそうですよ。
畠山:「僕らは」は、「ダブステップみたいなビートを使いたい」っていうのがあって。でも、そういう要素を使いつつ、あんまりマニアックにならないものにしたかった。「ギターのリフを前に出してロックな感じにしつつも、実はビートはクラブ寄り」っていうものにすると、面白い世界観が出来そうだなと。「傷名」も、そんなようなことをみんなで話し合いましたね。
EMTG:「encode」も、すごくカッコいいです。ビートの利いたロックでありつつ、打ち込みに通じる硬質な風味が絶妙に醸し出されているのが独特です。
畠山:これは新しいことが出来たっていう印象があって。優しい曲なんだけど、心の奥底に届く曲でもあるし、心が開放される側面もある。なんか新しいものが出来たのが嬉しかったです。
EMTG:ミイラズってキャッチーに聴かせつつ、実はサウンドメイキングが緻密ですよね。
畠山:「気持ち悪りぃ」や「うるせー」みたいな、歌詞やメッセージのキャッチーさが前面に出るのが僕は好きなんですけど、その裏で音楽的な部分、バンドにしか出来ないものをちゃんとやりたいんです。音楽ってものを純粋に楽しみつつ、より新しいものを生み出していこうとするポリシーみたいなものがある形態が「バンド」だと思うんですよ。そこはやっぱり徹底してやりたいです。
EMTG:あと、歌詞も刺激的ですね。まず、今回感じたのは、ミイラズの音楽って、すごく本質的にはポジティブだなということです。かなり毒を吐いているのはたしかですけど、根底は前へ進むことを見据えていますよね。
畠山:一番大事な部分って毒づいているところではないんですよね。僕なんかはそうなんですけど、「なんで音楽が必要なのか?」って問われれば、「生きてくための光、希望とか、1つの答えみたいなものを求めているから」なのかなと。僕はそういうものがあるのが好き。だから僕も誰かにとっての答えになるようなものは提示したい。そういう想いは常にあるんです。でも、1つの曲が全ての人の答えになるわけではないとも思うので、極端な答えをアルバムの中でいくつも用意出来たら面白いなと。そんなことは考えていました。
EMTG:例えば「スーパーフレア」も、すごく根底はポジティブですよね。「もし終末が来たとしても、自分のやるべきことをやるだけ」っていうような、不可抗力をただ嘆くのではない姿勢を感じました。
畠山:僕の個人的なことを歌っているようにも聞こえるかもしれないけど、それはそれでいいかなと。主人公を「歌ってる人」にしていますけど、それは聴く人それぞれの何かに置き替えてもらえばいいかなと思っていました。
EMTG:でも、真剣なメッセージ性がありつつ、ウィットが煌めくのも、ミイラズの魅力ですよ。《感情的に泣いたっていいし 埼京線で吐いたっていいし》っていう「スーパーフレア」の歌詞の音遊びは、大笑いしました(笑)。
畠山:はいはい(笑)。真剣な部分だけだとメッセージがヘヴィになり過ぎてしまうので、そういうところで余裕を持たせるのは音楽としても面白いと思うんです。
EMTG:歌詞の書き方に関して、何か変化って出てきたりしています?
畠山:「曲の世界観をより、推し進めてくれるものでありたい」っていうのをすごく思うようになっていて。今までのミイラズって「言いたいことをすごく言っているバンド」「言いたいことを代弁してくれる」っていう印象があったと思うんですけど、そういう部分も捨てずに、よりもっとイメージ的なことを伝える歌詞でありたい。例えば、どういう家具を置くかで部屋の雰囲気って決まるじゃないですか。そういう感覚で言葉を選んで、世界観を醸し出すようになっていますね。
EMTG:「De La Warr」とか「ウ□ボ□ス」って、謎かけっぽい。こういうのは、まさに今おっしゃった「世界観を推し進める歌詞」だからこそのテイストじゃないですか?
畠山:そうですね。言いたいことを直接言うっていうよりは、ちょっと隠してみたい感じもあったりして。聴く人が自分なりの解釈が出来るものを書くのも、ミイラズとして新しいかなと思って。
EMTG:「De La Warr」のタイトルの読み方は「デラウェア」?
畠山:本当は「デラワー」って読むんですけど。僕は「デラウェア」って呼んじゃってます。「De La Warr」って歴史上の人物の名前。その人はアメリカに植民地を作りに行った人。インディアンに「1日で歩いた分だけ土地を売って欲しい」って言って、「いいですよ」ってことになったんですけど、いっぱい人を連れてきて、ものすごい広さの土地を手に入れちゃったそうです。ブドウのデラウェアはその人とは関係ないんですけど、リンクさせた言葉遊びをしています。現実的なものと非現実的なものが繋がる感じ、歌詞がサイケに壊れている感じのことが出来たら面白いなと思ったんです。
EMTG:これもウィットをすごく感じますよ。
畠山:「主人公がぶどうを食べながら怒ってる」ってことを想像すると面白いなと思って(笑)。そういう映像を思いついた時に、「滑稽だけど真理を描いているな」と。
EMTG:こうやってお話を伺って改めて思うんですけど、メッセージ、奥行き深い世界、ウィット、多彩なイメージが絶妙なバランスで融け合っているアルバムですね。
畠山:やっぱり音楽なので、そうありたいです。歌詞がいいと思って聴いても、歌詞だけ見ると滑稽に見えたり、当たり前に思えてしまうものってあるじゃないですか。でも、そういう歌詞も音楽に乗ることで素晴らしいメッセージになったり、説得力を持ったりもする。あるいは逆に、わけが分からない感じだけど、音楽に乗ることですごく意味を持って届いてくるものもある。そういうのって音楽だからこその武器だと思ったので、今回のアルバムに関しては全体的な世界観とメッセージのバランスは考えました。音楽と歌詞のバランスは、意識して作ったアルバムですね。今までは勢いでドカッと乗せて作る感じだったので、そこは変化かも。ご飯で喩えるなら、前までは豚バラ丼みたい(笑)。今回は別々の食器に盛り付けて出して、ソースも別に用意していて、「美味しくお召し上がりください」みたいな感じなのかもしれないですね。
EMTG:『選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ』っていうタイトルも粋ですね。メジャーに来たってことも言い表わしているし、いろんな曲で描いていることに通じる意味合いも帯びているじゃないですか。
畠山:今回は曲も歌詞の世界観も自然の成り行きに任せたところがあって。自然と降りてくるのを待って作った感覚が強い。「音楽の方が僕を選んでやって来たんじゃないか?」っていう感覚があったんです。あと、人が生まれてくる理由がそうであったら嬉しいという想いもありますし。そういう意味合いがいろいろあるタイトルなんですよね。
EMTG:4月から始まるツアーも、刺激的なことになりそうですね。
畠山:今回のアルバムは、ライブでずっとやっていきたいと思える曲がいっぱいあるんですよ。そういう点でも、いいものになったなと思っています。

【取材・文:田中 大】

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リリース情報

選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ(初回盤)

選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ(初回盤)

2013年02月13日

EMIミュージックジャパン

1. 気持ち悪りぃ
2. スーパーフレア
3. encode
4. 僕らは
5. HELL’S DRIVE
6. うるせー
7. クッキー
8. De La Warr
9. ウ□ボ□ス
10. 傷名
11. S.T.A.Y.
12. きっと、きっとね
13. Fuck you very much

<初回限定スペシャルBOX封入GOODS内容>
・キノイ君人形
・ミイラのキノイ君・絵本シリーズ♯02「選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ」
・畠山監督MVバッジ3個セット
・「選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ」イメージ原画ステッカー

<初回限定スペシャルBOX、初回限定盤付属DVD収録内容>
MUSIC VIDEO
・僕らは
・気持ち悪りぃ
・傷名
・うるせー
・スーパーフレア
・S.T.A.Y.

LIVE at 代官山UNIT 20120716(niconico)
・CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい
・シスター
・僕はスーパーマン
・check it out! check it out! check it out! check it out!
・Make Some Noizeeeeeeeeeeee!!!!
・ハッピーアイスクリーム
・ラストナンバー

KINOI TV 特別編(Tour Document)

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お知らせ

■ライブ情報

EMI ROCKS SENDAI
2013/02/02(土)夢メッセみやぎ

音エモン presents
LIVE BURGER vol.7

2013/02/21(木)OSAKA MUSE

ロック頂上決戦 ver.1.0 ~EMI vs VICTORの巻~
2013/02/23(土)SHIBUYA-AX

選ばれてそこに行くんじゃなく、選んでそこに行くんだツアー
2013/04/06(土)横浜BLITZ
2013/04/11(木)高松DIME
2013/04/12(金)高知X-pt.
2013/04/14(日)京都磔磔
2013/04/17(水)浜松窓枠
2013/04/19(金)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
2013/04/20(土)広島ナミキジャンクション
2013/05/03(金)帯広REST
2013/05/04(土)札幌CUBE GARDEN
2013/05/17(金)名古屋ダイアモンドホール
2013/05/19(日)福岡BEAT STATION
2013/05/23(木)金沢VanVanV4
2013/05/24(金)新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
2013/05/30(木)仙台CLUB JUNK BOX
2013/06/01(土)盛岡CLUB CHANGE
2013/06/02(日)青森QUARTER
2013/06/09(日)大阪BIG CAT
2013/06/15(土)ZEPP DAIVERCITY TOKYO

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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