Base Ball Bear、初のベストアルバムとニューシングルを同日リリース!

Base Ball Bear | 2013.02.08

 2006年のメジャーデビューから2012年の「初恋」に至るまでの軌跡を凝縮した初のベストアルバム『バンドBのベスト』と、ニューシングル「PERFECT BLUE」が同時リリースされる。掲載スペースの関係で原稿に盛り込むことが出来なかったが……サンバテイストのリズムを彼ら流に料理した「アイノシタイ」/ごく普通の女性のごく普通の体験の中にある大きなドラマを浮き彫りにする「Typical Girl」──「PERFECT BLUE」のカップリング曲も最高の仕上がりなので要チェック! ベスト盤とシングルの表題曲について、4人に語ってもらった。

EMTG:シングルとベスト盤の同時リリースですね。
小出:そうなんです。ベスト盤の初回生産分は、シングルと同梱出来る仕様でして。だったら、それぞれが地続きになっているものにしたいと思っていました。「PERFECT BLUE」は、ウチのバンドの王道っぽいサウンドですね。でも、こういう内容の曲は久々。『新呼吸』を作っていた時は、こういうのをやっていなかったから。
EMTG:「PERFECT BLUE」は、リスナーによっていろいろな解釈が出来そうですね。
小出:思春期の淡い思い出を描いた爽やかな曲としても捉えられるだろうし、弔いの曲としても聴けるだろうし。例えば、曲の中に空が出てきますけど、「青と白」っていうものもいろいろなイメージがあるじゃないですか。お葬式って「くじら」と呼ばれる白と黒の幕を張りますけど、あれって地方によっては青と白。伊丹十三の『お葬式』っていう映画でそれが出てくるんです。僕の中で青と白って、そういうイメージもあって。爽やかでもありつつ、死の印象もあるんですよ。
堀之内:俺も青と白の幕を見たことがあるので、そういう翳りのイメージがあるのは、よく分かりますね。
EMTG:「PERFECT BLUE」って、聴き進めていくと随所で翳りが浮かび上がるのが独特だと思います。
小出:ラジオでオンエアしたんですけど、「爽やかな曲ですね」っていう感想も来ていて、それも自然だなと思っています。多分、リリースされて歌詞を読んでもらったら、また変わってくるでしょうね。それは「してやったり」っていう感じがあります(笑)。
関根:歌詞もサウンドも二面性がありますよね。そういう点で、ウチのバンドの王道。でも、コード進行に関しては、実は新しいことをやっていたりもするんですよ。聴いている分には気づかなくてもいいんですけど(笑)。でも、そういう今までにやっていなかったところも入っているのが気に入っています。
EMTG:将平さんは、この曲に関してどうですか?
湯浅:……みんなの言う通りだと思います(笑)。
EMTG:ベスト盤を出す節目を迎えましたが、デビュー時と変わらず寡黙なのが、なんだかとても嬉しいです(笑)。
堀之内:たしかに何も変わっていない(笑)。
湯浅:(笑)いろいろな捉え方がありそうだというのは、僕もそう思います。
小出:今、お渡ししている資料の歌詞は横書きですけど、CDだと縦書きなんですよ。より、言葉が入ってくると思います。《君は翔んだ》とか。
EMTG:思春期の翳り、死と近しい雰囲気って、改めて振り返ると、度々描いてきたものですよね。危うさを抱えた女の子も度々モチーフにしてきていますし。
小出:僕の女の子にまつわる原風景があるんですよ。小5くらいの時に、同じクラスの女の子が隣の学区に引っ越して。それ以来、その子の噂は全然聞かなくなったんですけど、小6の時に突然話を聞いて……。ウチの小学校の真裏の児童館の屋上から飛び降りたと。「警察とかが来て、すごい騒ぎになったらしいよ」とか「死んじゃったらしいよ」っていう話は聞いたんですけど、僕は現場を見ていない。「らしいよ」の話ばかりだったので、彼女が本当にどうなったのかは僕には分からなかったんです。でも、見てもいない映像が僕の中ですごく残っていて。それから15年以上経ったけど、本当はどうだったのか未だに知りません。その結果、イメージだけがどんどん磨かれている。幼い頃の思い出にそういうのが混じっているっていうのが、今でも僕にとって大きいんですよね。なんか、そこに触れたくなるんですよ。歌にして、ストーリーに盛り込むことで、そのイメージがお焚き上げされると言うか。
EMTG:今おっしゃったようなイメージの断片は、今回のベスト盤のいろいろな曲の中にも発見出来ますね。そういう観点で向き合ってみるのも1つの聴き方かもしれない。
小出:うん。そうでしょうね。
EMTG:では、ベスト盤のお話へ行きましょうか。どういう経緯で出すことになったんですか?
小出:「2013年をどういう感じでやっていくか?」っていう話をした時に、「シングルは早めに出そう」っていうことになって。でも、CDを出すのは久々だし、それ以外にもう1個何かが欲しいなと思ったんです。そこで「じゃあ、ベストも出したらどうですか?」って、僕からディレクターに提案したんですよ。
EMTG:ベスト盤って、レコード会社からの提案で出すことが多いですけどね。
小出:そうなんですよ。だから「コイちゃん、ベスト出したい人なの!?」っていう感じの反応で(笑)。そこから始まりました。『新呼吸』を出した後くらいから「そろそろ言われるかな?」ってずっと思っていたんですけど、誰からも言われないから自分から言いました(笑)。
EMTG:(笑)みなさんの進化の歴史が、このベストを聴くとすごく分かります。
小出:自分たちの音がどんどん確立されましたよね。「CRAZY FOR YOUの季節」を聴くと、まだ拙いですから。DISC 2の曲辺りから音の定まり方が加速したように思います。あと、僕の心が開いていく過程も、このベストを聴くと分かる(笑)。特に1stアルバムの頃は曲も歌詞も、「妄想」「物語」という感じ。僕が今思う歌詞とは違う。それが絶妙なところで成立しているから、振り返ってみて大したもんだなとちょっと思うんですけど。
EMTG:将平さんは、ベスト盤を聴いてどんなことを感じます?
湯浅:みんないい曲だなと思います。シングルと代表曲が入っていますけど、「ど直球」っていうものがなくて、どれも割とヒネくれているんですよね。僕らっぽいなと思いました。
堀之内:ずっと応援してくださっている方たちはもちろん、初めて僕らのことを知ってくれる方たちにもぜひお届けしたいです。「僕らはこういうバンドですよ」っていうのを改めて紹介出来るアルバムになっていると思うので。シングル曲ではないですけど、ライブでよくやっている「祭りのあと」が入っていたりしますし。
EMTG:ボーナストラックで「若者のゆくえ」が入っていますけど、ピアノを弾いているのは関根さんですよね?
関根:そうです。これを音源にするのは初めてです。DVD(2008年にリリースした『映像版『バンドBについて』第一巻』)のエンドロールの曲なんですけど、すごく緊張しながら弾いたピアノです(笑)。ベースは将平さんが弾いています。そこも聴き処ですね。
堀之内:『LOVE MATHEMATICS』のシングルのカップリングに、この曲のストリングスが入っているバージョンを収録したんですけど、この4人だけのオリジナルバージョンを音源化するのは初なんですよ。
EMTG:盛りだくさんのベスト盤ですね。初回生産分の6大特典もすごいですし……僕は「要らなかったら捨ててもいいよ、白いスペーサー」が一番素晴らしい特典だと思っていますが(笑)。
堀之内:その特典の案をディレクターが出した時、「この人、どうかしてる……」って思いました(笑)。
小出:どうしても特典が6個欲しかったみたいです(笑)。
EMTG:『PERFECT BLUE』をベストと一緒にボックスに収めるためには、スペーサーは外さなきゃいけないわけだし……。
小出:見本を見たんですけど、本当にただの紙のスペーサー。普通に捨てたい(笑)。
EMTG:そこら辺に置いておいたら、お母さんに捨てられること間違いなし?
小出:間違いないでしょう(笑)。
EMTG:(笑)デビューしてから大分経ったわけですけど、これまでの印象的な出来事って何かあります? 小出さんの眼鏡が長崎の眼鏡橋で壊れたエピソードは有名ですけど(ブログ用の写真を撮る際に眼鏡をマネージャーに預けたところ、うっかり踏まれた)。
小出:それがダントツに印象的な出来事です(笑)。まあ、厳密にはデビュー直前の出来事なんですけど。
堀之内:印象的なことと言えば将平くんですかね。「生きる事件」とでも言うべき人なので。デビュー盤のPV撮影に遅刻したり、最近痛風になって禁酒したり(笑)。
湯浅:初回生産分の特典にブックレットが付くんですけど、今までの写真を見ると、ホリくんの変化もよく分かると思います。そこもオススメですね(笑)。
堀之内:なんで、俺らの間で貶め合っているんだよ!
関根:デビューしてから、ホリくんのMCのスベリに磨きがかかったのが、わたしの思う印象的なことです(笑)。Zepp Sapporoのライブですごくスベった時に、会場が一瞬で静まり返ったんですよ。隙間風が吹いて、扉がガタガタガタっていって(笑)。そういうことすらも乗り越えて、何周もして、ホリくんのスベリは磨きがかかってきました。
堀之内:恐れなくなったんです。恥ずかしがっているとダメなんですよ。昔は演奏じゃなくて、MCについて本気で怒られることが多かったんですけど(笑)。
EMTG:(笑)2013年も楽しくなりそうですね。4月にはツアーがありますし、6月15日は日比谷野音。
小出:今年はリリースも諸々出来たらいいなと思っています。出来たら年内にアルバムを出せたらいいなと思っているんですけど……。
堀之内:うん(笑)。
小出:その辺は制作次第ということで(笑)。

【取材・文:田中 大】

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リリース情報

バンドBのベスト

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バンドBのベスト

発売日: 2013年02月13日

価格: ¥ 2,838(本体)+税

レーベル: EMIミュージックジャパン

収録曲

ディスク:1
1. CRAZY FOR YOUの季節
2. GIRL FRIEND
3. ELECTRIC SUMMER
4. STAND BY ME
5. 祭りのあと
6. 抱きしめたい
7. ドラマチック
8. 真夏の条件
9. 愛してる
10. 17才
11. changes
ディスク:2
1. LOVE MATHEMATICS
2. 神々LOOKS YOU
3. BREEEEZE GIRL
4. Stairway Generation
5. kimino-me
6. クチビル・ディテクティヴ
7. yoakemae (hontou_no_yoakemae ver.)
8. short hair
9. Tabibito In The Dark
10. 初恋
11. 若者のゆくえ (original ver.) (ボーナストラック)

リリース情報

PERFECT BLUE

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PERFECT BLUE

発売日: 2013年02月13日

価格: ¥ 953(本体)+税

レーベル: EMIミュージックジャパン

収録曲

1. PERFECT BLUE
2. アイノシタイ
3. Typical Girl

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■ライブ情報

バンドBのゆくえツアー
2013/04/04(木)なんばHatch
2013/04/06(土)広島CLUB QUATTRO
2013/04/12(金)名古屋CLUB DIAMOND HALL
2013/04/14(日)福岡DRUM LOGOS
2013/04/19(金)仙台darwin
2013/04/20(土)新潟LOTS
2013/04/25(木)赤坂BLITZ
2013/04/28(日)札幌CUBE GARDEN

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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