さらに進化した、現在の“クレイジーケンバンド”が盤(ソーサー)に凝縮

CRAZY KEN BAND | 2013.05.22

 今年デビュー15周年を迎えたクレイジーケンバンドが、ニュー・アルバム『FLYING SAUCER』を完成させた。全21曲・収録時間約76分という、中身の濃?い作品で、彼ららしい、何でもありの、バラエティに富んだ楽曲がズラリと並んでいる。決して後戻りすることなく、さらに進化した、彼らの“今”が、ここにはギュッと凝縮されている。そこでリーダーの横山剣に、このアルバムのことをいろいろと訊いてみた。

EMTG:今年デビュー15周年ということですが、ニュー・アルバムは、そのアニバーサリー感みたいなものは意識されたのですか?
横山:活動の方では、今までやったことのない、お芝居をやったりとか、そういうスペシャルなことはやりましたけど、アルバム作りの時には、特に15周年という意識はなかったですね。今のモードとして出てきたのがコレ、という感じです。
EMTG:アルバム作りの時に、こういう作品にしようとか、そういったテーマはあったのですか?
横山:毎回そうなんですけど、コンセプトとかも、狙っても出てこないで、逆に放っとくと出てくるんです。「こんなん出ました」って(笑)。今年のツアー・タイトルを決めなきゃいタイミングになんの脈絡もなく「円盤 - Flying Saucer -」という曲が浮かんできて、それをツアー・タイトルにして、だったらアルバムもそのタイトルにしちゃおうと。するとそのタイトルが質感を呼び込んで、傾向というものが出てきますよね。設定を決める前に、曲がどんどん出てきちゃうんで、レギュレーションとしてのアルバム・タイトルを決めて、できた曲の中から、それに沿ったものを選んでいった、という感じです。
EMTG:オープニング曲であり、タイトル曲でもある「円盤 -Flying Saucer-」は、すごく高揚感というか、ワクワク感がありますよね。
横山:それが欲しかったんです。この曲は、マイティー・スパロウ(1950年代に世界的なヒットを飛ばしたカリブ海の音楽ジャンル、カリプソの名手)の曲に、パーカッションだけの部分があって、それの部分をループさせて大音量で聴いていたら、それに興奮して出てきたのがこれだったんです。楽曲そのものの影響はなくても、興奮はすごくもらうというか、これと同じ類いの興奮感のある曲をやりたい、という刺激になっています。それでメロディが浮かんできた時に、シーサーみたいな顔の「自称ベネズエラ人」の女の人が浮かんできて(笑)、そこから曲ができていきました。あと「太陽 -Sunbeam-」という曲は、RHYMESTERの『ダーティーサイエンス』というアルバムをスタジオに行く車の中で大音量で聴いていたら、スタジオに着くまでに1曲できていまして。RHYMESTERのトラックのコード感にインスパイアされたというか、そういうものがひとつのきっかけ、トリガーとしてありますね。
EMTG:全21曲という、盛りだくさんの内容ですね。
横山:これでもかなり減らしたんです。そうじゃないと3枚組になっちゃうんで(笑)。本当は11?12曲ぐらいのアルバムにしたいんですけど、なかなかそうはなってくれない(笑)。
EMTG:アルバム全体として、『八十日間世界一周』を空飛ぶ円盤でやった、みたいなストーリー性がありますね。
横山:そういうことですね。それでいろいろなところにワープしていって。あと円盤=ディスク、CD、レコードというか、配信もいいですけど、やっぱりパッケージに対する思いも強くて、そういう思いも込められています。
EMTG:楽曲のバラエティさも、さらに広がっているなって感じます。
横山:自分としては、新機軸をやったような感じは、それほどないんですけど、”これまでまったく聴いたことがないようなものを作ろう!!”というよりは、<ありそうでないもの>がいいかな、という思いはありました。でもひとつ、新しいこととしたら、今まではシミュレーションのオーケストラ(パソコン上でのオーケストラ演奏)を使っていたのを、本物のオーケストラを導入したということですね。
EMTG:「地球が一回転する間に」のストリングスの分厚さはすごいですね。
横山:オーケストラの人数がかなり多くて、それだけの人数が入るスタジオを押さえるのが大変でした。でも、いっぱいいるから派手にしたいとかいうことではなくて、いることによって出てくるテイストがありますから、きらびやかにしようというよりは、それが必要だったということですね。楽曲が目指すのが、そこだったと。でも本物のオーケストラの音魂はすごいですね。そこに妖精がいるかのような、コロボックルみたいなのがゾロゾロいる感じ(笑)。スタジオで聴いていると、涙が出てくるんですね。その理由はわからないんだけど、華厳の滝のジェットな音を聴くと涙が出てくるのと同じような感覚です。
EMTG:小林旭さんの「宇宙旅行の渡り鳥」という曲をカバーされていますが。
横山:今年の2月に、ファンクラブのイベントで、お客様からカバー曲のリクエストを募ったんです。1位がORIGINAL LOVEの「接吻 Kiss」だったんですけど、2位以下は票が割れて、ほとんどが1?2票だったんです(笑)。もう、どれでも選び放題(笑)。その中に「宇宙旅行の渡り鳥」があって、前からやりたかった曲だったので、その時に歌って、それで今回アルバムにも入れました。
EMTG:この曲から「タイに行きたい」への流れは素晴らしいですね。
横山:朝起きた時、「♪タイに行きたい?♪」って脳内で鳴っていたんです。別に行きたいわけでもなかったんですけど(笑)、やってるうちに行きたくなっちゃいました。
EMTG:今回、楽曲の面で面白いアプローチができたとか、そういう曲はありますか?
横山:「幻灯機 -Magic lantern-」とか「興奮」などは、今までにはなかったタイプの曲かもしれませんね。「興奮」のような曲は、今までにもあったんですけど、表に出したことはなかったという感じです。あと「宇宙旅行の渡り鳥」もカバーなんですけど、ここまで照れもなく昭和をやったというのは、今までにはなかったかも知れませんね。
EMTG:今回のアルバムを通じて、リスナーに伝えたい思いのようなものはありますか?
横山:あまり管理されていない音楽というか、もっと自分を解放して、皆さんの中に眠っている狂気を、ここでは出してもいいよって。ぼくの場合、P-ファンク(宇宙や神秘をモチーフとしたファンクミュージックの一種)とかがそうだったんですけど、現代のそういったものになったら嬉しいかなって思います。
EMTG:そして6月からツアーが始まります。
横山:6月はライブ・ハウス中心のツアーで、8月から来年の3月にかけては、ホール・ツアーを予定しています。CKBはファンの年齢層が幅広くて、スタンディングで踊りたい人と、椅子に座って聴きたい人とがいらっしゃいますので、お好みを選んで来ていただければなと。ライブは毎回違う一点もので、アルバムは車でいうとノーマル仕様ですけど、ライブはレーシング仕様というか、迫力もより出てきますので、そこで皆さんの狂気を吐き出していただいて、スッキリしていただきたいですね。

【取材・文 熊谷美広】

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リリース情報

FLYING SAUCER(初回限定盤) [CD+DVD]

FLYING SAUCER(初回限定盤) [CD+DVD]

2013年05月22日

ユニバーサル シグマ

1. 円盤 -Flying Saucer-
2. 地球が一回転する間に
3. 太陽 -Sunbeam-
4. Hey Que Pasa?
5. 旅客機
6. 幻灯機 -Magic Lantern-
7. eye catch -Magic Lantern part 2-
8. 7月14日
9. 箱根スカイライン
10. SOUL FOOD
11. eye catch -Platinum tunnel-
12. UFO BOOGIE
13. 宇宙旅行の渡り鳥
14. タイに行きたい
15. 廃車復活
16. インターチェンジ
17. シフト・チェンジ
18. eye catch -Beginning of the End-
19. 興奮
20. SOUL BROTHER 「やさぐれファンク“渋谷路地裏編”」 (Remixed by MURO)
21. ま、いいや

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■マイ検索ワード

岩城滉一、宇宙旅行
岩城滉一さんが、宇宙に行くという報道を見て、気になってます。横浜の先輩でもあるし、モータースポーツの世界でも、バイクで一緒に走ってもらったりもしているんですけど、今回のアルバムが『FLYING SAUCER』ということもあって、やっぱり時代は宇宙かな、と(笑)。実際に宇宙にいるのは3-4分ぐらいなんだそうですけど、誰もやったことがないことをやるのって、やっぱりすごいですよね。

■ライブ情報

CRAZY KEN BAND TOUR "Flying Saucer 2013"
2013/08/25(日)福生市民会館
2013/09/07(土)安城市民会館
2013/09/08(日)BLUE LIVE 広島
2013/09/15(日)丸亀市民会館大ホール(香川県)
2013/09/16(月祝)オリックス劇場(旧 大阪厚生年金会館)
2013/09/20(金)市川市文化会館
2013/09/22(日)ハートピア春江ハートピアホール(福井県)
2013/09/23(月祝)高周波文化ホール大ホール(射水市新湊中央文化会館)
2013/09/29(日)釧路市民文化会館
2013/10/01(火)札幌市教育文化会館
2013/10/03(木)青森市民ホール
2013/10/04(金)仙台電力ホール
2013/10/08(火)中野サンプラザ
2013/10/09(水)中野サンプラザ
2013/10/25(金)倉敷市芸文館
2013/10/27(日)名古屋市公会堂大ホール
2013/11/01(金)都城市総合文化ホール大ホール(宮崎県)
2013/11/03(日)大分T.O.P.S Bitts HALL
2013/11/04(月祝)福岡国際会議場メインホール
2013/11/08(金)京都劇場
2013/11/10(日)神戸国際会館こくさいホール
2013/11/14(木)神奈川県民ホール大ホール

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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