話題のシンガー、石崎ひゅーいが1stフルアルバム『独立前夜』をリリース!
石崎ひゅーい | 2013.07.17
- EMTG:『独立前夜』、すごくインパクトのあるタイトルですね。
- 石崎:大まかに分けて3つぐらいの意味があるんですけど、ひとつは、この作品が聴いてくれた人の心に届いて、爆発だったり革命みたいなものが起きるっていうか。何かが変わるかもしれないドキドキしてる気持ちを表していて。それと、「独立前夜」って、すごい始まりを意識させる言葉だと思うんですよ。
- EMTG:そうですよね。
- 石崎:僕は10年後も20年後も音楽生活をずっと続けて行きたいんですけど、例えばこの作品のタイトルが「マシュマロ」だったら、20年経ったときに“1stアルバムってなんだったっけ?”ってなっちゃうじゃないですか。だから、ここがスタートだったっていう作品にしたいっていう想いもあって。あともう一個は、最近歌を歌って行くことに対してすごく考えていることがあって。この前、2ヶ月間ライブをやっていたんですよ。
- EMTG:47都道府県制覇ライブハウスツアーですね。
- 石崎:はい。毎日毎日歌ってたんですけど、なんか、寂しくなっていくというか、孤独になっていく感じがしていて。
- EMTG:それはライブ中にお客さんが盛り上がってるのを見て感じるんですか?
- 石崎:いや、ライブ中は何にも考えてないんですよ。頭の中真っ白で、無に近いんで。だから歌を歌って行く日々の中で、ですかね。僕の中で、ライブをしたり音楽を作ることって、すごく純粋なものでありたいんですよ。人間らしいものっていうか。なんか、デッカイろ過器に自分をポーンって入れて、そこから純粋なものが抽出されてポタポタ落ちてくるみたいな。いらないものを削ぎ落とすっていうんですかね。そのためには“孤”に向かわないといけないなって。そういう「独立」=“孤”になっていく、一人になっていくっていう意味もあって。その3つですかね。
- EMTG:なるほど。アルバムタイトル同様、気になる曲タイトルが多いですね。「バターチキンムーンカーニバル」とか。これは曲調からタイトルをつけたんですか?
- 石崎:いや、先にタイトルがありました。僕、一番行ってみたい国がインドなんですよ。ガンジス川の夢をすごい見るんです。そのインドに行きたいっていう想いから出来た曲ですね。いつも歌詞とメロディーを弾き語りでほぼ完成させて、それをTomoi Yoさんとアレンジをしていくんですけど、歌詞とかを見て、こういうインド調のアレンジにしてくれて。なんか、Tomoiさんは兄貴みたいな感じなんですよ。僕、元々バンドをやってたんですけど、その最後の方から見てくれていて。最終的な目標として、パン屋さんを開くことが目標なんですけど──。
- EMTG:パ、パン屋さん?
- 石崎:そうです。そういうのもあるからうまく行くんですよね。信頼関係が深いから何も心配いらないし、全て任せられる。だから「石崎ひゅーい」は僕だけじゃなくて、「石崎ひゅ」までが僕で、「ーい」はTomoiさんですね。
- EMTG:それぐらい重要な存在だと。で、パン屋さんっていうのは? 2人でやるんですか?
- 石崎:そうです。Tomoiさんのお姉ちゃんがパン屋さんなんですよ。だからノウハウも聞けるし釜もあるから貸してくれるかなと思って。店舗を構えなくても物販で売ることから始められそうだし、ゆくゆくはパン屋もやりたいなって。
- EMTG:兼業ですね(笑)。あと、男として魅かれるタイトルは「おっぱい」かなと。これすごく良い曲ですよね。これぞまさに男心だなと。
- 石崎:そうそうそう! そうなんですよ。
- EMTG:胸のサイズなんてどうでもいいから、そのままで居てくれっていう。そう思うことが実際に?
- 石崎:そうです。僕の歌はほぼ実体験です。お母さんとか、別れた彼女とか、ヨシオ君とか。
- EMTG:ヨシオ君?
- 石崎:まぁ(笑)……ヨシオ君が居たとしたらですけど。僕は、例えばヨシオ君のことを書くときに、2人の関係でしか分かり合えない言葉とかを、そのまま使っちゃうんですよ。だから、みんな「?」って思うかもしれない。でもヨシオ君の後ろにはたくさんのヨシオ君が居るんですね。だからその人達にも届くんですよ、深いところまで。ヨシオ君に歌った歌が、みんなにヨシオ君レベルで響くというか。「歌」ってそういう純粋なものであった方がいいなと思うんです。僕は絶対そうでありたいと思っていて。最近の歌って、ヨシオ君じゃなくて、その後ろにいる人達のことばっかり見てて。そういうの大っ嫌いなんですよ。
- EMTG:身近な人の心に響かせられずに、たくさんの人の心に響かせられるわけがないと。
- 石崎:うんうん。そう思うんですよ。だから個人的なことだし、自分の中のくだらないものだったりするんだけど、それでいいんだと思って。
- EMTG:先ほど「孤独になっていく」っていうお話がありましたけど、それもあって、ひゅーいさんの歌には明るさの中にも儚さとか憂いをすごく感じます。「シーベルト」はタイトルからしてですけど、<いつかあの青い空へ>っていうところとか。
- 石崎:この曲を作ったのは震災が起きたときに、すごくいっぱい出来た曲の中のひとつなんですけど、そのときの曲は<青い空>っていう言葉がいっぱい出てきて。やっぱりいつか死んじゃうじゃないですか。でも、いつか死ぬけど「いつか死ぬ」とは書かないんですよね、僕は。それが僕なりの表現の仕方なんだと思います。自分の中の大きなテーマとしてあって。
- EMTG:そういう孤独だったり寂しいっていう感情が、根っこにあったりします?
- 石崎:あるんですよ。すごい寂しがり屋で。人と一緒に居ないとイヤですね。ずっと誰かと居たいです。
- EMTG:でも、曲を作るときは“孤”に向かわないといけないわけで。
- 石崎:そうそうそうそう。それが辛くて。それこそ全国を廻ってたりしたら、会いたい人にも会えないし、自分の時間もなくなってくるじゃないですか。寂しいなぁって。でも、そういう職業なんだろうなと思います。アーティストとか表現者って。
- EMTG:そこは結構割り切れてるんですか?
- 石崎:割り切れてないです。本当は歌なんか歌わずに酒飲んでたいって思うし、歌を歌わなかったらライブをやりたいと思うし。
- EMTG:本能の赴くままに生きて行きたいというか。
- 石崎:うん。そういうところはすごくあります。
- EMTG:あと気になったのが、一番最後の「ガールフレンド」はいつ頃に出来たんですか?
- 石崎:これがアルバムの中で一番古い曲で、7、8年前ぐらいからあるんですよ。で、1曲目の「夜間飛行」が一番最近出来た曲だから、一番新しい曲から始まって、一番古い曲で終わるっていう。
- EMTG:なるほど。この曲だけ言葉のニュアンスが違うなと思ったんですよ。
- 石崎:そうなんですよ。僕もそう思っていて。昔の曲だからっていうのもあるかもしれないんですけど、これは僕のバイトの先輩が結婚することになったときに作った歌なんですね。僕、結婚式をやる子達にいつも曲を書くんですけど、これが一番最初に作った曲で。そういう意味でも、本当に純粋に2人のためにっていう気持ちが強いと思うんです、この歌詞って。
- EMTG:それこそ「ヨシオ君」の話ですよね。2人のために作ったものが、後ろにいる人にも響くっていう。
- 石崎:そっか! そうなりますよね! だからこの曲すごい好きなんですよ。なんか、いろんな曲の書き方が出来るようになってきたなって。2人のために書くことも出来るし、「夜間飛行」はテーマをもらって書き下ろしたものだったし。いろんな視点で曲が書けるようになったと思います。
- EMTG:そんな成長が詰まってるわけですけど、完成してみていかがです?
- 石崎:デビューしてからTomoiさんと2人でずっと作業していたので“アルバム完成?!”っていう感じはあんまりないんですけど、長い文章をうわ?っと書いて行く中で、句読点を一発つけたっていう感じはありますね。
- EMTG:区切りがついたことで、ここから生まれてくる曲も変わってくるかもしれないですね。「独立前夜」を経て、石崎ひゅーいはどうなっていきたいですか?
- 石崎:歌うだけで人生観が出る歌手になりたいです。玉置浩二さんとかトム・ウェイツとか。だから、独立っていう意味ではまだまだだと思います。そこからじゃないかなって。
- EMTG:そうなれて初めて独立?
- 石崎:うん。そうですね。そう思います。
石崎ひゅーい。昨年、『第三惑星交響曲』でメジャーデビュー。実体験を基にしつつも、どこか夢を見ているような雰囲気のある独創的な歌詞、非常にポップス然とした心にスッと染み渡るメロディー、ステージを右へ左へ飛び回る振り切ったライブパフォーマンスで注目を集めている、茨城県出身の29歳である。ちなみに名前は本名だ。
そんな彼が、いよいよ1stフルアルバム『独立前夜』をリリースする。前述のメジャーデビュー曲やドラマ主題歌となった「夜間飛行」などを含めた全11曲。石崎ひゅーいの世界観をたっぷり堪能出来るものに仕上がっている。
J-POPシーンへ本格的な狼煙を上げた彼にEMTG MUSIC初直撃! 彼らしい独特なワードも飛び出したインタビューをお楽しみください。
【取材・文:山口哲生】
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リリース情報
お知らせ
ふなっしー
ライバルだと思ってるんですよ。ふなっしーっ て動きがハンパなくて。僕もライブでよく飛んだりしてるんですけど、そこにすごく通ずるものを感じてしまって。それで今アプローチしてる んですよ。Twitterに書いたりとか。なかなかお近づきになれないんですけ ど、対談とか一緒にライブしたら絶対面白いと思うんですよね。真面目に対決してみたいです。
■ライブ情報
SUMMER SONIC 2013
2013/08/10(土)東京 QVCマリンフィールド&幕張メッセ
2013/08/11(日)大阪府 舞洲サマーソニック大阪特設会場
MONSTER baSH 2013
2013/08/25(日)香川県 国営讃岐まんのう公園
石崎ひゅーいTOUR2013
2013/09/07(土)愛知県 名古屋クラブクアトロ
2013/09/08(日)大阪府 梅田クラブクアトロ
2013/09/22(日)東京都 下北沢GARDEN
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。