ゆず、再びヒャダインとコラボ!人間の本質を射抜くニューシングル『表裏一体』
ゆず | 2013.12.27
- EMTG:「REASON」に続き、“ヒャダイン” こと音楽クリエイター・前山田健一さんとの共作第二弾となるシングル「表裏一体」ですが、前作以上にソリッドで、展開のあるアップテンポなナンバーに仕上がっていますね。
- 北川悠仁:「REASON」はゆずにとって曲の展開、音楽の方向性、制作のプロセスも全部含めて未知の領域ともいえる楽曲だったんですが、その楽曲を良いかたちで作品にできたと思っています。できあがったあと、その未知なる領域をファンの皆さんはどう受け取ってくれるんだろうと期待しつつ、少し不安もあったんですけど、その不安を一蹴するかのように、皆さんがこの曲を好きになってくれて。YouTube でのミュージックビデオ 再生数も600 万回を超えたり、自分たちが新たな一歩を踏み出す上で大切な作品になったし、その後の新たな挑戦たちの背中を押してくれた楽曲になったと思います。
- 岩沢厚治:「REASON」は本当に手探りで、「この曲とこの曲が一つの曲になるんだろうか」っていう不安もあったりしたんですが、ヒャダインくんの手腕の素晴らしさもあり、とても個性の強い3 曲が、ものすごく良くまとまったなと。ヒャダインくんは基本打ち込みがメインで、僕たちはアコースティックギター中心に生音を大事にしていて、そこもうまく合致して、すごい曲ができたなと感じています。実験的でもあったし、音楽的には複雑なことをやっているのに、思いのほか聴き手の人たちがすんなりと受け入れてくれたのが意外でした。完成したら「こういうやり方もあるのか」という新しい発見もありましたね。
- EMTG:その“新しい発見”として見い出した手法は、「表裏一体」でも採用されているんですか?
- 北川:はい。まず、「REASON」での成功例の一つに、最初に大きく旗を振ることだったり、曲の種になるようなテーマやキーワードを持つことが大事だなと思いました。なので「表裏一体」でも、メインになるサビパートと全体のテーマを、自分が旗振り役として担いました。
- 岩沢:今回作品のテーマとしてあったのが“シリアス” で。そしてリーダーから出てきた“裏・表” “コイン” といった、異なるもので対になるキーワードがあって。まずはそれを念頭に、思いのままにワンフレーズずつ作ってみようという感じでしたね。
- EMTG: “表裏一体” という象徴的な言葉はどこから出てきたんですか?
- 北川:“表裏一体”という言葉自体、自分の中で以前から思っていた大切なキーワードだったんです。一つの側面で物事は語れない、良いことも悪いことも含めて、その上でどうするか、ということは、ずっと歌いたいテーマではありました。ゆずの関係性という意味でも繋がりますしね。2 人とも全然違うタイプですし、それが合わさってどうなっていくのかという。そういうことを考えていたときに、ふと“表裏一体” という言葉は、『HUNTER×HUNTER』とゆずを繋ぐ重要なものだなと思ったんです。
- EMTG:作品と楽曲のテーマが一致したということですか?
- 北川:ゴンとキルアの関係性も“表裏一体” ですよね。あと、普通のアニメだと悪者は悪者なんですけど、『HUNTER×HUNTER』では少し違う気がして。ひとつなにかをかけ違えたことによって違う道に行ってしまったり、だけどそれって紙一重の部分があって、まさに“表と裏” なんじゃないかなと思ったりしています。
- EMTG:制作にあたって、ヒャダインさんとはどういったお話をされたんですか?
- 北川:ヒャダインとも話したのは、僕らが目指したのは<「REASON」を超える>ということ。それは、なにか真新しいことをやるとかではなく、さらなる進化というか、「REASON」の先にある世界観に踏み出すみたいな。技術というよりは、自分に対してそれぞれがハードルを上げて、妥協をしないでどこまで自分が持っているより良いものをだしていけるか、ということに純粋に向き合った気がします。
- 岩沢:さきほども言った“シリアス” であったり、ソリッドな曲を、ということは話しつつ、今回は生の楽器をもっと入れていいんじゃないかという案が出ましたね。生でやるとすごく大変な曲ではあるんですが、そのおかげもあって、結果的にライブ感や厚みのある曲になりました。前回よりもさらに踏み込んだものになりましたね。
- EMTG:サウンド面でポイントになった部分はどこでしょう?
- 北川:前回は基本的に、僕らが作っていった基礎に対してヒャダインが持っている音をぶつけていくような感じだったんだけど、さっきも岩沢くんが言ったように、今回はドラムやストリングスを生でトライしているんですね。これは僕らとヒャダインにとって新たな進化形だと思っていて。僕らは元々、ヒャダインのある意味デジタルな音色を含めて欲しがっていたんだけど、今度はデジタルなものから、それをアナログに戻していく感覚とか、生の化学反応みたいなものを欲しがりましたね。
- EMTG:曲が進むにつれてストリングスが随所に効いてきて、とても印象的でした。
- 北川:今回ストリングスに関しては門脇大輔くんという、若いミュージシャンにやってもらったんです。彼らが合わさったことによって、ストリングスの中にも、いままでのポップスにはなかったような攻撃姓やアグレッシブ感も兼ね備えられたんじゃないかなと思ってます。楽曲のドラマチックな部分をストリングスが支えてくれてる感じはします。
- EMTG:岩沢さんはいかがですか?
- 岩沢:「REASON」のときもそうだったけれども、いわゆる場面転換が凄まじい。凄まじいんだけど、やっぱり1つの曲なんですよね。そのさじ加減というか、A メロからB メロに移り変わるところとか、場面は変われど、1つの曲を歌っているという意識はずっとありました。ここはD メロだからこういうテンションに変わるとか、めまぐるしく変わる展開をうまく表現しようとは思いましたね。
- EMTG:歌でいうと、2 番で垣間見れるお二人の“歌の応酬” は圧巻ですね。
- 岩沢:そこは前山田くんの“妙” というか、彼ならではのアプローチでしたね。出てくる言葉が“抗う” とか、また難しくて(笑)。前山田くんが歌っている仮歌から誠意が伝わってきましたね。「(キーが)高すぎて死にそうです」と(笑)。これはちゃんと歌わねばと思いました。面白い試みだったと思うし、思いつきそうで思いつかない、素晴らしいコラボレーションでした。
- EMTG:改めて、前山田さんと再タッグを組んだ感触はいかがでしたか?
- 北川:“表裏一体” という言葉には前向きでも後ろ向きでもなく、でも人間の本性だったり狂気的なものを孕んでいると思っています。そんな根底的な性だったり本質なものを、この曲の中でなんとかあぶり出せないかなと。そういう意味では、2 番のA メロの構成も含めて、歌詞の世界観でそれができたし、これはヒャダインと一緒にやってきた力が大きかったですね。彼の才能の懐の深さを感じました。
- EMTG:ライブで聴くのがとても楽しみです。
- 北川:表現するのが難しい楽曲だなと思いますね。制作の段階ではあんまり「ライブでどうするんだろう」っていうのは考えないんです。でも出来上がったときに、どうするんだろうと(笑)。だた、「REASON」の手応えがあったので、前回を超えるようなプレイができるんじゃないかと思ってます。実は「REASON」よりもアナログ的な要素を持っていたりする曲なので、ライブでどんなものになるんだろうとワクワクしています。
“2 人組フォークデュオ” というイメージが世間の中でいまだ強いゆずが、昨年末にアイドル系や電波系音楽を手がける音楽クリエイター・前山田健一とコラボレーションすることを発表した際、ファンならずともその意外な組み合わせに賛否の声が上がったに違いない。その中で誕生した楽曲「REASON」は、これまでにない制作アプローチと楽曲構成、そしてアニメ『HUNTER×HUNTER』の世界観との完璧なマッチングにより、ゆずの新たな可能性を示した傑作となった。
あれから約1 年。再びゆずと前山田健一が奇跡の邂逅を果たす。楽曲名は「表裏一体」。インタビュー中にもあるように“「REASON」を超える” ことを目標にした3 人は、前作で得た経験値を昇華させ、新たなエッセンスを加えることによりそのハードルをいとも容易く超えていった。
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