クリープハイプ、バンドの王道をゆく移籍第1弾!『寝癖』全員インタビュー

クリープハイプ | 2014.05.16

 武道館2daysを大成功させたクリープハイプ。いつもと変わらない普段のままのライブは、このバンドらしくてとても素敵だった。
 待望の移籍第1弾シングル「寝癖」が、初めて武道館で披露されたのは1日目。ダブル・アンコールに登場した尾崎世界観は「どうせお前ら、新曲は『社会の窓』みたいなのだと思ってるだろ。俺たちはもっとスマートに闘っていこうと思って」と前置きして「寝癖」を歌ったのだった。
 ベストアルバムのごたごたの渦中、攻撃的な歌を発表する可能性もあった。が、クリープハイプは、独特のポップ観を持つバンド。「寝癖」はそんなバンドの心意気を込めた、それこそ普段のままの“ちっちゃいラブソング”だ。社会の片隅でもがき続ける人間たちの愛憎を、しっかりと描いている。それを指して「スマートに闘っていこう」と言うところが世界観らしい。そんな尾崎世界観(Vo)、小泉 拓(dr)、小川幸慈(G)、長谷川カオナシ(B・Vo)に、バンドの今を聞いてみた。

EMTG:初めての武道館は、どうだった?
尾崎世界観(Vo・G):緊張はしたけど、やりやすかったです。ただシンプルに、「いいライブしたいな」って思ってやりました。
小泉 拓(Dr):そうですね。武道館に関してはいろんな話を聞いてましたけど、思ってたよりやりやすかったかな。
小川幸慈(G):“ライブハウス武道館”って聞いてたけど、その意味がわかりましたね。やる前は、ステージが広いからもっと淋しくなるかなと思ってたけど、メンバーみんなで演奏してる感じがして、全然淋しくなかったです。
長谷川カオナシ(B):お客さんの顔がちゃんと見えましたよ。明るくなったときも、嬉しかったな。
小川:そうそう。お客さんがそばにいてくれる感じがした。
EMTG:クリープハイプの曲って、すごく身近な小さいことを歌っているから、武道館は似合うのかなと思ってたけど、不安はなかったの?
尾崎:なかったです。特に1日目は昔の曲が中心だったから、ちっちゃいことを歌ってる曲が多かったんだけど、そのちっちゃいことがちゃんと届いてるのがわかりましたね。俺も、ちゃんと届くように大きな声で歌ったし。
EMTG:いつもと同じクリープハイプだったのがよかったな。で、夢の武道館をやり遂げて、打ち上げはどんなだったの?
尾崎:1日目は、呑まずに帰りました。我慢した。俺って、すごいでしょ(笑)。Zeppも2daysだったんだけど、その時は1日目が終わって「なんで呑んじゃいけないの」って思ったんだけど、武道館は「明日もしっかりやらなきゃ」って思ってたから。
EMTG:尾崎、えらい!!
小泉:で、2日目が終わってから打ち上げやったんですけど、社長がもう感激して、ずっとしゃべりっぱなしで、正直、面倒臭かったです(笑)。
EMTG:あははは。
尾崎:もっとすごい店で打ち上がると思ってたのに、普通の居酒屋で、しかも“飲み放題”。しかもしかも、飲み放題にハイボールが付いてなくて。
長谷川:しかもしかもしかも、早く終わる店だったから、急いで呑みました。
小川:酒、体に沁みわたりました。
尾崎:でも店の人が俺らのファンで、ハイボール付けてくれた。
EMTG:そりゃ、よかった(笑)そして「寝癖」を歌う前の、「スマートに闘う」っていうMCはよかったな。
尾崎:音楽をやってる以上、音楽で闘うのが本当でしょ。いちばんいいのは、お客さんに届くこと。音楽以外のゴタゴタは、曲に持ち込みたくないなと思った。
EMTG:「寝癖」は、クリープハイプらしいポップなロックだね。歌詞は相変わらず“ちっちゃいラブソング”だけど。
尾崎:クリープハイプの王道です。でも、そういう曲が“浮かんだ”っていうより、“思い出して”いったんですよ。このところ、「曲を作らなきゃいけない」と思って作ってた。でも、以前は「作りたくて」作ってた。インディーズの頃は、「レコーディングさせてもらえる曲を作りたい」とずっと思ってた。今回はそんなことを思い出しながら作りましたね。
小泉:昔の「左耳」っていう曲の雰囲気がコンセプトだったんです。
EMTG:武道館1日目のオープニングが「左耳」だったね。
小泉:そうです。「左耳」は、4つ打ちじゃなくて、疾走感のある8ビート。「寝癖」のリズムはそれにのっとって作ってった。ただ、昔みたいに1曲の中にいろんな要素を入れようとは思わなかったです。
小川:サビに向かって体温を上げていって、サビで突き抜けるっていうアプローチがうまくいったと思います。
尾崎:自分たちのやれることがわかってきてるから、そういうアレンジが決まるのが速かったです。前は“できないこと”があるのが嫌で、必要ないのに無理にやろうとしてたけど、そういう無駄がなくなった。
EMTG:まさに仕上げ方も“王道”だね。僕は2曲目の「ホテルのベッドに飛び込んだらもう一瞬で朝だ」も、ストレートなロックで好きだな。ハモもすごくいい。
尾崎:あれは一発目のセッションがオーケーになった。そういう曲です。ハモはカオナシです。
長谷川:プロデューサーの浅田(信一)さんが、「尾崎くんの歌は母音に特徴があるから、それに揃えて歌って」ってアドバイスしてくれて、うまくいきました。
EMTG:そうして、「ねがいり」はもう廃盤になってる古い曲だね。レコーディングは今のメンバーじゃない。でも武道館では「寝癖」と並んでダブル・アンコールで演奏された大事な曲だ。
尾崎:全国流通に乗った初めてのCDなんですよ。このシングルを作ってるとき、もう武道館が決まっていて、昔の音源に納得していなかったから、ケリを付けたかった。カップリングって、そういう願いを叶える場所だって思ってるから、今のメンバーでもう一回録らせてもらったんです。
小泉:「ねがいり」はリアルタイムで知らなかったので、新曲のようにやれました。
長谷川:俺は最初に買ったクリープハイプのCDの1曲目だったから、このタイミングで録れるのは嬉しかったです。今のメンバーで録れば、いい意味で変わると思ってたし。ただ、Aメロで同じ歌詞を繰り返すのと、尾崎くんから始まるギターソロは変えてほしくなかった。
EMTG:それでギターの小川くんが苦労したわけだ(笑)。
小川:そうなんですよ(笑)。尾崎のソロの後を受けて、長いソロを弾かなきゃいけなかったから、飽きさせないようにするのが大変でした。
尾崎:でも、このメンバーで録り直して、音としても意味合いとしても、やってよかったです。
EMTG:でも、なんでAメロの歌詞は2回繰り返すんだろう?
尾崎:あー…自分でも意味わかんないです。だけどそれを当時の自分に聞いたら、「言わなくても解かってくれよ」って言われそうで(笑)。たぶん当時は、絶対に意味があってやってたんだと思う。10年前の曲だけど、今もそういう作り方は変わってないから。でも、自分が何を考えてたか、忘れちゃうもんですね(苦笑)。
EMTG:忘れちゃうから、また新しい歌を作るんだろうね。
尾崎:「ねがいり」を久しぶりに歌ってみて、自分たちが変わってきているのを感じました。それはそれでいいと思ってます。ただ、自分以外の人が、変化をどう思ってるかについては関心がある。昔、自分が好きだったバンドが、急に他のこととか歌い出して、嫌な思いをしたことがあったから。
EMTG:あるね、それ(笑)。それにしても尾崎くんはちっちゃいラブソングをずっと歌ってるけど、男と女のすれ違いは永遠のテーマ?
尾崎:だってこんなに作ってても、なんですれ違うかわからないんだもん。まあ、わかったら作り続けてないと思いますけど。だから、女性のお客さんから「なんでそんなに女心がわかるんですか?」って聞かれると、戸惑います(笑)。
EMTG:あははは。4曲目の「目覚まし時計」は?
尾崎:これは「ねがいり」よりもさらに前にあった曲。歌詞は今回書き換えました。カオナシが歌ってます。「ねがいり」と合わせて、振り返りの2曲です。
EMTG:武道館の次の目標はあるの?
尾崎:別にないです。とにかくいっぱいいい曲を作って、いっぱい出したいです。こんなしょーもないことを歌ってるバンドが、メジャーデビューして、フェスのメインステージで演奏して、全国ツアーをしてる。それって、ある意味、“記録を更新”してる感じがする。それがいいなって思います。武道館の後に、飲み放題の打ち上げで文句言ってるのが、クリープハイプの“正解”ですよ(笑)。
EMTG:ありがとうございました。

【取材・文:平山雄一】

tag一覧 シングル 男性ボーカル クリープハイプ

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リリース情報

寝癖【初回限定盤】

寝癖【初回限定盤】

2014年05月07日

ユニバーサル シグマ

[CD]
1. 寝癖
2. ホテルのベッドに飛び込んだらもう一瞬で朝だ
3. ねがいり
4. 目覚まし時計(初回限定盤のみに収録)
[DVD]
1. 寝癖 MUSIC VIDEO
2. 寝癖 ドッキリ

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お知らせ

■マイ検索ワード

●長谷川カオナシ(B)
せっぺとべねぎ

尾崎くんの親戚が作ってるネギ。その親戚の方が武道館に見に来てくれたんですよ。“せっぺとべ”は鹿児島の方言で「精一杯飛べ」っていう意味です。

●尾崎世界観(Vo・G)
スワ打点

好きな野球チームのヤクルト・スワローズの点を取ったシーンが、ユーチューブに上がってる。今年は2点以下だったことがまだないんですよ。2点以上取られてるゲームもありますが(笑)。

●小泉 拓(Dr)
卓球温泉

面白い映画だったので、調べました。

●小川幸慈(G)
断食

ARABAKIで食い過ぎました。


■ライブ情報

クリープハイプ TOUR 2014
2014/08/09(土) [東京] かつしかシンフォニーヒルズ・モーツァルトホール
2014/08/12(火) [静岡] 静岡市民文化会館・中ホール
2014/08/15(金) [愛知] 日本特殊陶業市民会館・フォレストホール
2014/08/16(土) [兵庫] 神戸国際会館こくさいホール
2014/08/19(火) [埼玉] 大宮ソニックシティ―ホール
2014/08/21(木) [新潟] 新潟県民会館
2014/08/24(日) [宮城] 東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)
2014/08/28(木) [大阪] オリックス劇場
2014/08/29(金) [大阪] オリックス劇場
2014/08/31(日) [福岡] 福岡市民会館
2014/09/05(金) [北海道] 札幌市教育文化会館・大ホール
2014/09/08(月) [神奈川] よこすか芸術劇場
2014/09/12(金) [香川] サンポートホール高松・大ホール
2014/09/13(土) [広島] アステールプラザ
2014/09/17(水) [東京] NHKホール
2014/09/18(木) [東京] NHKホール

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。


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