人気急上昇中のSuck a Stew Dryから、ミニアルバム『Wake me up!』到着!!9月9日発売。

Suck a Stew Dry | 2015.09.07

 今年3月に3rd EP『モラトリアムスパイラル』をリリースした前後から、人気が急上昇。ライブ動員も着々と増え、夏フェスでも各地を沸かせていたSuck a Stew Dry。最新作となる3rdミニアルバム『Wake me up!』も、絶好の追い風となることだろう。彼らが支持を集めている大きな理由のひとつは、描かれている世界の圧倒的な生々しさ。人生の中に横たわる様々な理不尽、不条理を歌詞で鮮やかに浮き彫りにしつつ、瑞々しいメロディ、透明感に満ちた歌声と共にリスナーの心の奥へと届けるバンドだ。今作もかけがえのない魅力に満ちた6曲が誕生している。シノヤマコウセイ(Vo,G)に各曲にこめた想い、制作の背景について語ってもらった。

EMTG:今作を作るにあたって、何か考えていたことはあります?
シノヤマ:前作は結構ミドルテンポな感じもあったので、今回は勢いのある感じの曲も作りたいとは思っていました。それが例えばリード曲の「ウェイクミーアップ」です。でも、作ろうと思ってもなかなかそうはいかないもので。ギリギリまでいろいろ試行錯誤しました。
EMTG:今回、転調を上手く使っていますよね?
シノヤマ:そうなんですよ。転調に関しては今まであんまりやっていなくて。転調って独特の昂揚感が生まれるじゃないですか。だから、やってみようかなと。その結果、今回は6曲中3曲が転調しています(笑)。
EMTG:(笑)描いている世界に関しては、人生の中にあるいろんな理不尽と向き合いつつ、何とかして光明を見つけて進もうとする姿が、様々な形で浮き彫りにされていると感じました。
シノヤマ:「当たり前なことなんだけど、他の人があまり歌っていないようなことを表現したい」っていうのがあるんですよね。
EMTG:悩みって「モヤモヤする」とか言うくらいで、具体的に掴みづらいじゃないですか。そういう誰もが抱えるモヤモヤを鮮やかに捉えた音楽でもあるなと。
シノヤマ:抱えるモヤモヤにさらに踏み込んで行くと、人によって細かい部分はまちまちだと思うんですけど、そのモヤモヤだけでも形にして示せれば、多少は自分の悩みを理解しやすくなるんじゃないですかね。だから曲を聴くことによって自分のモヤモヤにさらに踏み込んでもらって、自分の悩みのことを分かってもらえたらいいなと思うんですよね。
EMTG:Suck a Stew Dryの音楽って、「あるある」っていうことを感じて、「自分だけじゃないんだな」と思える部分があるんですよ。例えば、鏡に映る自分との対話が浮かぶ「泣きたくなったら」の感じ、心当たりがある人が多いんじゃないですかね。
シノヤマ:おっしゃる通り、「あるある」みたいな部分は大事にしています。
EMTG:まあ、「あるある」と言うと、軽い感じになっちゃいますけど(笑)。
シノヤマ:(笑)「あるなあ」って思ってすっきりして頂けたらというのはあります。僕は音楽って特効薬だとは考えていなくて。生活の中のすごく少ない一部分に関してなのかもしれないけど、気持ちが楽になったり、多少何かから自分を守ることができるものになっていたらいいのかなと。
EMTG:「エヴリ」も、どんなに明るい人でも意識せざるを得ない人生の一面を描いていますよね。「誰もが生まれて死んでいく」っていう不条理とか、「誰もが根本的には孤独なんだ」っていう事実を浮き彫りにしつつ、だからこそ感じられる誰かと繋がることの尊さを形にした曲だと思いました。
シノヤマ:みんなバラバラだと感じて悲しいこともあるけど、だからこそいろいろ分かることもありますからね。僕はあまり希望的な観測はしない方なんですけど、「なんとかなるでしょ」っていう部分もあるんです。それが聴く人にとって光と映るのか? あるいは闇と映るのか? その点に関しては、自由に捉えて頂ければと思っています。
EMTG:Suck a Stew Dryって手放しに希望を描くバンドではないですよね?
シノヤマ:そうだと思います。確証もないのに「行けるでしょ」とか言うのも違うと思うので。
EMTG:「誰にでも当てはまる良くできた言葉で君を好きだと言っても」も、そういう姿勢が出ている気がします。《何もかもが特別になる》と言い切った直後に《特別になるかなぁ》っていう自信なさげなフレーズが出てくるじゃないですか。
シノヤマ:なるほど(笑)。この曲だけ、作詞・作曲がうちのギター(ハジオキクチ/G,Cho)なんです。僕が作った曲ではないからこそ、グッと来るものがあります。カラオケで好きな曲を歌ってジーンと来る感じに近いというか。歌っていて、「そうだなあ」ってなります。
EMTG:描く世界とかサウンドの方向性に関して、メンバー同士で共有しているものは、バンド結成当初からあったんですか?
シノヤマ:なかったですね。最初は遊びから始まっているので。今でもいろいろもがきながらやっている感じですよ。レコーディングでも相談しつつです。音作りにも毎回時間をかけていますし。演奏自体はシンプルなバンドなので、テクニカルなことよりも、音の配置とかのことも含めた部分に時間をかけているバンドなんですよね。
EMTG:「ウェイクミーアップ」も、じっくり構築されている音を堪能しました。神々しい広がりがあるコーラスが気持ちいいです。
シノヤマ:この曲はほぼバンドサウンドなんですけど、1ヶ所だけバンドじゃない音が入っていて。聴いていてもなかなか気づかないところだと思うんですけど、そういう遊び心も楽しんで頂けたら嬉しいです。
EMTG:この曲は、まさにリスナーの心と重なる部分が大きいんじゃないですかね。過去に思い描いていた未来の自分と、現在の自分の間にあるギャップって、感じない人はまずいないでしょうから。
シノヤマ:成功者と呼ばれるような人も、「まだこんなもんじゃない」っていう気持ちがあるでしょうからね。
EMTG:パッとしない自分を感じつつも、自分にしか生きられない自分自身の人生を精一杯に進もうとする姿を、この曲から感じます。
シノヤマ:僕もこうしてバンドをやっていますけど、昔は会社に勤めているようなことをイメージしていましたからね。就職活動はしたんですけど、自分はダメ人間なので、そりゃダメだろうという感じで(笑)。履歴書とかエントリーシートを書くのは得意だったんですが。
EMTG:エントリーシートって、結構、みんな苦労するところですけどね。
シノヤマ:“エントリーシートハイ”って言うんですかね? 書いているとテンションが上がって、文才を発揮していました(笑)。エントリーシートだけ見たら、めちゃくちゃやる気のあるいい感じの若者に見えたと思います。だから面接で本人が来ると「あれ?」という感じで(笑)。
EMTG:(笑)「ウェイクミーアップ」のミュージックビデオやジャケット写真に俳優の温水洋一さんが登場するというのも、興味深いところなんですが。
シノヤマ:曲の世界とぴったりだと思ってお願いさせて頂いたんですけど、OKして頂けまして。決定した時の僕らのテンションの上がり方は、ものすごかったですよ。お会いしたんですけど、めっちゃいい方でした。15秒くらいのスポット用に急遽アカペラで歌って頂いたんですけど、いい声だったのも印象的です。俳優さんってすごいなと思いました。
EMTG:「ウェイクミーアップ」は、「ハローグッバイ」と対になっている曲であるようにも感じたんですけど。
シノヤマ:なるほど。今回のミニアルバムって、ダメな自分が出ている作品でもあると思うんですよね。「ウェイクミーアップ」も、裏を返せば自分で起きる意志がないってことですから。
EMTG:「ハローグッバイ」も、自発的に輝けない意志に関して、《誰かが照らしてくれるなら 輝けるかなぁ》って歌っているじゃないですか。
シノヤマ:そうですね。「ハローグッバイ」も「他の人が何かを言ってくれたら輝くことができるんじゃないか?」っていう、いい意味でも悪い意味でも他力本願なところがある曲ですからね。おっしゃる通り、この2曲は繋がるものがあるのかもしれないです。
EMTG:誰かの存在によって意味とか、輝きが生まれることって、いろんな場面でありますよね?
シノヤマ:そうなんですよ。例えば宝石って、何か使い道があるわけではなく、石ころと言えば石ころじゃないですか。でも、みんなが「価値がある」って言うから宝石という価値があるものになるわけです。僕も「自分はすごくダメな人間」ってよく思うんですけど、聴いてくれる人たちから頂くいろんな言葉によって輝けることもあるんじゃないかと。そういう部分が表れているのが「ハローグッバイ」ですね。
EMTG:この曲、展開がユニークなのも聴きどころです。
シノヤマ:「バラードかと思いきや」、っていう感じですからね(笑)。
EMTG:(笑)意外性がドラマチックでした。あと、サウンド面に関してだと、「さよならリトルスパイダー」の、少しエレクトロな風味も印象的です。このシンセ、80年代辺りっぽいピコピコな感じに寄せているじゃないですか。
シノヤマ:レコーディング現場での思いつきだったんですけど、ハマってよかったです。あとこの曲に関しては、アカウントをやたらと変える人のことからイメージしたものもあって。学校での自分と、音楽をやっている自分とを分けたいというか。音楽をやっている自分を知っている人に学校での自分を見つけられたくないっていうような気持ちがあるみたいで。悪気がなくても、そういうことによってすれ違う感情もあるなと思って。
EMTG:さて。作品全体について語って頂きましたが、各曲にハッとさせられる部分がいろいろ広がっている1枚ですね。いい作品になった手応えがあるんじゃないですか?
シノヤマ:あんまり「はい!」とは言えないですけど(笑)。それほど自信がある人間でもないので。でも、今までの自分の作品と比べても、やりたいメロディの曲を作れたのかなとは思っています。
EMTG:10月から11月にかけてはツアーですが、ライブに来てくださる人も、どんどん増えていますね。
シノヤマ:それが縮小しないようにしないと。
EMTG:控え目ですね(笑)。
シノヤマ:どこまで行っても自信は、あんまり持てない人間なんだと思います(笑)。でも、いいと言ってくれる人が増えるのは、純粋に嬉しいんですよ。だから、いろんな面で今後もさらに精度を上げて、行けるところまで行きたいです。

【取材・文:田中大】

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ビデオコメント

リリース情報

Wake me up!

Wake me up!

2015年09月09日

ラストラム・ミュージックエンタテインメント

1. エヴリ
2. ウェイクミーアップ
3. さよならリトルスパイダー
4. 泣きたくなったら
5. 誰にでも当てはまる良くできた言葉で君を好きだと言っても
6. ハローグッバイ

お知らせ

■マイ検索ワード

彼さん
インスタグラムで検索しました。彼氏の写真を上げている人がいっぱいいるんですけど、彼氏のことを「彼さん」って呼ぶんですよ。旅行先での写真とか、何気ない写真が上がっているんですけど、いわば僕と接点のない人たちじゃないですか。そういう生活を垣間見ると、「普通のカップルって鎌倉に行って、写真撮ったりするんだな」とか分かって。一種のマーケティングみたいなことができています。


■ライブ情報

Suck a Stew Dry 秋のワンマンツアー2015「夢中でがんばれない君へエールを」
2015/10/16(金)仙台enn2nd
2015/10/25(日)福岡Queblick
2015/11/02(月)心斎橋JANUS
2015/11/03(火祝)名古屋APOLLO BASE
2015/11/08(日)LIQUIDROOM ebisu
2015/11/15(日)札幌Spiritual Lounge
2015/11/21(土)新潟GOLDENPIGS BLACK STAGE

Suck a Stew Dry 秋のリリースツアー2015「夢中でがんばれない君へエールを」
2015/11/23(祝月)甲府CONVICTION
2015/11/25(水)金沢vanvan V4

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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