ハルカトミユキ、ミニアルバム『LIFE』リリース!

ハルカトミユキ | 2015.09.30

 2015年1月から「毎月新曲を発表すること」と「年内にミニアルバムとフルアルバムの2枚を出すこと」をマニフェストとして宣言し、精力的な活動を続けているハルカトミユキが、4月にリリースした『世界』に続く2015年第2弾ミニアルバムとなる『LIFE』をリリースする。
 それまでのフォークロック/ポストロック的なサウンドから80’sニューウェイヴ的なサウンドへと大胆なシフトチェンジを果たした『世界』を経て、「命」をテーマに、今度は自分達が音楽を歌い鳴らす意味とその役割を深く掘り下げながら作られた今回の作品。10月3日には日比谷野外大音楽堂でフリーライブを開催するふたりに、その変化の背景をじっくり語ってもらった。

EMTG:前作の『世界』はターニングポイントというべき大きな変化を果たした作品だったわけですが、今回の『LIFE』は、それを経て明確になった新しいハルカトミユキ像はもちろん、表現をする上での意志や覚悟まできっちりと示す作品になりましたね。
ハルカ:ありがとうございます。自分でも『世界』を作ったことで自分の意識が変化した部分はすごく感じていて。ただ、今回のミニアルバムは、元々2015年のマニフェストの中には入ってなかったんですよ。
EMTG:あ、たしかに。
ハルカ:でも、5月頃に野音のライブ(10月3日に行われる日比谷野外大音楽堂でのフリーライブ)をやることが決まった後、自分が書く曲がちょっと変わっていったーー『世界』の頃よりも見てる視点が広くなった感じがあったんです。それで急遽、野音直前というこのタイミングで1枚ミニアルバムとして出そうということになって。
EMTG:その変化、進化をちゃんと作品として形にしようと思ったんですね。
ハルカ:はい。テーマも、最初はそれこそ野音を意識して星空とかをイメージしながら書いたりしてたんですけど、そこから自然と『命』というテーマに移っていって……それで結果的に『LIFE』と名付けたんですけど。
ミユキ:どの曲も『命』がテーマになってるから歌詞は重いというかズッシリしているなと思うんですけど、ただ、曲調としてはより開けたものを意識していたというか、ポップなものからクールなものまで幅広くできたなと思っていて。『世界』は私達にとって大きな変化作だったんですけど、今回はその上でより自由に、壁を壊して音楽を作ることができたという感覚があります。たとえば最後の「火の鳥」にはいやがるハルカを説得してEDM的な要素も取り入れたりとか(笑)、自分が今興味のある音楽、好きな音楽をいろんな形で入れながら、もっとたくさんの人に聴いてもらうこと、一緒に歌えるような曲にしたいっていう意識がありました。
EMTG:そうですね。ただ、音楽的には開けていく一方で、歌自体はより1対1の関係性を濃くするようなものになっていて。歌い掛ける対象は広げながらも、同時にひとりひとりに突き刺す深度はもっと深いものにしたいという意志が感じられるんですよね。
ハルカ:そうですね。今まで書いた曲も1対1で歌いたいと思いながら書いてたんだけど、やっぱりどこか閉鎖された空間というか、自分と近い誰かに向かって歌ってる感覚があったんです。でも今回の作品は、歌を書く段階では、逆にもっと狭くなって、自分対自分みたいな書き方なんだけど、作り終わって歌う段階になると、今までよりも歌う対象を広く捉えて、開けた視点で歌えたという実感があって……そうなれたのは、自分の中で『ハルカ』という存在をちゃんと確立させられたからだと思う。今まではずっと福島遥(本名)とハルカが問答しているような感じがあったんですけど、今回はハルカとして、福島遥のままでは知り得ない、この世界のどこかで生きている見知らぬ『ひとり』に向かって届くように歌いたかった。そこに少しでも近づきたかった。
EMTG:それって言い換えると、ポップミュージックの歌い手として、世界のどんな場所/どんな状況で生きている人にもアクセスできるような歌を作り歌うんだっていう、そういう役割に自覚的になった、あるいはその役割を引き受けた、みたいな感覚なんですかね?
ハルカ:自分の知らない、世界の片隅にいる人がハルカトミユキの歌を聴いた時に、『誰かの歌だな』じゃなくて『これは自分の歌だ』って思って欲しいっていうのがすごくあって。………だから、歌詞はすごく悩んだんですけど。特に「肯定する」はギリギリまでずっと悩みながら書いていて……本当に、歌詞を書いていく中でひとつひとつ自分自身の壁を壊していきながら、『ハルカ』を作り上げていく感じでしたね。
EMTG:「肯定する」という曲には、<君の全てを受け入れよう/君が捨てたその命/僕に拾い上げさせてくれ/もうあいつらに触れさせない/ひとりで生きる勇気 君に。>という歌詞があるんですけど。この言葉をまっすぐに歌える覚悟と情熱は、歌い手としてもポップミュージックの作家としても本当に素晴らしいと思います。
ハルカ:ありがとうございます。今までも、どんな形であれ、生きるとか死ぬとか、生き方とか、そういうものを歌にしてきたと思うんです。でも、どこか俯瞰でいたというか………でもこの歌は自分の歌だから、君は僕で僕は君なんです。そういう、自分の歌がそのまま君の歌になるような形で歌えるようになったのは、自分の中でもとても大きいんですよね。……自分と同じ思いをしている人にこそ私の歌が届いたらいいなと思っていて。ほんとの自分としては無理だけど、ハルカとして、歌を通してだったら、その人達と繋がれるじゃないですか。そう考えた時に、恥ずかしいですけど、ちっちゃな使命感みたいなものが生まれてきて……だからこそ、この“肯定する”の歌詞を歌ってもいいと思えたんだと思います。<僕に拾い上げさせてくれ>とか、<あいつらに触れさせない>とか、こういう言葉って素の自分としてはナシなんですけど、ハルカだったら言えるんだっていうことをすごく自覚しましたね。
EMTG:それこそインディーズ時代から、世の中のマジョリティではない人達が抱える気持ちや違和感を自分の歌によって掬い上げたり、そこから見える世の中の真実みたいなものを突き付けようという意志はあったと思うんだけど。でも、ここに来てそれがすごくはっきりと出てきた感じがありますよね。
ハルカ:そうですね。ずっとそういう部分はあったんですけど、でも昔は自分の手はあまり汚さず、傍観者の立場からモノを言ってたと思うんです。でも『世界』というミニアルバムを作ったことで、傍観者から当事者になった感覚があって。あの作品は、初めて自分が世界の中に飛び出して、世界と向かい合って、そうやって世界に出てみたら、世界って生易しくなくて、自分自身も大変なことを目の当たりにしたり、世界の渦とぐちゃぐちゃにまみれながら作ったのがこの『LIFE』で………だから今回は、自分自身も葛藤したり汚れたりしながら、そういう自分も曝け出しながら、それでも肯定するっていうメッセージを伝えていきたかった。そういう『世界』以降の意識の変化は、自分にとって本当に大きいことだと思います。
EMTG:そうですよね。だから「肯定する」だけではなく、今回のアルバムはどの曲も切実な想いや剥き出しの感情がダイレクトに伝わってくる歌詞になっていて。どこか「なりふり構ってない」印象がある(笑)。
ハルカ:ふふふ、そうそう、そうなんです。なりふり構ってない感じになりましたよね(笑)。……私の歌詞の根底には『不信感』があって。手放しで未来を喜んだり楽観的に信じたりはできないサガがあって、だからこそ歌が書けてるんだと思うんですけど……でも今回は、その不信感の表し方として、もうなりふりかまってられないというか。私達は独りぼっちでも生きていかなきゃいけないわけで、そういう人達を後押しするような歌をちゃんと当事者として書けてるといいのだけど。……最後の「火の鳥」でも歌ってるんですけど、すべては終わっていくんだけど、私達はそれでもまた始めなきゃならないし、それでも生きていかなきゃならない。そういう感覚は今回キーになってるかもしれませんね。
EMTG:この後、ハルカトミユキは10月3日に日比谷野外大音楽堂でフリーライブを開催するわけですけど、今回こうやって予定していなかったミニアルバムを出したことで、マニフェストで表明していたフルアルバムはどうなっていくんでしょう?
ミユキ:予定通りに出します! 年末くらいに出すつもりで、今まさに作ってるので、是非楽しみにしていてください。

【取材・文:有泉智子】

tag一覧 アルバム 女性ボーカル ハルカトミユキ

リリース情報

White

White

発売日: 2019年06月26日

価格: ¥ 1,500(本体)+税

レーベル: mini muff records

収録曲

01.パレードは終わりさ
02.かずかぞえ
03.Tansy
04.夜中の電話
05.話をしよう

ビデオコメント

リリース情報

LIFE(初回生産限定盤)[CD+DVD]

LIFE(初回生産限定盤)[CD+DVD]

2015年09月30日

SMAR

[CD]
01.肯定する
02.宇宙(そら)を泳ぐ舟
03.春の雨
04.COPY
05.All I want
06.September
07.火の鳥

[DVD]
ハルカトミユキ ワンマンライブ 2015 ‘世界’
2015.06.19 at LIQUIDROOM
01.世界
02.バッドエンドの続きを
03.ヨーグルト・ホリック
04.未成年
05.マゼンタ
06.春の雨
07.君はまだ知らない
08.流星
09.COPY
10.その日がきたら
11.嘘ツキ
12.振り出しに戻る
13.tonight
14.ニュートンの林檎
15.マネキン
16.プラスチック・メトロ
17.青い夜更け
18.ドライアイス
19.Vanilla

お知らせ

■マイ検索ワード

●ハルカ
野音 アクセス方法

たまたま日比谷野音のライブに行ったので調べたんですけど、会場には、霞ヶ関駅がいちばん近いです。10月3日のフリーライブ、是非来てください!

●ミユキ
フランケンシュタイン

最近歌詞を書いてて、私なりの歌詞はなんだろうと思い……古いものが好きなので昔のホラーだったりラブロマンスから派生して「フランケンシュタイン」を調べました。


■ライブ情報

ハルカトミユキ フリーライブ‘ひとり×3000’
2015/10/03(土)日比谷野外大音楽堂

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。


ハルカトミユキ公式モバイルサイト
「ハルミユtown」

「ハルミユtown」住人だけのお得な企画満載!

http://arena.emtg.jp/harukatomiyuki/

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