Bentham新アルバム『OMG』で明らかにレベルアップした重要なファクターとは?

Bentham | 2015.11.09

 Benthamが、前作『NEW LIFE』から半年ぶりにリリースする新作『OMG』は、いよいよバンドが“次の段階”へと踏み出す、エポックメイキングとなる作品だ。ちょうど1年前にBenthamが出した初の全国流通盤『Public EP』と、それに続く『NEW LIFE』は、言うならば双子のような、デビュー作とその続編という位置づけの2枚だった。そこでBenthamは、ハイトーンボーカルによる4つ打ちでキャッチーな楽曲が持ち味、というバンドのイメージを一貫してシーンのなかで築き上げてきたのだ。だが、今作は明らかに変わった。メンバー全員が作詞・作曲に取り組み、より豊かなバンドサウンドを獲得している。以下のインタビューで、メインソングライターの小関竜矢(Vo・G)は、今作がこの先のBenthamにとって重要な1枚になると断言した。その制作の過程でメンバーに何が起きたのか。4人に訊いた。

EMTG:『OMG』っていうタイトルは、まさに「オーマイガー」な作品ができてしまったぞ、という解釈で大丈夫ですか?
小関:はい。その通りです(笑)。自信作ができました。
EMTG:まず今作からは、これまでにないバンドの一体感をすごく感じました。
小関:たぶんバンドに対する各々の理解力が増してきたことが反映されてると思います。いままでのレコーディングでは、僕が「なんか違うんだよね」とか、ヘンテコなことを言って進まなくなることもあったんですけど。今回はそれがなかった。時間がないなかで、すごく集中して作って、お互いがやりたいことを汲み取ろうとする意識が高かったんです。
鈴木敬(Dr):わりとデモの段階で曲が決まり切ってない状態でスタートしたところもあって。セッションで作っていった部分が多かったんですよね。それで、良い意味でピリッと、短い時間で濃縮した状況でやれたんだと思います。けっこう必死でしたね。
辻怜次(B):面白かったのは、いままでちょっと余計だったものが削ぎ落とされた気がするんです。それが良いほうに進んだというか。特にリズム隊はそうですね。整理されてて、メンバー間でお互いの演奏をよく聴き合えるようになったんだと思います。
EMTG:メンバー全員が作詞・作曲をするというのは、どういう風に決まったんですか?
小関:今作に向けて曲出しをするっていうときに、古閑さん(Benthamが所属するKOGA RECORDS社長)に「10日間で20曲、新曲を出してこい」って言われたんです。で、そのときに「ひとり5曲作れば大丈夫じゃん」って言われたのがスタートでした。
EMTG:それはメンバーにとってハードルが高い数字だったんですか?
小関:さすがにひとりではキツいけど、4人だったらいけるかなって感じでしたね。なかには初めて作曲をするメンバーもいたけど、なんとかなるかなって。
須田原生(G):僕も、まったく同じことを思いました。いままでは、オゼ(小関)が7割、13曲ぐらい、俺が7曲ぐらいって考えたけど。「あ、5曲か」って変に納得しちゃうところがあって。
小関:そういう詐欺みたいだよね(笑)。
EMTG:多く見積もってて、少なくなると納得しちゃう(笑)。
辻:それでツアーの合間に楽屋とかでずっと作曲をしたりしてたんです。
EMTG:小関くんと須田くんは、これまでもBentham楽曲を手がけてたペアだけど、辻くんと敬くんは初めてなわけで。そう言われてどう思いました?
鈴木:俺、実は隠してたことがあって……。
小関:お?
鈴木:5曲作るって言われたときに、すでに5曲ドラムだけ録ってあったの。
小関・須田・辻:えー!?
須田:初めて聞いたわ、それ(笑)。
EMTG:いつ自分に曲出しを振られてもいいように用意してたってこと?
鈴木:そうなんです。前回の『NEW LIFE』のレコーディングがはじまったときぐらいに、一応メンバーになったので。いつでも出せるように曲は作ってたんですよ。
須田:「みんなが作れたらいいね」とはずっと言われてたからね。
鈴木:なので、心の準備はわりとできてたんです。
EMTG:辻くんは?
辻:僕は作曲に関してはズブの素人でした。作曲に興味がなかったって言ったら、言い方が悪いんですけど。ベースを上手く弾きたいってことのほうが大事だったんです。だから、そういう風に話が進んで焦りましたね。それで、何曲か持っていったんですけど、オゼと共作にしてもらったり。メンバーみんなに助けてもらいながらできた感じですね。
EMTG:では、せっかくなのでひとりずつ自分の作った曲について訊かせてください。まずは、辻くんが小関くんと共作した「YUMEMONOGATARI」から。
辻:これはミュートマス(米・ニューオリンズ出身の4人組バンド)みたいな、4つ打ちのなかでもハードめなものを、Benthamのなかに落とし込めないかなっていうのがはじまりでした。そこからイントロとかコードの感じは大体決まったんですけど、メロディがイマイチで。それで小関に任せることにしたんです。
小関:この曲は、いちばん僕らしくあろうとしましたね。スッと出てきたものを、変に凝らず。いちばんベタな小関っぽい感じの曲になったと思います。
EMTG:歌詞は、バンドの成功が“夢物語”に感じる瞬間がある、というようなこと?
小関:そうですね。初めは売れないバンドマンの歌だったんですけど。「これから売れていこう!」っていうバンドが、なんてことを言うんだ!?ってことで(笑)。バンドマンの生活のなかにあるフラストレーションを書いてみました。
EMTG:リード曲の「クレイジーガール」。これはもう鉄板の小関くん曲ですが。いわゆるBenthamのリード曲が「パブリック」とか「TONIGHT」みたいな、ポップな流れがあったけど、それとは、ちょっと違うニュアンスですよね。
小関:こういう曲をリードにできるようなったのは、僕が作る曲のレベルがあがったのかなって、思えた曲ですね。1枚目だと「APOLLO」、2枚目だと「Undulate」が、個人的にいちばん好きな曲なんですけど、それと同じ路線というか。最初のフレーズも重くて激しいですし、骨太でロックな感じです。サビで入るドラムの決めとか、大きくリズムをとってるのもすごく好きで。わかりやすいエモさじゃないのが、ぐっとくるんです。
EMTG:その一方で、Bentham新機軸のスローなクリスマスソング「STORY」もあります。
小関:曲出しをやるなかで、大体みんなが出してくる曲を予想できるわけですよ。だから、ちょっと変わった曲を作ろうと思ったんです。歌詞には《メリークリスマス》って出てくるんですけど、けっこう暗めの経験を軸にして書いてるので。そのあたりはクリスマスとは関係なく、僕の想いが届けばいいなと思ってます。
EMTG:敬くん曲の「After party」は、他のメンバー曲にはない大人っぽいムードですね。
鈴木:最初はもうちょっとBPMも遅くて、ヒップホップっぽいリズムが入ってたんです。でも、それだとライブでもやりづらいだろうなと思って。4つ打ちっぽい感じで、よりBenthamらしい曲にしていった感じですね。
小関:この曲は、僕のオヤジがすごい気に入ってますよ。父親世代がぐっとくる。
鈴木:古い!っていう(笑)。
小関:「パブリック」とかをやっていたバンドが、この「After party」みたいな曲もやれるのが良いことだと思うんですよね。
EMTG:今回こういう曲も入れることで、バンドに変化を求めてた部分はありましたか?
小関:そろそろ「俺たちはこんなもんじゃないぞ」っていう引き出しを見せたいなとは思ってた時期なんです。その前の『NEW LIFE』のときも、ゆっくりな曲を入れてみたいとは思ってたんですけど。まだ早いな、と判断して。今回も、全部4つ打ちのイケイケな曲で攻めることもできたんです。まだ攻めるか、みたいな。でも逆に、今回のかたちのほうが攻められたと思うし。この先、本当にやりたいことが体現できたと思ってます。
EMTG:では、最後。須田くんの曲はラストで3曲続くんですが。なかでも「雨と街」がとてもストレートなギターロックで、いままでのBenthamにないタイプの曲です。
須田:ふと思ったときに、アコギで弾き語るような感じでシンプルに作った曲ですね。いちばん苦労した曲なので、思い入れがあります。「ハイルーフ」とか「contact」は、わりとスムーズにできたんですけど。この曲のメロディが、小関には歌いにくかったみたいで。でも俺も曲げたくない部分があって。お互いに納得し合えるまでに時間がかかったんです。
EMTG:それは具体的に言うと、どういう経緯だった?
小関:まず俺がうまいこと歌えなくて……。今回は、いままで作曲をしてきた者として、みんなに曲作りを任せる。その踏ん切りをつけた覚悟をわかったうえで、みんなにも覚悟をしてほしかったんです。メロディは、僕が歌うから、僕がつけたほうが良いに決まってるんですよ。でも、そうじゃない良さがあるはずだから、そこに希望を見出したくて任せてるので。だから、この曲では、須田にも「俺が書けるようなものを持ってきてもしょうがないから、お前のベストを出してくれないか」って、強めに言ったんです。でも、俺は俺で、歌いづらい……というか、歌えないこと自体もショックだったし。そういうなかで、どこを曲げてもいいのか、曲げたくないのかをお互いに話し合っていったんです。
EMTG:そのふたりのやりとりは、メンバー全員が知ってること?
小関:そうですね。そのトラブルは、エンジニアさんも含めて、みんなが見てたので。そういう風に作ってたから、2サビの前でシャーッていうシンバルの音が鳴るんですけど、レコーディングで、タカさんが叩いてるときに、俺もう泣けてきちゃったんです。ウルウルしちゃって。本当にこの曲では、いろいろあった。だから歌詞も、最後のほうに《光射す場所で》って出てくるんですけど、ふだん僕はあんまり使いたくない言葉ではあるんです。でも、それを使ったのも、須田の曲だから意地悪をしたわけじゃなくて(笑)。須田の曲に合う言葉、なおかついろんな問題を潜り抜けてきて、自然と出てきた言葉だったんです。
EMTG:なるほど。話を聞いてて、いままで自分で曲を書いてたボーカリストが、他の人に作曲を任せることの意味を甘く見てたなと思った。
小関:たかだかクレジットだったりもするんですけどね。バンドの曲って、もちろんBenthamの曲ではあるんだけど、僕はいつも僕の曲として聴いてたんですよ。だから、誰かに「かっこいい」って言われたら嬉しいし、どこかのBGMで使われたら、小っ恥ずかしい感じになるとか。そういうことを、今回メンバー全員が体感できるのは、絶対に今後のBenthamにとって武器になるんです。今回こうやって8曲入りの作品を作れたわけだから、もっとメンバーを信じてやれば、もっと良いものができる。この『OMG』は、この先、振り返ったときに、あれがデカかったねっていうような、すごく大事な1枚になったと思いますね。

【取材・文:秦理絵】

tag一覧 シングル 男性ボーカル Bentham

リリース情報

realize

realize

発売日: 2019年09月18日

価格: ¥ 2,000(本体)+税

レーベル: SLIDE SUNSET

収録曲

01. realize
02. Discord
03. ユートピア
04. インストップデート
05. letter
06. イドラ
07. joker

ビデオコメント

リリース情報

OMG

OMG

2015年11月11日

KOGA RECORDS

1. YUMEMONOGATARI
2. クレイジーガール
3. タイムオーバー
4. After party
5. STORY
6. ハイルーフ
7. contact
8. 雨と街

このアルバムを購入

お知らせ

■ライブ情報

Bentham「OMG」Release Tour
2015/11/13(金)静岡UMBER「TOWER RECORDS静岡店×Wooly "good(s)ound vol.4"」
2015/12/01(火)千葉LOOK
2015/12/05(土)仙台FLYING SON
2015/12/08(火)富山SOUL POWER
2015/12/09(水)金沢vanvan V4
2015/12/15(火)岡山PEPPER LAND
2015/12/16(水)広島CAVE-BE
2015/12/17(木)福岡Queblick
2015/12/18(金)大分CLUB SPOT
2015/12/19(土)長崎STUDIO DO!
2016/01/29(金)名古屋APOLLO BASE
2016/01/31(日)大阪2nd LINE
2016/02/16(火)渋谷CLUB QUATTRO<TOUR FINAL!!!>
...and more!!!

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る