KANA-BOON、シナリオアートとのスプリット・シングル「talking / ナナヒツジ」

KANA-BOON | 2015.11.11

 「talking / ナナヒツジ」は KANA-BOONと、レーベルメイトのシナリオアートとのスプリット・シングル。スプリットというスタイルは最近では珍しいが、KANA-BOONは同世代バンドとのガチの勝負に全力を傾ける。このスプリットは、アニメ「すべてがFになるTHE PERFECT INSIDER」のオープニングとエンディング・テーマ曲になっている。
 「talking」はKANA-BOONがデビュー前年に5カ月連続でリリースした2曲入りシングル5枚の中に入っていた10曲 中の1曲。これまでメジャーでは音源化されていなかったが、ファンの間では人気の高い曲だった。その“マボロシの名曲”をスプリットにぶつけてきたのだ。
 通常盤のカップリングの「ぬけがら」も、アニメ盤のカップリング「PUZZLE」も、それぞれにタイプの異なるKANA-BOONの今の表情がある。高いクオリティを保ちながら、毎回、新しいバンド・ミュージックを探し続けるメンバーの、谷口鮪、古賀隼斗、飯田祐馬、小泉貴裕の4人に話を聞いた。

EMTG:「talking」は、KANA-BOONの中では古いナンバーなんだね?
谷 口:はい、デビュー前年の秋に5カ月連続で自主企画ライブをやったんですけど、毎回、2曲入りのシングルを出すことにして曲を作っていったんです。その中の1曲です。
EMTG:じゃあ、その時点で一度レコーディングしてたんだ。
谷 口:そうです。それはそれで完成してたんですけど、今回のアニメに合うってスタッフさんが言ってくれたので、だったら今の自分たちの技量でもう一度レコーディングしてみるのもいいかなって。
EMTG:昔、一度完成させた曲を、今やってみるって面白いね。やってみて、どうだった?
谷 口:びっくりするぐらい、できなかった(笑)。
EMTG:あはは、そういうもんか(笑)。
小 泉:デビューして、レコーディングやライブをやってきて、バンドで出すグルーヴの難しさをわかってきた今だからこそ、この曲の難しさがわかったっていう。
谷 口:「talking」は、曲としての土台はしっかりある。その音楽を鳴らして、今回はそこに今の自分たちの味を付けるっていう作業だった。“更新”するっていう感じでしたね。
古 賀:昔あった曲っていう感じではなく、今の曲としてやってみて、難しいところもあったけど、僕は裏ノリのリズムの練習をずっとやってきたから、それほど苦労はしなくて。
小 泉:言うねえ(笑)。
EMTG:古賀くんのギター・ソロは、16小節がきっちり組み立てられてて、かっこよかった!
古 賀:フレーズはインディーの頃とそれほど変えてないんですけど、起承転結を意識して弾きました。
飯 田:今回、ベースは違うフレーズを考えたり、いろいろ試してみました。でも、最終的には昔いいと思ったフレーズに戻りましたね。フレーズは変えないけど、その代わりに「リズムで勝負!」って決めて、今の時点でいちばんいいグルーヴが出せたと思います。
EMTG:「talking」はベースから始まってるけど、大丈夫だった?
飯 田:そこはプレッシャーを感じて、苦労しました。
古 賀:すごく時間かかってたもんな(笑)。
EMTG:5カ月で10曲って、すごいよね。
谷 口:“豊作”の時期!あの時の10曲は、全部好き。数曲作って、録ってっていうのを繰り返してました。まとめて作るから、いい部分もありましたよ。こういう曲があるから、次はタイプの違う曲を作ってみようとか、バリエーションも生まれたし。パーッと作って、パーッと録って、「これ、いいね、いいね」ってみんなで聴いて楽しむ。リスナー感覚が強かった。自分たちが、自分たちのリスナーっていう。今は、「ここはこうした方がいいかな」とか聴くときにどうしても考えちゃうんですけど、今回は知り尽くした曲だからこそ、気にせずに聴けたのがよかった。無意識に曲を作ってた頃の気持ちを取り戻せたところもあります。
EMTG:今の曲の作り方もいいけど、その当時の良さを思い出せたのはよかったね。
谷 口:はい。無意識に作ってた自分を思い出しました。今は人前で歌うことを意識したり、どんな場面で聴かれるかを考えたりしながら作ってる。それはそれですごくいいことだけど、何も考えずに作ってた頃の気持ちを思い出すのも大事だと思います。
EMTG:改めて、昔の曲を今録り直してみて、どうでしたか?
谷 口:曲の難しさがわかったと同時に、昔はわからなかったこの曲の良さに気付くことができた。歌で言えば、当時は少年性の強い声だったけど、今は柔軟性が出せるようになった。今回はこの曲の持っている色気を引き出せたと思います。
小 泉:「talking」が持っている本来のグルーヴに気付けたことに、ドラムとしてちゃんと向き合えてよかったです。
古 賀:僕はずっと“ギターをきれいに弾くこと”をいちばんに考えてきたけど、今回はそれよりも“ニュアンスが大事”って意識し始めました。そこが変わりましたね。聴いてて、ギタリストの姿が浮かぶようなニュアンスを出していきたいと思ってます。
飯 田:前は“かっこいいこと”だけを考えてました。もちろんそれも大事だけど、今は“曲の中で自分がどうあるべきか”を理解しようと思ってます。たとえば「talking」のイントロは指で弾いてます。ずっとピックで弾いてきたけど、必要なら指で弾く。苦労しても、その方がいいなら、やろうと思うようになった。
EMTG:すごい成長だね。きっと昔の曲をもう一度ちゃんと録音する時期だったのかもしれないね。そしてカップリングの「ぬけがら」は?
谷 口:スプリットを意識して、真っ直ぐで懐かしさのある自分たちらしい曲にしようと思いました。シナリオアートのファンの人たちも聴くから、彼らにも刺さる曲でありたい。僕らとシナリオアートって、表面的には真逆のバンドだと思うんですよ。向こうはファンタジックでドリーミーで、僕らはリアルで。その二つのバンドの個性が、補い合ったり、勝負したりするのがスプリットだと思う。シナリオアートに対してもKANA-BOONをアピールしたかったし、いい形になったと思います。
小 泉:この曲では“ドライヴ感”っていうKANA-BOONらしさも出せてるし。
古 賀:僕は、とにかく明るい印象をリスナーに与えたくて、そういうギターを弾くことを心掛けましたね。歌詞にちょっとネガティブなところがあるけど、前を向けるような曲にしたくて、楽しく弾くようにしました。
飯 田:きれいにまとめるっていうより、みんなそれぞれに考えたプレイが、合わさってよくなってる。そういう曲だから好きですね。
EMTG:「PUZZLE」は?
谷 口:シングルの表題曲が昔の曲だから、“ムダに書下ろしをしよう”って決めて作りましたね(笑)。これはアニメ盤の方に入るので、アニメの「すべてがFになるTHE PERFECT INSIDER」に寄せて、ミステリー、謎解きっていうテーマに合わせて歌詞を書いたんです。
古 賀:曲はセッションで作った。ギラッとしてるでしょ。
谷 口:頭よさそうな感じにしたくて、細かいところまできっちり詰めました。
EMTG:頭よさそうって(笑)。なんかバンド内のコミュニケーションがちゃんと取れてて、絶好調な感じ。
谷 口:あ、それはこの前、メンバーだけで呑み会して、久しぶりに思ってることを全部言い合ったんですよ。
EMTG:“武道館以降”の思いとかね。
谷 口:そうです、そうです。武道館直後は、単純に「またやりたい」って思ってたんですけど、だんだん「同じことをしても意味ないから、何かチャレンジしよう」ってなってって。でもあの武道館のプラスの部分が大き過ぎて、正直、どう頑張ったらいいかわからなくなってたところもあった。なので、次にツアーのこととか、来年に向けての準備とかをしっかり話し合いました。
古 賀:エモい話もそれなりにして(笑)。
谷 口:それでうまく気持ちが切り替えられましたよ。
EMTG:ますます今後が楽しみだね。ありがとうございました。

【取材・文:平山 雄一】

tag一覧 シングル 男性ボーカル KANA-BOON

リリース情報

HOUSE

HOUSE

発売日: 2019年07月03日

価格: ¥ 1,000(本体)+税

レーベル: ドリーミュージック

収録曲

01.HOUSE
02.車のかげでキスを

ビデオコメント

リリース情報

talking / ナナヒツジ(初回盤A/アーティスト盤)

talking / ナナヒツジ(初回盤A/アーティスト盤)

2015年11月11日

Ki/oon Music

[CD]
1. talking / KANA-BOON
2. ナナヒツジ / シナリオアート
3. ぬけがら / KANA-BOON
4. トワノマチ / シナリオアート

[DVD]
KANA-BOON
「KANA-BOONのとぅるとぅるかむとぅるーTOUR 2015 ~夢のアリーナ編~」より
1. タイムアウト (at 大阪城ホール)
2. 大阪城ホール公演ドキュメンタリー&インタビュー
3. とぅるとぅるかむとぅるーMC 大阪城ホール編
4. 日本武道館公演ドキュメンタリー&インタビュー
5. パレード (at 大阪城ホール)

シナリオアート
20150703 at ebisu LIQUIDROOM「ワンマンツアー 2015 [Scene #1] -Happy Umbrella-」より
6.アオイコドク
7.フユウ
8.ナイトレインボー

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お知らせ

■ライブ情報

Ki/oon Music presents / SLASH /
2015/11/15(日)新木場STUDIO COAST
出演:KANA-BOON、BLUE ENCOUNT、シナリオアート、DJみそしるとMCごはん and more!!

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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