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【2日目】L’Arc-en-Ciel、20年の歴史と今を体感した2日間

L'Arc〜en〜Ciel | 2011.06.24

 5月29日、2日目の味の素スタジアムは台風2号の影響で、天候は大荒れ。気温も低い中、カッパ姿で開演を待つ客席。ステージに溜まった水を掃き出している数人のスタッフ。前日にtetsuyaとkenがネックが雨で滑るとMCで言っていたことを思い出し、機材は大丈夫だろうかと思ったが、その心配は杞憂に終り、初日を超えるエネルギッシュなステージを見せてくれた。
 前日同様、スクリーンにセットリストのメニューの年代に沿った写真やMusic Clipがヒストリー的に映し出され、この日はステージ袖からyukihiroが登場。拍手と歓声の中、力強いビートを刻み始める中、メンバーが姿を現し、のっけから攻めのナンバー「READY STEADY GO」だ。激しい雨もいとわずにスロープに飛び出すhydeとken 。
「Pretty girl」へと続きアグレッシヴなナンバーを連射する。
 「成人式にようこそ!20才になりました。オトナになったので今まで以上に自分の責任で暴れたいと思います。ちょっとやりすぎたかな、この雨。調節しとくから」と笑わせ、このライヴが世界各国の劇場で生中継されていることに触れて、サングラスをはずし、「ハロー! アンニョハセヨ! ボンジュール! ニイハオ! コンニチハ!」と挨拶するhyde。

 セットリストは1999年に2枚同時発売されたアルバム『ark』『ray』から2007年に発売されたアルバム『KISS』そして現在までの楽曲が中心。スケール感たっぷりの「LOVE FLIES」、kenが渾身のソロを響かせ、メロディアスなtetsuyaのベースが心地よく絡むエキゾティックな「ALONE EN LA VIDA」、hydeの独唱で始まり、スタジアムが息を呑んだ「叙情詩」、イントロで大歓声が上がり、キレと迫力のある演奏に進化し続けるバンドの今が感じられた「DRINK IT DOWN」、暮れていく空の下で演奏された官能的かつ切ない「花葬」、静と動のコントラストが圧巻だった「浸食-lose control-」。花火が上がり、炎が燃え、テープが飛ぶ演出も華を添えるが、豪雨という逆境を逆手にとるかのような、4人の気合いの入った演奏とパフォーマンスが主役のライヴらしいライヴだ。L’Arc~en~Cielは派手に煽ることもしないし、一体感を求めることもない。音楽で繋がっているという、ステージと客席に流れる信頼感。それが空気から伝わってくる。

 長いインターバルの後、通常どおり出てくるのかと思いきや、心ニクい演出が。初日のオープニングと同じようにアリーナ後方から、今度は白いハマーリムジンで登場。姿が見えるように、あえてビニール傘をさしてステージへと歩いていくメンバー。スクリーンにはメッセージが。
「ありがとう。我々は新たな未来へ向かいます。次への一歩を踏み出します。みんな一緒に行こう。
そして、今日ココへ来れなかった人の想いも連れて行きます。共に乗り越えよう。これからも一緒。I love you」
 それは震災で大変な思いをしている人たちを含むファンへの彼らの意志表明だった。その直後に演奏された生命を繋ぐような切なさのある「forbidden lover」、hyde、ken、tetsuyaはもう、プールで泳いだように濡れている。そして、今のL’Arc~en~Cielの前を向く姿勢と未来への希望がパッケージされた新曲「GOOD LUCK MY WAY」が届けられた。

 「20年やってて、こんなどしゃぶり初めてじゃない?」と言っていたtetsuya。「L’Arc~en~Cielは巨大な船になったと思ってるけど、何度も暗礁に乗り上げては、メンバーやスタッフと一生懸命、努力して乗りこえてきました。すごく扱いにくくて、やっかいなバンドだと思うけど(笑)、どっかに魅力があるんだと思います。みんな口ベタなので演奏で気持ちを伝えたい」と最後に話したhyde。ラストナンバーは「BLESS」。祝福の鐘を鳴らすように七色の紙吹雪が会場に降り注いだ。

 そして、終演後に待っていたのは、約3年ぶりの全国ツアーがさいたまスーパーアリーナを皮切りに9月からスタート、2012年に香港、上海、台北、バンコク、ニューヨーク、ロンドン、パリ、などを巡るワールドツアーを行なうという未来を照らす嬉しいニュースだった。

【文:山本弘子】


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セットリスト

  1. READY STEADY GO
  2. Pretty girl
  3. NEXUS 4
  4. HEAVEN’S DRIVE
  5. LOVE FLIES
  6. snow drop
  7. ALONE EN LA VIDA
  8. 叙情詩
  9. NEO UNIVERSE
  10. Driver’s High
  11. REVELATION
  12. DRINK IT DOWN
  13. 花葬
  14. 浸食-lose control-
  15. HONEY
  16. SEVENTH HEAVEN
  17. STAY AWAY
  18. Link
  19. 瞳の住人
  20. forbidden lover
  21. MY HEART DRAWS A DREAM
  22. GOOD LUCK MY WAY
  23. BLESS

INFORMATION

■ライブ情報

♪20th L’Anniversary Tour
◆開始日:2011年9月10日(土)~

※ツアーの詳細はオフィシャルサイトをご確認下さい

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