レビュー
L'Arc〜en〜Ciel | 2015.12.22
2015年9月21日&22日に大阪 夢洲(ゆめしま)で開催された野外ライヴ『L’ArCASINO』。2日間で10万人を動員したこのライヴで初披露された新曲。それが「Wings Flap」だ。ライヴ当日、この新曲は、hydeのこんなMCの後に演奏された。
「夏っぽいシングルをリリースして、ライヴ本番に臨みたいと思っていたんですけどね、ご覧のような結果になって。でも、せめて今日になったとしても、なんとか新曲を聴かせてあげられないかと、L’Arc~en~Ciel、頑張りました!」
このひとことに、日本を代表するモンスターバンドの意地とハイクオリティーなサービス精神を感じたのは、私だけではないだろう。事実、観客は巨大なスクリーンに映し出される新曲の歌詞を真剣に追っていた。
ライヴで初披露された際には、洗練されたビート、Bメロからサビへ向かうメランコリックなメロディーライン、hydeのファルセット、ゴージャスなアレンジなど、L’Arc~en~Cielのナイーブでロマンチックな要素が色濃く出た楽曲だと思ったが、音源が上がってみて改めて聴いてみると、ギターソロやベースライン、そしてhydeの低音など、楽曲のダイナミズムがしっかりと刻まれている。緻密に構築されたアレンジは一聴して繊細だが、効果音的に砂嵐や強い風を思わせるような荒々しさも聴こえてくる。サビは圧倒的にキャッチ―だが、他の部分は一寸の隙もないほど練られているのはさすが。ヴォーカルのアップダウンも激しく、カラオケで歌うにはかなり練習しないと。(挑戦する人、頑張って!)ギターソロの大胆さ、これまで使ったことの無いようなエイティーズなエレクトリック サウンドをイントロからフィーチャーした、サウンドアプローチも新鮮だ。
歌詞は、言葉もシンプルでライヴ自体のことを歌っているようにも感じるフレーズもあるが、どこか刹那的で、終わりや始まり、運命(さだめ)を彷彿させる。英語と日本語の母音を使った言葉遊びもドキッとする。
……といろいろ書いてきたが、ひとことで言えば、大人のメロウなロック。これだけ刺激的な大人のメロウなロックにうっとりするのもいいが、しっかり言葉を追ってみて欲しい。L’Arc~en~Cielが、この「Wings Flap」がきっと、あなたの明日につながる、何かを見つけてくれる。
何かを始めるのには、何かを捨てなくちゃいけないこともある。私には、この曲がそう言っているように聴こえる。
【文:伊藤亜希】
リリース情報
Wings Flap(初回生産限定盤)[CD+BD]
発売日: 2015年12月23日
価格: ¥ 1,944(本体)+税
レーベル: Ki/oon Music
収録曲
[CD]
1. Wings Flap
2. HONEY -L’Acoustic version-
3. Wings Flap (hydeless version)
4. HONEY -L’Acoustic version- (hydeless version)
[BD]
●Wings Flap ?Music Clip-
●LIVE 2015 L’ArCASINO -Opening Animation-