ねごと@恵比寿リキッドルーム。バンドの本質が見えたワンマン!
ねごと | 2011.07.07
3月にリリースされた初のシングル「カロン」がLISMO!のCM曲に起用され、注目を集めている4人組のガールズバンド、ねごと。6月25日、恵比寿リキッドルームにて、ワンマンライヴが行われた。
チケット完売で迎えた当日。超満員の観客が待っている中、ステージに登場した4人。横一列に並び、手をつないで上に振り上げ、両手を小さなピストルに見立てたようなポーズを決めた。大歓声と大きな拍手の中、それぞれが定位置に向かい、スタンバイするメンバー。客席の期待が高まったのがわかるような、少し緊張した空気。その緊張を自分の中に取り込むように、蒼山幸子(Vo&Key)が、大きく息をした刹那、その手がバウンドするように鍵盤に触れた。
オープニングを飾ったのは「透き通る衝動」。きらめきを楽曲の疾走感に変えた、メロディアスなピアノのフレーズが響き渡る。このピアノを追いかけるように、バンドサウンドが、一斉に駆けだして行く。ベースの藤咲佑は、背中をそらし、状態をゆらしながら表情豊かなベースラインを操る。ドラムの澤村小夜子は、ちょっと下を向きながら、力いっぱい鮮烈なビートを叩きだす。ギターの沙田瑞紀は、リズム隊のはねるリズムに飛び乗り、頭を振りながら、楽曲に次から次へと様々な色を塗っていく。間奏。ピアノのフレーズに合わせて、客席から大きな歓声があがる。サビ。ふりみだした髪をそのままに、瑞紀(G)が、笑顔でコーラスをとる。ボーカルの幸子は、声を振り絞り、最後まで駆け抜けた。
以前、インタビューした際「全員、ライヴになると、変わるんです」と声を揃えた4人。まるで、眠っていた何かが目を覚ましたような4人の姿は、一瞬で、観客をねごとの世界に誘っていった。
曲に合わせて、客席から掛け声があがった「彗星シロップ」の後、この日最初のMC。幸子がマイクをとる。「今日はよろしくお願いします」と初々しい挨拶をした後、「こんなにたくさんの人に来てもらえるって思ってなかったんで……ねごと、緊張してます」と、これまた初々しい言葉を。震災で延期になり、振替公演となった本公演。ゆえに最後は、こんな言葉で締めくくった。
「本当に私たちもこの日を楽しみにしてました。どんどん曲をやっていこうと思います」
この言葉のとおり、既発のシングルやミニアルバムの収録曲はもちろん、7月13日に発売されるファーストフルアルバム『ex Negoto』からも4曲、新曲を披露。他にも「ねごとには、雨の日にしかやらない曲があるんです」と、予定のセットリストを変更し「雨」を演奏するなど、このバンドの、この日のライヴに対してのスタンス、否、ライヴに対してのスタンスが、感じられるようなサプライズな演出も見せた。
全体を通して感じた事は、しっかりと、今の自分達を見据えたライヴをしていた事。この半年で激変したであろう、自分達をとりまく環境に素直に感謝をしながらも、決してそこに心を揺らされる事無く、メンバーそれぞれがベストの状態でライヴに臨んだ結果が、ねごとというバンドの本質を印象付けるライヴとなったと思う。
ねごとというバンドの本質は何か。
ひとつは、曲の面白さにあると思う。どれだけポップな曲であろうとも、必ず耳に残るフックがある。だから、初めて聴く曲でも印象に残る。この日の会場は、彼女達のライヴを初めて観るという観客が半分くらいを占めていた。そんな観客が、どの曲でもステージを見詰め、楽曲を体全体で聴いていた事が、その証拠だろう。
そして本質のもうひとつ。ねごとの楽曲は、ライヴでは、音源とは違う表情を見せるという事。ライヴバンドならば、決して珍しくない現象だと思うが、彼女たちの場合、音源では楽曲のディテール、あるいは魅力の一面になっているエッジや、ドロリとした毒気みたいなものが、楽曲の中心になってくるあたりが、非常に面白い。透明感やきらめき、ポップさよりも、毒気やディープさが、このバンドの本質なのだと、ライヴを観るとよくわかる。特に、この日のライヴで中盤に演奏された「メルシールー」には驚いた。エキセントリックでサイケデリックでトランシー。作品では感じられなかった、彼女たちの楽曲の持つ空気に触れた気がして、音に包まれながら、肌が泡立つくらいゾクゾクした。
2度目のワンマンということもあり、正直、ライヴ全体の流れ、曲のつなぎ、演奏でつけられる音圧のメリハリなど、課題の多さも否めなかったが、課題が明確になったぶん、今後のバンドの成長スピードに、ますます拍車がかかる事を期待したい。
期待は、未来。ねごとの未来。それはもしかしたら、次のシーンへ続く未来かもしれない。未来に思いを馳せる事ができるバンドの登場、その実態(ライヴ)の成功に、心から大きな拍手を送りたい。
ねごとへ。
これからも、素敵な光景、見せてね。
【 取材・文:伊藤亜希 】
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リリース情報
セットリスト
- 透き通る衝動
- 彗星シロップ
- うずまき
- 季節
- フレンズ
- ワンダーワールド
- 七夕
- メルシールー
- 街
- ビーサイド
- ランデブー
- 雨
- NO
- ループ
- カロン
- 夕日
INFORMATION
♪SETSTOCK’11
◆2011年7月23日(土)
国営備北丘陵公園
[問]SETSTOCK’11 インフォメーションダイヤル
0180-998-900(24時間テープ対応)
♪JOIN ALIVE
◆2011年7月24日(日)
いわみざわ公園
[問]マウントアライブ
011-211-5600
♪GIRLS’FACTORY 11
◆2011年7月31日(日)
Zepp Tokyo
[問]ホットスタッフ・プロモーション
03-5720-9999
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください