ねごと、これがライヴで磨き上げてきたバンドの底力!EXシアターのZ day!
ねごと | 2014.08.06
この3月にミニアルバム『“Z”OOM』をリリースしたねごと。5月1日、2日にMt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて行われた『ねごとpresents「お口ポカーン!!“Z”OOM in “X day”」』、『ねごとpresents「お口ポカーン!!“Z”OOM in “Y day”」』に続き、7月20日、東京EX THEATER ROPPONGIで『ねごとpresents「お口ポカーン!!“Z”OOM in “Z day”」』が開催された。
会場が暗転する。ステージにスタンバイするメンバー。SEの4つうちのリズムが大きくなる。澤村小夜子(Dr・Cho)が、スティックを握った右手をスッと頭上に伸ばす。蒼山幸子(Vo・Key)、沙田瑞紀(G・Cho)、藤咲佑(B・Cho)が、少し腰を落として、次の瞬間を待つ。祐のベースのリズムが走り出す。幸子の声が追う。小夜子の右手が振り下ろされる。瑞紀が右手を半分旋回させ、ギターサウンドを空間に泳がせていく。満員の観客が、歓声とともに波打つ。
「真夜中のアンセム」。ミニアルバム『“Z”OOM』のオープニングを飾る、抒情的なメロディーが印象的なアップチューン。メッセージ性も強いこの1曲で、この日のライヴは幕を上げた。3曲目が終わったところで、「皆さんこんばんは、ねごとです。みんなよく来たね、ありがとう!」と、幸子が最初の挨拶。「こんなにたくさんの人が来てくれると思ってなかった。だから緊張してたんだけど(ライヴが)始まってみんなの顔が見えて、無くなりました」と言いながら、笑顔を見せた。
「彗星シロップ」。軽やかに前に出てきたギターの瑞紀。彼女のギタリストとしての持ち味は、変化自在なアプローチだが、その手腕をしっかりとアクションとサウンドで印象づける。途中、幸子がハンドマイクに持ち替え、ステージ中央に出てくると、瑞紀が寄り添った。お互い向き合って、サウンドに合わせてアクションするというパフォーマンス。初めて見る光景だった。
ミニアルバム『“Z”OOM』の収録曲から、佑が作詞を手掛けた「風惹かれ」、続いて瑞紀が作詞をした「Dreamin’」を披露した後は、「nameless」へ。原曲はエレクトロな色も濃厚だったが、この日は、もう少しロックティストが強いというか。大きくアレンジが変わっている印象はなかったが、メンバー1人1人の演奏が半端ないくらいエモーショナルで、ゾクゾクした。彼女たちの情熱を、観客はモッシュ・サークルで受け止めた。
小夜子がマイクをとる。「やっぱりワンマンだね。ワンマン、楽しいです、ありがとう」と言った後は、メンバー全員が参加する形で、この5月以降のライヴの話へ。初めてコインランドリーを使ったとのこと。曰く、コインランドリーで財布を洗濯してしまった、洗剤を入れるのを知らなかったと展開した後、話を振られた瑞紀が言ったひとことがこれ。「え、どの話ですか」。話を聞いていなかった瑞紀に、会場は大爆笑となった。
濃いブルーから薄いパープルへ。ステージの光のグラデーションが、目の前の光景に溶けていく。「街」。ここから数曲は、ミディアム、バラードが続くブロック。彼女たちは、自分たちの楽曲をライヴという空間に曲を染みこませるように、しっかりと丁寧に綴っていった。「B.B.B」が終わったところで、幸子が再びマイクをとり、ニューシングルの発売決定を報告。9月24日に両A面シングルをリリースする。「待ってたよー!」とう観客の声に応えるように幸子が続けた。
「両方とも今年になってから作った曲たち。(私たちは)言葉下手で、愛情表現下手だけど“みんなのこと、好きだよ!”という気持ちをこめました。特別に今日1曲やろうと思います。みんなで楽しんでもらおうと、そうずっと思いながら作った曲です」
新曲「アンモナイト!」。デビュー当時のねごとを彷彿させる、キュート・グランジ・ポップ。リズムのアプローチなど「ワンダーランド」に通ずる世界観か。が、デビュー当時と明らかに楽曲のスケール感が違っていた。デビュー当時は、ミディアム・ポップな曲は、どことなくトイミュージック感があったが(それはそれで持ち味だったのですよ)、新曲にはそのティストが皆無。そのサウンドの様に、改めて4人のスキルアップを感じた新曲だった。
ライヴは後半へ。「東京まだまだ行けますかー!」と「greatwall」。サビの抜け具合では、ねごとのレパートリーの中でも1~2位を争うナンバーだ。サビに合わせて、観客がジャンプする。エンディングで、佑がベースを弾きながらステージ前方へ。そのまま上手(定位置とは逆サイド)に少しスキップするように移動すると、ライティングが一転した。ピンクに染まるステージ。グッと屈伸するようなアクションを見せ、佑が次曲の最初の音を鳴らす。一音だけで会場から大歓声があがる。「ループ」。客席から“ハイ!! ハイ!!”の掛け声が起こる。佑がスカートの裾を翻して何度もジャンプする。間髪入れず「カロン」へ。イントロのピアノのフレーズの音色を変えてきた。幸子が少し目を細めながら、シャウトする。瑞紀が天を仰ぐように上体を揺らしながら楽曲に色を落としていく。小夜子は少し下を向いて、力強いリズムを刻んだ。♪当たり前の 愛の歌 歌って……♪、何度も聴いてきたこのワンフレーズが、グサリと胸に刺さる「カロン」だった。
「greatwall」から「カロン」の流れは、間違いなくこの日のハイライトである。そして、今のねごとが、バンドとしていい状態なのがわかる名場面でもあった。
「ループ」と「カロン」は、デビュー当初から、ねごとのライヴのキラーチューンだ。ゆえに、セットリストの中では、1曲は前半の盛り上がり、もう1曲は後半の盛り上がりに置かれることが多かったように思う。それを同じブロックに持ってきて、立て続けに披露できるようになったのは、デビュー以降の彼女たちの努力が結実した結果だろう。「ループ」と「カロン」以外で、ストレートに観客を盛り上げられる曲が、たくさん出来たのだ。
「sharp♯」以降“お客さんとつながりたい、一緒に楽しみたい”という思いから、シングルは徹底してアップチューンにこだわってきたねごと。ゆえに、この2年弱の間に、曲数や、観客に対する楽曲の認知度は蓄積されてきた。しかしリリースしただけでは、ライヴのキラーチューンにはならない。ライヴを重ね、何度も演奏することで、ねごとは観客たちと一緒に楽曲たちを育ててきたのだ。
ねごとが種をまき、育ててきたいくつもの花。それがこれまでとは違う花を咲かせた。そんな瞬間だった。
幸子のMC。結成当初からの自分たちのこと、そして気持ちの変化を「最近になって音楽に生かされてるんだと思うようになってきた」と振り返った彼女。さらに、約束は儚い、でもとても大切なことです、と言った後、こう締めくくった。
「これからももっともっとみんなにいい夢を見せることを約束するから、ついてきてください」
この言葉を受け歌われたのが、包み込むような優しさと強さを内包したバラード「勲章」だった。
アンコールは2曲。約2時間弱のワンマンライヴ。最後を締めくくったのは、幸子のこんな言葉だった。
「本当にみんな愛してます。本当にありがとう」
この日のライヴで初披露された「アンモナイト!」を含む両A面シングル『アンモナイト! / 黄昏ラプソディー』は、9月24日リリースされる。
ねごとが進む次の道を、早くこの目で見たい。
【取材・文:伊藤亜希】
【撮影:中島たくみ】
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リリース情報
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セットリスト
ねごとpresents「お口ポカーン!!“Z”OOM in “Z day”」
2014.7.20@東京EX THEATER ROPPONGI
- 真夜中のアンセム
- メルシールー
- シンクロマニカ
- 彗星シロップ
- メイドミー
- M.Y.D.
- 風惹かれ
- Dreamin’
- nameless
- そして、夜明け
- week…end
- 街
- たしかなうた
- B.B.B
- アンモナイト!
- 迷宮ラブレター
- greatwall
- ループ
- カロン
- 勲章
- Re:myend!
- Sharp♯
お知らせ
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2014/08/22(金)京都MOJO
MONSTER baSH 2014
2014/08/24(日)香川県・国営讃岐まんのう公園
AOMORI SHOCK ON 2014
2014/09/27(土)青森港新中央埠頭野外特設ステージ
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。