UVERworld、国立代々木競技場第一体育館の模様をレポート
UVERworld | 2011.07.29
6thアルバム『LIFE 6 SENSE』を聴いたとき、ものすごい景色を目にすることになるだろうことは想像出来ていた。
しかし。ここまで最高の景色を見せてくれるとは----。
目の前に広がった想像以上の熱い光景に圧倒された。こんなにも激しく、こんなにも硬派に、こんなにも全身全霊で音と唄を届けながらも、心からの屈託のない笑顔を放ち、まるで子供が無邪気に飛び跳ねてはしゃぎまくるかのようにライブを楽しんでいた彼らの姿を見たとき、“これだよな。生きてるって”と思った。言い切る強さを持つ彼らからのメッセージには、不思議と押し付けがましさはない。ただ、余力を残す事なく全身の力でぶつかるその様を目の当たりにすると、自然と頑張らずになんていられないという気持ちにさせられる。余力を持って生きることが恥ずかしく思えてくるのだ。彼らの音と唄には、そんな説得力が宿っている。
2011年7月10日。UVERworldは国立代々木競技場第一体育館に立っていた。この日は、現時点での最高傑作『LIFE 6 SENSE』を引っさげた長いツアーのファイナルステージだ。
この場所は、彼らにとって大きな節目を迎える前に立った特別な場所でもある。
“もう嫌なんだよ! 夢を夢のままで終わらせんのは嫌なんだよっ!”
そう叫び、東京ドームを発表したあの場所。あの発表の瞬間を思い出すと今でも体がゾクゾクする。会場に集まったオーディエンスが一斉に歓喜の声を上げたあの瞬間を、私は忘れる事が出来ない。
常に有言実行を貫く彼らは、夢を夢のままで終わらせないことを約束し、実行してくれたこの場所で、今日は『LIFE 6 SENSE』というUVERworldという名のロックを見せてくれる。
力強くもあり、美しい1曲であった「一石を投じる Tokyo midnight sun」。アルバムの中でもひと際異彩を放っていた女性の声から幕を開けるこの曲を、TAKUYA∞は“ある構想があって、それを具現化するために必要な曲”だと言った。彼の頭の中にはこの曲を作った時点で、既にこのツアーのオープニングの景色がハッキリと描かれていたのだ。
SEが流れ、メンバーがステージに現れ、初っ端からガツンとヘヴィなサウンドをお見舞いする。UVERworldは、そんな当たり前の始まりを当たり前にやるバンドではないことは知っている。なんたって、東京ドームのオープニング用に作った曲(「NO.1」)をライブ直前に“東京ドームで1曲目となる曲”とうたってリリースし、その曲にそこで叫びたかった感情のすべてを吐き出すようなヤツらなのだから。だからこそ、今回のTAKUYA∞の頭の中にあった“ある構想”が楽しみでならなかった。
そして、ライブは始まった。ナント、女性ボーカルのフェイクから始まったのだ。思わず“あれ? 今日はUVERworldのライブにここに来たんだったよな???”と戸惑ってしまうほど意外な始まりだった。これこそがTAKUYA∞が思い描いた構想だ。
広いステージの中央に立って声を張る女性シンガーの声に集まったオーディエンスの全神経が集中する。その声を打ち砕くように始まっていった「一石を投じる Tokyo midnight sun」。女性ボーカルが会場に生み出した静寂は、彰、克哉、信人、真太郎の一丸となったサウンドによって一気にヘヴィな世界へと塗り替えられたのだ。意表をつかれたその始まりにオーディエンスは大きな歓声を送った。TAKUYA∞の“ある構想”に客席はまんまとハマったのである。既に最高の景色がここに在った。
TAKUYA∞の強い声が彼のボーカリストとして成長を物語っていた「ace of ace」を2曲目に、曲は間髪入れず「6つの風」「NO.1」へと繋がれた。自分たちの音と唄を渇望するオーディエンスたちに、より近くで声を届けようとステージの先端ギリギリまで身を乗り出して唄うTAKUYA∞。全魂を音に注ぎ込む彰、克哉、信人、真太郎。そしてサックスとマニュピレーターを担うSEIKA。6つの風はフロアに生きる感覚を吹き込んだ。
「嬉しいんだよ! 楽しくてしかたないんだよ! 感謝してるよ。この気持ちは音楽で100%にして返してやっから全部持って帰れよ! どっちが真っ裸になれるか勝負だ!」(TAKUYA∞) TAKUYA∞は最高の笑顔でそう叫んだ。彼はその言葉どおり、曲の中で楽しさを押さえきれず何度も何度も飛び跳ね、その嬉しさを全身で表現していた。
7曲目に届けられた「魑魅魍魎マーチ」では、メインステージ中央から突き出たサブステージへと移動し、ゆっくりとせり上がってきたドラムセットを囲む形で曲が届けられた。同じ高さ、同じ位置に並び音を届ける5人に彼らの原点を感じた。
「めったにやらない曲だけど、スペシャルな日だからやろうぜ!」そんなTAKUYA∞の一言を挟み、彼らはここで続けてデビュー前に作られた「SHAMROCK」を贈った。
「7月6日でデビュー6年目を迎えました。俺ね、ツアーにまわる前に必ず見るモノがあるんだよ。デビュー前に渋谷のO-crestでやったライブの映像。13枚しかチケット売れなかったんだよ。結成11年目を迎えるけど、結成当時は彰が15歳だったし。いろいろあっての今だと思います。でも、今もデビュー前に作ったこの曲(「SHAMROCK」)を、こうしてここで出来てることが嬉しいです! ありがとう。デビューまでは自分1人のために唄ってきたけど、デビューから6年でみんなのために唄う歌に変わりました。これからやる曲は、そんな想いを込めて作った曲です」(TAKUYA∞)
そんな言葉の後に届けられたのは「MONDO PIECE」。繋ぎ止めるのではなく、君が選んだ道がさよならなら、それを大切にするのがいいとそっと背中を押して送り出す印象のこの曲は、とらえ方によって聴き手は突き放されたような寂しさを感じるかもしれない。が、しかし、彼らはこの曲の最後でこう唄う。
“本当に出会えてよかったと思ってるよ”と。そして、もしも君が戻ってきたなら、二度と離れることはないと。それは彼らの強さであり懐の大きさを示すモノだ。人の痛みの解る人間にしか唄えない言葉。私はこの曲の中にある“どうしたって幸せすぎると、僕たちは何も残せない”というフレーズがたまらなく好きだ。本当にそう思う。この曲は彼らUVERworldの生き様そのものだと私は思う。
そんな彼らは、3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震を受け、更にUVERworldとしてちゃんと歌うべきことを見つめ直し、「白昼夢」を生み出したのだ。
激しい中に優しさが宿った。UVERworldの音と唄に、更なる飛躍を感じた。
「ありがとう。俺は次に闘う準備が出来ました! 嫌なことと戦える自信が持てました! 空気吸って吐いてるだけじゃダメだんだ。生きていかなくちゃダメなんだ! またここに集まろうな!」(TAKUYA∞)
ラストは「CORE PRIDE」。まだまだ行けるぞ! 死にものぐるいで未来を変えてやると叫ぶ彼らにオーディエンスは両手を高く、そして力強く振り上げて応えた。
自分をカッコ良くみせようとする見せかけはプライドとは言わない。カッコ悪くたっていい。死に物狂いで必死に生きる姿こそが強さであり、自分に負けない強さこそがプライドなのだ。そう教えてくれるこの曲には、彼らが1番伝えたい“生きる証”が詰め込まれていた。
UVERworldという名のロックは、唯一無二な世界を築き上げた。そして。そのロックは、そのライブは、私たちに“生きる証”を教えてくれた。
そして。私たちに生きる証を教えてくれた彼らはこの日、またひとつ強くなった。
7年目の新人UVERworld。
彼らの未来に乾杯!
【 取材・文:武市尚子 】
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リリース情報
LIFE 6 SENSE【初回生産限定盤】
2011年06月01日
SMR
1. CORE PRIDE
2. いつか必ず死ぬことを忘れるな
3. 一石を投じる Tokyo midnight sun
4. ace of ace
5. NO.1 (album ver.)
6. クオリア
7. シークレット
8. 勝者臆病者
9. 6つの風 (album ver.)
10. 一億分の一の小説
11. MONDO PIECE
12. 白昼夢
[DISC:2]
1. GOLD (Music Video)
2. クオリア (Music Video)
3. NO.1 (Music Video)
4. MONDO PIECE (Music Video)
5. core abilities [short edition] LAST Tour 2010 Zepp Tokyo 2010.07.07 Digest (Special)
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INFORMATION
♪UVERworld 47/47 TOUR 2011
◆2011年4月15日(金)→2011年11月6日(日)
崇城大学市民ホール(熊本市民会館)
問い合わせBEA/092-712-4221
※ツアーの詳細はオフィシャルサイトをご確認下さい