Galileo Galilei、新木場STUDIO COASTでワンマンライブ開催!!
Galileo Galilei | 2011.12.07
リスナーが求める曲を作り出すのはもちろん大切なことかもしれないが、自分達が鳴らしたい音楽に全力を注いでいるバンドは軸が一切ズレることがない。それに自身の気持ちに無理をすることなく曲を奏でている分、迷いを感じられないし、より澄み切って染み渡ってくるように思う。Galileo Galileiのライヴは、そんなことをしみじみと感じさせられる時間だった。それほど彼らは自分達が信じる音楽にベクトルを向け、好奇心と探究心を持って猛スピードで「今」を進んでいるのだ。
今年の2月にアルバム『パレード』をリリース。6月には4thシングル「青い栞」でギター・ロックから打って変わり、エレクトロニカを融合させたサウンドを展開。その後も、ギター・ロックとは異なるサウンドへと一気に方向転換してきた。変化したといっても彼らの良さである透明感は失われていないし、それどころか北海道に拠点を移したことでさらに信頼感が深まり、メンバー達の感情の解放感までもしっかり伝わってくる。そんなここ1年の急速な進化を披露するべく、11月20日に「新木場STUDIO COAST」にて、「【草】はっぱカッター【草】」と題したワンマン・ライヴが開催された。
ライヴはインスト曲「4」からスタートし、「青い栞」から「さよならフロンティア」と、今年リリースされたシングルの楽曲を連発。ヴォーカル&ギターである尾崎雄貴の包容感ある歌に添うように、他の楽器達も歌を歌っているかのごとく曲想を描いていくのが気持ち良い。「4」以外は人気アニメやドラマの主題歌にもなっており、これらのシングル曲をきっかけにバンドの存在を知った人達も多いはず。まさに、「最近の彼ら」を象徴する楽曲とも言えるだろう。
そして、ここからが彼らの見せどころ。無難にライヴの定番曲などで進行せずに、12月7日にリリースされる6thシングルのカップリング曲「マーブル」やタイトルも未定の新曲を立て続けに見せつけていくのだ。どちらかというと新曲はダンスノリで、思わず体を揺らしたくなるものばかり。以前取材した際に「歌詞も世界観もすべて、音楽以外の意味のないものにしていきたい」と語っていただけに、たぶん、メッセージとか理屈抜きにして「感覚で良い」と思えるものを作り続けているのだろう。まさかロック音を鳴らしていたバンドがここまで駆け上がるとは……。想像を上回る表現力の凄まじさに、ただただ感嘆としてしまった。といっても、デビュー当時から聴いていただけに、成長の証を楽曲から溢れ出てくる、ポップのカケラからもビシバシと感じられるのは嬉しいものである。さらに、担当の楽器だけではなく、シンセサイザーやサンプラーといった様々な楽器までも操作するなど、マルチな才能も発揮。クリエイターとしても、一歩一歩進み始めているのを実感できた瞬間だった。
新曲の披露が終わったあとは、「新曲ってノリにくいと思うんですけど、集中して聴いてくれてありがとうございます」という雄貴からのMC。そして、遠足のおやつの話しなど、いつもと変らない雄貴とドラムで実の弟である尾崎和樹の絡みもあり、少しホッとする瞬間に。どれほどバンドが変化したとしても、この和む瞬間は残っていてほしいものだ。そう心の中で思ったオーディエンスも多かったのではないだろうか。
次いで「くそったれども」から6thシングルの表題曲「明日へ」が鳴り響くと、先を見据えた言葉の数々が。詞は基本的に雄貴がすべて手掛けているが、どちらの楽曲もバンドが行く先を照らすような、バンド自身の「心の声」として聴こえてくる。また、透き通った水の中にでもいるようなサウンドで、ただその場にじっとしているだけでも、音で作られた空間の奥底に浸っている感覚に。これがまたとてつもなく心地良く、ついついうっとりしてしまう。
「ずっと見てもらいたかった、新しい姿を見せられました。ここからは今までの楽曲をやっていきたいと思います」。そんなMCを合図に、終盤は「Monday7s」や「夏空」を演奏。そして「ハローグッバイ」では、なぜか和樹がドラム・セットから離れ、サンプラーの前に。それだけではなく、ギターの岩井郁人はキーボードも弾いているし、ベースの佐孝仁司は同期音も使い出している。と、誰もが想像をしていなかった、新しいアレンジでの「ハローグッバイ」を展開したのだ。「あぁ、彼らはもっともっと変っていく」。驚きの中にも安心感が生まれ、音と真っ向に向き合っている彼らが勇ましく見えた。
アンコールでは「前のめりに頑張っているバンドなので、違うよって思うこともあるかもしれないけど……。でも、僕達はいいと思った音楽を伝えるためにやっています。それだけは自信があるので、これからもGalileo Galileiをよろしくお願いします」という彼ららしい言葉も。音楽を模索し追求している今、活動の加速スピードは衰えることはなさそうだ。来年はもっともっと、違った姿を見られるのではないだろうか。これまで積み重ねてきた「過去」、今存在する「現在」、そしてまだ見ぬ「未来」さえも想像させる、彼らの希望の光も含めたすべてが凝縮されていたステージだった。
【 取材・文:松坂 愛 】
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