Galileo Galilei、驚異的な進化を遂げた意欲作『PORTAL』のレコ発ツアー最終公演
Galileo Galilei | 2012.05.11
彼らの地元である北海道・札幌にプライベートスタジオを設け、寝食を共にし、メンバーのみで音楽にじっくりと向かい合って制作した意欲作『PORTAL』を1月にリリースしたGalileo Galilei。そのレコ発ツアーの最終公演となったのはZepp Tokyo。世間はゴールデンウィークに突入し、天気は快晴。多くのオーディエンスが会場に集まった。
SEが流れる中、メンバー5人が登場し、各々がラフに音を出し始めた後、インストナンバーである「4」をスタートさせた。スポットライトに照らされた5人が向き合い、お互いの様子を確認しながら、ダイナミックなバンドサウンドをフロアに拡散していく。そして、キーボードの野口一雅だけではなく、各メンバーの手元にシンセサイザーやサンプラーが配置されていて、「さよならフロンティア」ではベースの佐孝仁司が、「Freud」ではボーカルの尾崎雄貴、ギターの岩井郁人がそれらを使って、アルバムが持つドリーミーで浮遊感のある世界を構築し、客席を飲み込んでいった。
前アルバム『パレード』がリリースされたのが、2011年の2月。ギターロックを高らかに鳴らしていた少年達が、たった1年でここまで先鋭的な音を作り上げるようになるとは、誰が想像しただろうか。しかも、ただ単に大幅なシフトチェンジをしたというわけではない。あくまでもGalileo Galileiというバンドが持つ、瑞々しさや親しみやすいポップ性を保持したままである。「明日へ」の歌詞に<進化する日々/進化する歌>とあるが、まさにそれだ。“変化”ではなく、確実に“進化”である。
また、新しい楽曲群を成立させる要素として、佐孝と尾崎和樹(Dr)のリズム隊の存在がかなり大きい。雄貴と岩井がギターをかき鳴らし、轟音の中で呼吸を合わせつつ始まった「星を落とす」では、ミラーボールが煌めき、ファンタジックで壮大なスケールを描く。そこから次いで披露された「Good Shoes」の躍動感は、曲をただの夢物語の世界ではなく、とてもリアルなものとして、力強くボトムを支える。実験的・挑戦的な作品を制作した上で、それをしっかりと音源以上のクオリティでライヴでも鳴らすことが出来るのは、間違いなく成長の証であり、たくましさを感じた。
MCで雄貴が「アルバムを僕らを好きでいてくれる人達と共有して、さらに深い世界観にレベルアップさせたいと思っている」と語った通り、この日のセットリストは、『PORTAL』を中心に、『パレード』以降にリリースされたシングルのカップリングを交えたもので、それ以前の曲は、オーディエンスがタオルを振り回すライヴの定番曲「Monday7s」のみ。派手な演出はほぼ皆無、本編ではMCの時間も短めに、黙々と曲の世界観を構築していく。もしかしたら、古くから彼らを応援していたファンはこの状況に戸惑ったかもしれないが、“自分達の聴いてほしい音楽をしっかりと届ける”という行為は、それに自信があるから出来ることであり、音楽家として健全な姿とも言える。「マーブル」で、雄貴がギターを弾かずにマイクを両手でしっかりと握りしめ、前をまっすぐに見つめて歌う姿から、そんな彼らの想いを垣間みれた気がした。
そんな張りつめた空気とは一変、アンコールのMCでは「これが4個あれば、君たちもバンドが出来ます!」と、雄貴がサンプラーの便利さを力説したり、「メガネが落ちてくるのでガムテープで止めていた」と岩井が話す。「東京は暖かいですね。今日は何℃ですか?」と客席に話しかける野口や、「僕は眼鏡をガムテープでとめていません! ちゃんと市販のメガネどめを使ってます」と言った佐孝、そして和樹は「今年高校を卒業したんですけど、“高校生のわりにすげぇじゃん”っていうのは言われなくなるというか、自分の実力が試されていくので、これからもGalileo Galileiと尾崎和樹をよろしくお願いします」と挨拶。かなりアットホームな感じで、和やかな空気が流れていた。
最後に演奏されたのはアルバムの1曲目である「Imaginary Friends」。各メンバーがキーボードやサンプラーなど様々な楽器を駆使して、曲の世界観を作り上げていく。これはあくまでも推測だが、もしかしたら今後、彼らの中で「担当パート」というものは無くなっていくのかもしれない。ギターだから、ベースだからといった固定概念を捨て去った“究極の楽曲至上主義”とでも言うべきか。全てが溶け合って、ただ音楽だけがそこで鼓動しているような空間。楽しそうに音を奏でている5人の姿から、そんな素晴らしい世界がこれから始まっていくような予感がして、今後の彼らにますます期待が高まったライヴだった。
【取材・文:山口哲生】
【撮影:入日伸介】
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リリース情報
セットリスト
- 4
- 老人と海
- さよならフロンティア
- Kite
- Freud
- マーブル
- 明日へ
- 花の狼
- 星を落とす
- Good Shoes
- くじらの骨
- Monday7s
- 青い栞
- くそったれども
-
ENCORE
- スワン
- Imaginary Friends