Galileo Galilei、リスナーの力を勇気に変えて、強く突き進む覚悟を決めたTSUTAYA O-EAST!
Galileo Galilei | 2013.12.22
1曲目は「夏空」だった。イントロがなく、冒頭のサビのフレーズをゆっくりと歌う尾崎雄貴(Vo)の第一声とバンドの音とが同時に鳴り響いた瞬間、客席からはワッと歓声が起こった。ガリレオのライブに来た実感が一気に全身を駆け抜ける。そして白とピンク色に明滅する光の中で「パイロットガール」「Jonathan」と最新アルバム『ALAMRS』からの楽曲を続けて披露。今作ならではの強いメロディが、ライヴで聴くといっそう瑞々しく冴えわたっていた。
「今日はひさしぶりのワンマンです!新旧織り交ぜた曲をやるので、昔からのファンの方にも楽しんでもらえると思います」というMCを挟んで、「明日へ」。ライブをやるごとにいろいろなアレンジで聴かせる曲だが、この日はとてもシンプルな構成だった。尾崎和樹(Dr)と佐孝仁司(B)が時々目線を合わせながら、躍動的なリズムを生みだしていく。 同じメロディを繰り返しながら高揚感を高めていく「老人と海」、BPM早めでサビがキラッキラに輝く「花の狼」、ステージの光を背に受けて伸びやかに響き渡った「スワン」など、前作『POTARL』からの楽曲が続いたこのタームは、自分たちの楽曲にひと捻りもふた捻りも加えずにはいられないガリレオの“こじらせたポップ”が、会場に独特の物語を描く。
サポートメンバーの紹介を経て(今回はギターDAIKIとシンセ&女性コーラスにいしばしさちこ)、雄貴が「バンバンゆさゆさしてください!」と、「サークルゲーム」。あたたかなメロディが湧き立つこの曲を、メンバー3人はギュッと中央に向き合って、リラックスしたムードで演奏した。続く「フラニーの沼で」は、稲光のようなライティングのなかスリリングな雰囲気で楽器をかき鳴らす。メロディを大事にしたギターロックバンドの表情と、メンバー全員の演奏で熱量をあげていくインストバンドのような趣とを自在に行き来する、ガリレオのバランスはとてもいい。
和樹(Dr)のグッズ紹介を挟むと、「コバルトブルー」。サビでギアチェンジをするようなJ-POP的なやり方とは一線を画し、繊細な音の積み重ねによって楽曲のピークへと聴き手を導いていく。そのプレイにうんうんと頷きながら、じっくりと耳を傾ける客席。それは一見すると静の状態にしか見えないけれど、そこには一人ひとりの心の深いところを刺激する激しい動のエネルギーが満ち溢れていた。
「かなり古い曲をやりたいと思います」。ライブ終盤のMCで雄貴がそう切り出した。「僕らが高校生の時、和樹と仁司と一発録りで作った“18”という曲です」。
「今までGalileo Galileiは昔の曲はあんまりやりませんでした。でも、今はGalileo Galileiが良い状態になって、お客さんが聴きたい曲をちゃんとやりたいと思う」。それは、最新アルバム『ALARMS』にも通じる想いだ。聴く人が喜んでくれる作品を作ること。それをバンドがやりたいこととも相反させずに完成させた、だから『ALARMS』は傑作なのだと思う。
そうして披露された「18」は、これまでのライブの流れを一変させる演奏だった。自分の感情と真っ直ぐに向き合うことにためらいのない10代の頃の歌には、失われてしまった何かがある。その代わりに今のGalileo Galileiが身に着けたものもたくさんあって、そうやってバンドは変化しながら進んでいく。
そのまま再び最新アルバムから「愛を」。イントロが始まった瞬間、会場からは誰に言われるでもなく、ツー・スリーのクラップが湧き起こった。酔っ払いが愛を叫ぶ陽気なナンバーをみんなで楽しげに歌う。それを見て、雄貴は満足げににっこりと笑顔を浮かべていた。
ラストは、「渾身の想いで歌います」という力強い言葉とともに、音楽への想いを楽曲にした「星を落とす」。終わりを名残惜しむようにゆっくりと刻むリズム、クライマックスに向けて美しく広がってゆくサウンド、その多幸感が最大限に高まった時すべての想いを断ち切るように、音が消えた。
少し間を置いて再びメンバーが登場。アンコールでは、まず2月1日に初の渋谷公会堂のワンマンライヴを開催することを発表された。「北海道出身なので、渋谷公会堂って最初わからなかったんですけど。ホールって知って不安になってます(笑)。座り席なのかな? みんなのほうがきっと詳しいね」という、少し照れながらの報告に、会場のあちこちから祝福の声があがる。
そして、かつて閃光ライオットでグランプリを獲得するきっかけとなった曲「ハローグッバイ」へ。「18」と同じ過去曲解禁の1曲ではあるけれど、この日はツアー直前に配信されたスタジオライブver.での演奏。それは衝動以外に何もなかった10代の少年たちと、技術と方法論で音楽を語ることができるようになった青年とのステキな出会いだった。曲のあと長い長い拍手がいつまでも鳴りやまなかったことも、その素晴らしさを物語っていたと思う。
「今日はみんなが一緒に歌ってくれて勇気づけられました。”愛を”は泣きそうだった(笑)」。最後のMCで雄貴はそう言った。「ガンガンバンドをやっていきたいぜ!って気持ちになりました」。
バンドはバンド、リスナーはリスナー。今までどこかそんなふうに割り切っていたように見えたGalileo Galileoが、自分たちの音楽を新旧問わず熱望してくれる人たちの存在を力にして、リスナーに寄り添い、リスナーと共に成長するバンドになろうとしている。
きっと、これからGalileo Galileiは強くなる。
【取材・文:秦理絵】
【撮影:入日伸介】
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リリース情報
セットリスト
Galileo Galilei ALARMS TOUR 2013
2013.12.6@TSUTAYA O-EAST
- 夏空
- パイロットガール
- Jonathan
- 明日へ
- 老人と海
- 時計塔
- 花と狼
- スワン
- サークルゲーム
- フラニーの沼で
- コバルトブルー
- 夢に歌えば
- ALARMS?ロンリーボーイ
- 18
- 愛を
- 青い栞
- 星を落とす
- ハローグッバイ
- Birthday
お知らせ
Galileo Galilei ワンマンライブ@渋谷公会堂
2014/02/01(土)渋谷公会堂
Chima presents 『Chapter.01』
2013/12/23(月)北海道 ・FAbULOUS
rockin’on presents COUNTDOWN JAPAN 13/14
2013/12/28(土)幕張メッセ国際展示場1〜8ホール、イベントホール
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。