【男性限定DAY】女性限定ライヴ、男性限定ライヴを行ったねごと。両日レポ。
ねごと | 2012.01.23
12月16日、17日の2日間に渡り、Shibuya WWWで開催された「お口ポカーンフェス?! 番外編~サンタさんも抜け殻~」。1日目が女性客オンリー、2日目が男性客オンリーという形式での2日目。Shibuya WWWは、開演前から熱気で暑いくらいだった。
最初に登場したのは、面影ラッキーホール。2011年7月にリリースされたねごとの1stアルバム『ex Negoto』のサウンドプロデューサーの交友関係から、本日の出演にいたったのだとか。総勢13人がステージに並ぶと、それだけで圧巻。それだけで、ソウルマナー! 楽曲もファンク&ソウル。なんともゴージャスだ。しかしながら「最低の歌詞をのせています」と自己申告する歌詞は、ダメな男のダメなところをデフォルメして歌うという内容。その歌詞と、ちょい自虐が入ったMC、そして最後にはパンツ一丁(しかもピンクのTバック)になるボーカルのパフォーマンスが男子オンリーの客席には大受け。最後には大歓声を浴びた。
19時20分過ぎ。ねごとの4人がステージに姿を表す。客席前方の密度が、グンとあがる。オープニングを飾ったのは、前日の女性オンリーデイ同様、「彗星シロップ」。曲が終わった後、ボーカル&キーボードの幸子が「こんばんは! ねごとです!」と叫ぶと、ベースの佑が続けて、ブーンとベースを鳴らす。このアクションに、オーディエンスは、うおーっ! と雄叫びをあげた。続くディープチューン「ループ」では、ダイナミックな演奏で、観客を煽る。終盤のサビ繰り返し。ギターの瑞紀のコーラスの部分を一緒に歌っているドラムスの小夜子の姿があった。幸子のMC。
「皆さんこんばんは!ねごとです。今日はよろしくお願いします。いやぁー男の子ばっかり(笑)。昨日と全然違う光景ですけど、今日も楽しんでいきたいと思います!」
「ワンダーワールド」に続き「七夕」へ。途中、気持ちよさそうに、ギターで音色を作る瑞紀の背中を見詰めていた小夜子。瑞紀がロングトーンで響かせた瞬間、嬉しそうにニッコリと笑顔を作った。
そして「ゆれる」では、ステージ袖から流れてくるスモークが、ゆっくりと客席にまで流れていく。サイケデリィックなライティングの中で「メルシールー」。ライヴで聴く度、毎回、新しい表情を見せてくれる1曲。その理由は、ギターの瑞紀のアプローチの幅にあると思うのだが、この日も、そのギターで、これまでに無いような表情を添えてくれた。ねごとの楽曲は、重力を感じさせないような浮遊感がひとつのポイントだ。どれだけ加速しても、その疾走感は、大地ではなく宙を駆け抜けるような感覚を残す。それが、歌詞の童話性(毒毛も含む)と相まって、非現実的で、それゆえ、どこかに無機質さを感じるのが、独特の個性で大きな魅力だと、私は解釈している。
しかしながら、ライヴではその無機質さが、時に迫力不足に感じる場合もあった。でも、この日、正確に言えば、2011年10月の赤坂ブリッツのライヴのあたりから、そこが無くなってきた。
理由は何か。メンバー達の演奏スキルが、格段にアップしたからだ。まずはドラムスの小夜子とベースの佑のリズム隊。小夜子は実に明確に演奏のメリハリがついたし、ベースの佑はシンプルなリズムキープが、すごく上達した。このリズム隊の変化により、自由度が増したのが、ギターの瑞紀とボーカル&キーボードの幸子。幸子は客を煽るなども含めたパフォーマンスが良くなったし、ギターの瑞紀に至っては、その日のテンションやコンディションに忠実になり、音色やアプローチをどんどん変えてくるようになった。この瑞紀の変化が、ライヴならではの迫力につながったように思う。
ちょっとメルヘンチックな例えになるが、童話の中の主人公が、いきなり3Dで動き出した感じ。そんなライヴならではの立体的な迫力が出てきたのだ。さらには、前日よりも照明と演出、そして演奏がばっちりとリンクしている様子に、まさにライヴは生き物で、1日でこんなに変わるのだと実感。個人的に好きな曲だから、いろいろ感じてしまうのかもしれないが、やっぱ「メルシールー」って曲は、すげぇー。
中盤。ステージが真っ赤に染まり「week…end」。激しい演奏でラウドなサウンドを叩きつけるディープ・チューン。ライヴでは重要なポジションを占める1曲に、観客からも大歓声があがった。一旦ステージから姿を消すメンバー。変わって出てきたのは、サンタクロース、の格好をした男性スタッフ。前日同様、プレゼントを客席にばらまく。
そのプレゼントを、ジャンプして空中でキャッチするあたりは、前日の女子オンリーデイにはなかった光景か。サンタが持っていた、白い大きなプレゼント袋の中から、最後に出てきたのはスケッチブック。観客に見せる。書かれているのは「十代」。えーという客席に、サンタは、おっと間違ったのジェスチャー。1枚紙をめくると「重大」の文字が。客席から歓声が起こる。そしてまた1枚めくると……「発表」。おおおおおおーっ! という大歓声とともに、大きな拍手が起こった。再びステージに姿を表した4人。
「ありがとうございましたー。あれねー、ぬけ殻サンタだからー(笑)」
とサンタを送りだし、自ら重大発表を言葉にした。その内容は、新曲のリリース決定、4月に学生限定ツアー、5月に東名阪ワンマンツアーを行いファイナルの東京公演は渋谷AX……という3項目。この発表に、大喜びする男性達。続いて、新曲「sharp ♯」へ。
MBS・TBS系TVアニメ「機動戦士ガンダムAGE」アセム編のオープニングテーマに決定(1月29日よりオンエアー)したこの曲は、サビの日の光が差し込んだようなブライトな解放感に新境地を感じるアップチューンだ。これまでの楽曲よりも低い音も歌っている幸子のボーカルにも注目いただきたい。
幸子が叫ぶ。「いっしょに歌ってください! カロン!」観客のノリが、楽曲にライドオンしていく。エンディングでは、客席から一斉に右手が挙がった。最後は「インストゥルメンタル」。客席まで明るくなった会場。その中で、幸子の「ありがとうございました、ねごとでした」というひとことに合わせ、全員、定位置で客席に正面を向き、深くお辞儀をしたメンバー。ゆっくりと顔あげ、それぞれが客席を見回し、手を振りながら、4人はステージを後にした。
最後に。終盤、新曲を披露する前の幸子のMCを記しておこう。
「2011年を駆け抜けてきましたが、来年もバリバリ駆け抜けていくので、よろしくお願いします」
2日間ライヴを観て確信したのは、ねごとというバンドの中で、自分達のペースが出来てきた事。これまでもマイペース感はあったのだが、それが具体的にバンドの活動に直結していて形になってきたのは、すごく大きな事だ。ライヴを重ねる事で向上したスキル、そして培った自信と、そこから派生した楽曲制作へのモチベーションやアイデアは、彼女達に自覚を芽生えさせ、その自覚が、自分達のペースを作る事につながったのだろうと私は思う。
幸子は、2012年も駆け抜けると言った。おそらく、これまで以上のスピードで駆け抜けて行こうという気持ちもあるのだろう。でも、マイペースを掴んだ彼女達は、流れゆく光景を決して見失わずに駆け抜けて行くのではなかろうか。
さあ、今年はどんな光景を見つけ、どう見せてくれる?
【取材・文:伊藤亜希】
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リリース情報
セットリスト
- 彗星シロップ
- ループ
- ワンダーワールド
- 七夕
- 揺れる
- メルシールー
- 季節
- week...end
- ふわりのこと
- sharp ♯(新曲)
- カロン
- インストゥルメンタル