NHKホールで行ったツアーファイナルは大成功! 今かなり熱いmoumoonのライブレポが到着!
moumoon | 2012.05.01
moumoonというアーティスト名が示すように、柔らかな月の光に照らされた心地よさを感じる彼らの音と歌。
2004年の夏に、共通の友人を介して知り合いmoumoonを結成した彼らは、2007年の8月にミニアルバム『love me?』で待望のメジャーデビューを果たした。メジャー初のシングル「Do you remenber?」は、柔らかなメロディーの中に強さと脆さが共存した1曲だったことを覚えている。YUKAは当初、この曲のメロディーを最初に聴いたとき、恋愛をしたときの気持ちの変化的なものがふと頭の中をよぎり、“ずっと出逢ったときの新鮮な感情を忘れずにいたいと思ってもだんだんと記憶が薄れていってしまう。人間とは忘却の生き物なんだな”と、哀しさに胸を締め付けられたと言った。そして、“忘れたくないという強い思いと、忘れてしまう切なさ”をテーマに歌詞を描いてみたと言っていた。
作曲者である柾は、ゆったりと始まり、後半にいくほど激しく盛り上げられていく流れの中で、吐いた息が白くなるような肌寒さを感じる冬の臭いと、人間の心の葛藤や変化を描きたかったのだと語った。
そんな柾とYUKAの感性が寄り添って生まれる。それこそがmoumoon。
彼らは互いの感性を吐き出し合いながら、これまでにインディーズで1枚、メジャーデビューから11枚のシングル、そして、3枚のミニアルバムと同じく3枚のフルアルバムをリリースしてきた。
そして今回、2012年2月8日にリリースされた3枚目のアルバム『No Night Land』を引っさげて、彼らは9ヵ所を旅するツアーに出たのである。 タイトルは『FULLMOON LIVE TOUR 2012~脳内ランド ツアー~』。ツアーファイナルでもあった4月1日のNHKホールでのライヴは、『No Night Land』というアルバムの中に彼らが込めた想いがぎっしり詰まった一夜となった。
開演時間になると、遊園地の園内放送のような影アナが流れた。コンサートでの注意事項だったのだが、ここからライヴは始まっていたのである。会場は夕日が沈んでいく速さと同じ時間をかけて、ゆっくりと暗くなっていった。遠くからうっすら聞こえるアトラクションの音と子供たちの笑い声。閉園を惜しむように園内に名残惜しい声が響く。そんなイメージからライヴは幕を開けたのだ。
真っ暗に照明が落ち、夜を思わす情景の中、YUKAと柾とサポートメンバーたちはステージに姿を現した。ステージにうっすらと明かりが灯り、【No Night Land】の電飾が輝きはじめ、誰も居なくなった遊園地は、また魂を宿し出した。
柾を中心に届けられるmoumoonサウンドに、オーディエンスがハンドクラップを加えると、ちょっぴり渋めの色のチュールレースをあしらったミニのスカートを翻しながらYUKAは声を乗せた。曲を架け橋に、自然と1つになった空間はとても柔らかであたたかい時間だった。
「みなさん、脳内ランドにようこそ。今日はみんなの頭の中で、明日からもずっとずっと続く遊園地を作っていこうと思います!」(YUKA) YUKAのそんなMCを挟むとポップなナンバーたちが間髪入れずに届けられ、客席を笑顔に変えていった。
更に、彼らは中盤で、メッセージ性の強いナンバーである「Sunshine Girl」を届け、曲中にオーディエンスと一緒に口笛を吹いたり、「I found love.」で、少し気だるい空気間を送り込んだりと変化を付けた。
この日、YUKAのMCを含め、とても印象的だったのは「Butterfly effect」だった。この曲は『No Night Land』の中に収録されている1曲なのだが、YUKAの頭の中には随分昔からあったのだと言う。自然現象において、近しいいくつかの初期現象は、同じだけの時間を経過すると似たような過程を経て、似たような結果に辿り着くというモノ。それは、蝶の1つの羽ばたきが、そこから離れた場所の未来の天候に影響を及ぼすといいう現象に似ているというのだ。まさに、蝶の1つの羽ばたきが連鎖し、それがいつか大きな竜巻を起こす強い力を持つものだということ。YUKAはそこに、自分が歌い出したきっかけを重ねて話し、「Butterfly effect」を届けたのだ。オーディエンスも、そんなYUKAの言葉と一緒に「Butterfly effect」を心の中に焼き付けていたようだった。
後半戦は、まさにそんなButterfly effectを見た気がした。ステージから放たれた風が会場中に広がり、YUKAと柾の想いが増幅してフロアに消えない笑顔を咲かせたのだ。
そしてラスト。YUKAはこのツアーを、何故【脳内ランド】と名付けたかをオーディエンスにゆっくりと話し始めた。
夜のない場所にしたかった。光がずっと消えずに輝き続けている場所にしたかった。と、彼女は言った。しかし。この世に生まれた以上、避けられない現実がある。始まりのあるモノには終わりがある。それはいくらもがいても変えられない宿命。でも、その宿命をどう生きるかは自分次第。限りある時間ならば、いっぱい笑って過ごしたい。そして、おもいっきり笑うために、おもいっきり涙をながしたい。闇の中でポツンとひとりぼっちになったとき、空を見上げればそこには月がある。彼らは自分たちのサウンドと歌で、求めてくれる人たちを、ずっと照らし続けていきたいと願っているのだ。この日、彼女たちは柔らかな月の光でオーディエンスをあたたかく照らし、その場に笑顔の連鎖を巻き起こし、その場を幸せな空間にした。これぞ、まさしくButterfly effectと言えるだろう。
そして。夜のない場所、光がずっと消えないことを約束するかのように、9月30日の満月の夜、日比谷野外音楽堂で再び会おうと伝えたのだった。
私たちの前にあった遊園地【脳内ランド】は、派手な装飾で飾り付けられたきらびやかな遊園地ではなかったが、心の奥の方からゆっくりと温めてくれた光を放つ、閉園時間のない遊園地であった。
【取材・文:武市尚子】
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リリース情報
セットリスト
- Bon Appetit
- ジェットコースター
- YAY
- Dreaming Driving
- Yes/No Continue?
- マカロン
- Sunshine Girl
- pride
- I found love,
- Tiny Star
- Butterfly Effect
- トモダチ/コイビト
- Plastic Joy
- HAPPY UNBIRTHDAY
- Chu Chu
- リフレイン
- Do you remember?
- We go
- ハレルヤ
- うたをうたおう
- good night
- Love is Everywhere
お知らせ
GirlsAward 2012 SPRING/SUMMER
2012/05/26(土)国立代々木競技場第一体育館
「音霊 OTODAMA SEA STUDIO 2012」
2012/06/30(土)音霊 OTODAMA SEA STUDIO
SAPPORO CITY JAZZ EzoGroove2012
WHITE ROCK MUSIC TENT LIVE
2012/07/10(火)札幌大通公園2丁目WHITE ROCK MUSIC TENT
FULLMOON LIVE SPECIAL IN YAON 2012 -中秋の名月-
2012/09/30(日)日比谷野外音楽堂
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。