ニューアルバム『PAIN KILLER』を引っ提げて２月23日 東京・かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールを皮切りにスタートしたmoumoon全国ツアー『FULLMOON LIVE TOUR 2013』。残すところ石川・北國新聞赤羽ホールのみとなった、セミファイナルの東京・中野サンプラザ２デイズの２日目。
　客電の落ちたステージにMASAKIが登場しアルペジオギターを奏でると、ステージ空中で光輝いたりんごが振り子のように大きく左右に揺れる。そこへYUKAが一歩一歩ゆっくりと歩いて登場、その揺れるりんごをパッと掴み両手で大切そうに持った。オープニングを飾ったのは『PAIN KILLER』収録の「ネバイナフ」。YUKAの澄んだ歌声が冴え渡る。良質なバンドサウンドと融合し、場内に愛に溢れた空気感に包まれた。観る者のココロとカラダを解放するのと同時に、パワーを注入していく。続いて「DREAMER DREAMER」のイントロが流れると、“今日集まってくれたみんな、うれしいこと楽しいこと、いろんな感情を吐き出していってください!!”とYUKA。一段高いステージに上がり、両足を広げしっかりと地を踏みしめてパワフルにパフォーマンス。客席は曲に合わせて青色のペンライトが激しく揺れた。「Plastic Joy」では“Say Yeah!!”をコール＆レスポンスしてオーディエンスとの一体感を作り出した。
　“熱気に包まれております中野サンプラザ。今日は、今日しかできない演奏をここでみなさんに届けたい、そう思って最後まで心を込めて１コ１コ音を紡いでいきます”とYUKA。ジャジーなリズムが刻まれると、オーディエンスも手拍子で参加。ハネたリズムが小気味よいキュートなサマーチューン「Chu Chu」が演奏。「YAY」ではオーディエンスを男女に分けてコーラスをレクチャー。その美しいコーラスに、“ヤバイよ！ みんなの歌声の中に私、飛び込ませてもらいます！”とうれしそうに言って主旋律を歌った。まさしくその日その場でしか存在し得ないセッションだった。そして雰囲気は一転、MASAKIがアコギに持ち替えてミディアムスロー「緑の道」。ステージバックには緑色に染まった雲が一面に映し出され、緑の道の中を歩きながら聴いているような演出だった。
　メンバー紹介を挟み、“そろそろあったかくなってきたんで、夏の歌を”と言って歌い始めたのは「儚火」。オーディエンスは微動だにせずに歌に聴き入っていた。そしてmoumoonの大ヒット曲「Sunshine Girl」へ。涼し気で美しいメロディラインが一足早い暑い夏を感じさせた。最新アルバム『PAIN KILLER』の制作について“革命的な１年だった”と振り返ったYUKA。“自分が相手のことを信じることができないと逆に信じてもらえない。心の扉をパカッと開いてみてもらうのもいいと思ったんだ。そしたら深い音楽が作れると思ったし、それを聴いてくれるみんなとの絆が深まると思ったんだよね”と『PAIN KILLER』への想いについて語った。そして“言葉を載せるのも悪い気がするぐらいメロディが綺麗で感動した曲です”と言って披露されたのはバラード「PAIN」。美しく凛とした歌声で聴かせた。「3days magic」では曲中、ステージセットの赤いりんごがたくさん入った透明の筒を持ち上げ、流れだしたりんごを客席に投げながら楽しいそうにステージを駆け回った。語りで始まった「こころのしずく」では、MASAKIがシンセで効果音的な音を紡ぎ、エフェクトのかかった浮遊感のあるYUKAの歌声で不思議な音空間で包んだ。“今日は本当にありがとう!! もういっちょ盛り上がっていきますか！”で「リフレイン」からノリの良いポップな曲で飛ばしていき、本編ラストは「Love is Everywhere」で飾った。
　“YUKA”“MASAKI”コールを受けて再びステージに登場。“最高でした、みんな!!”とYUKA。２人が笑顔でステージを降りていくまで、場内には終始あたたかい気持ちになれる空気が満ち溢れていた。“痛み止め、鎮痛剤”という意味でつけられたというアルバムタイトルの『PAIN KILLER』。オーディエンスを元気に、そして癒したい……そんな想いとパワーがダイトレクトに伝わってきた。そして自然とカラダとココロが浄化されていき、痛みは和らぎ、明日への活力が湧いてきた。

【取材・文：牧野りえ】