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BUMP OF CHICKENの普遍性を実感できた壮大なステージ

BUMP OF CHICKEN | 2012.07.20

 “神話的”という言葉を使いたくなるほどの壮大な世界観、そして、まるで親しい友達のように側にいてくれる感覚。ほとんど真逆と言っていい2つの要素を“そんなの、当然だろ?”と言わんばかりの自然さで共存させる。この日のライブでBUMP OF CHICKENは、そんな奇跡のような瞬間を何度も何度も見せてくれた。

 昨年の12月から今年1月31日にかけて行われたライブハウス・ツアー「GOOD GLIDER TOUR」に続く、約4年ぶりとなるアリーナ・ツアー「GOLD GLIDER TOUR」。その終盤となる東京・国立競技場代々木第一体育館(7月4日)のステージでBUMP OF CHICKENは、自らのアイデンティティをしっかりと示した。

 オープニングナンバーの「三ツ星カルテット」が始まった瞬間から、4人のアンサンブルがさらに成熟されていることがはっきりと伝わってきた。楽曲のボトムをしっかりと支えつつ、“歌心”を感じさせるような升秀夫のドラム、“郷愁的なサイケデリア”と形容したくなる増川弘明のギター、鋭角的なリズムと芳醇なメロディセンスを共存させた直井由文のベース、そして、震えるようなブルーズ感と大らかなスケールを同時に響かせながら「僕らはずっと呼び合って 音符という記号になった/出会った事忘れたら 何回だって 出会えばいい」という言葉を放つ藤原基央のボーカル。オールスタンディングのフロアを見ると、既に涙を流している観客が何人もいる。「みんな、久しぶり。BUMP OF CHICKENです。メンバー4人を代表して言わせてください。会いたかった!」「(観客に向かって)この面子が揃ってのライブは今日だけ。最高のライブにしましょう!」と呼びかけた直井からも“このかけがえのない時間をしっかりと体感したい”という強い思いが感じられた。

 ライブ前半で個人的にもっとも印象に残ったのは、震災の復興支援のためにリリースされた「Smile」のバンドバージョンだった。特に「大事な人が大事だった事言いたかった事 言えなかった事」というライン、そして、心の深い部分にまでまっすぐに突き刺さってくる藤原の声には強く揺さぶられてしまった。エンディングのノイジーなセッション――’90年代のシューゲイザーを想起させる、エンディングのノイジーなセッションもめちゃくちゃカッコいい!

 また、アリーナの真ん中に設置されたサブステージに移動、アコースティック・スタイルの演奏を披露するシーンも。「昨日食べたもののなかで、いちばんおいしかったのは?」(直井)、「増川君が買ってきてくれたアメーラトマト」(藤原)というやりとりもあり、リラックスしたムードが広がる。この親しみやすさもまた、BUMP OF CHICKENの魅力だ。

 さらに会場全体を神聖な雰囲気で包み込んだ「angel fall」の後、藤原がゆっくりとオーディエンスに語りかける。

「楽しんでる? 僕らも楽しいよ。今日来てくれて、ホントありがとう。心から、ホントにありがとう」。その直後に演奏された「supernova」における「君の存在だって こうして伝え続けるけど/本当のありがとうは ありがとうじゃ足りないんだ」というフレーズはきっと、この日、この場所にいたすべての人の胸のなかに、いつまでも刻まれることになるだろう。

 「カルマ」「天体観測」というバンドのキャリアを象徴する名曲を放ち、本編は終了。「4年っていうアホみたいなブランクにも関わらず、平気な顔してライブに来てくれてありがとう」という直井の言葉で始まったアンコールでも「スノースマイル」「ダイヤモンド」という代表曲が披露され、音楽の持つ奥深いパワーをたっぷりと体感することができた。3時間がまるで一瞬のよう。BUMP OF CHICKENの普遍性――時代や流行を超え、人々の気持ちを根本から立ち上げてくれる力を改めて実感できた、素晴らしいライブだったと思う。彼らはこのツアーを経て、バンドとしてのスケールを大きく上げることになる。この日のライブを体験した人はきっと、そのことを強く確信したはずだ。

【取材・文:森 朋之】
【撮影:平間至 】

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