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SPYAIRの真夏の3本勝負!初日、8月7日の様子をレポート

SPYAIR | 2012.08.21

 12月18日に武道館でのライブを決めたSPYAIRは、その日に備えて先輩の胸を借りて腕を磨こうと、“真夏の3番勝負”を渋谷クラブクアトロで決行。初日を観に行った。
 超の上に超が付くほどの満員のクアトロは、開演前からじっとしていても汗がしたたるほどの熱気が渦巻く。今日のSPYAIRの対バンは、2005年8月2日に初武道館を成功させたSHAKALABBITSだ。UKI(Vo)、TAKE-C(G)、MAH(Dr)に新メンバーYOSUKE(B)が加わった初のツアーを先日、大成功のうちに終わらせたばかり。名うてのライブバンドにフレッシュさが加味されて、SPYAIRの“武者修行”の相手には打って付けの実力派だ。
 そしてその実力が最初から爆発する。スカやレゲエのニュアンスたっぷりのパンキッシュなポップチューンを立て続けに3曲。「THAT THING YOU DO!」で「踊れ! 踊れー!」とアオり、さらに「88ROYALSKA」では途中でUKIがハモンドを吹いて、バンド・ミュージックの楽しさをストレートに伝える。ウキウキするリズムに、SPYAIRのファンたちもニッコニコだ。

「ヤアヤアヤア、“SPYAIR真夏の3番勝負”の1番目のSHAKALABBITSです。あんまり先輩風を吹かせずに、ルーキーのつもりでやりまぁす。気軽に楽しんで下さい。SPYAIRにエネルギーを取っておくのもいいけど、楽しむしかないのさ!」とUKIが言うと、クアトロのフロアから大歓声が上がる。初めてSHAKALABBITSを観る人も多いはずなのに、彼らの心をたった3曲でつかんでしまった。さすがのパフォーマンスだ。
 「NACHO ROLL」では、TAKE-Cのギターがバンド全体をリードする。「マッシュルームキャットナンバープレート」のイントロをベースで弾くYOSUKEは、その明るいキャラクターで、すでにクアトロの人気者だ。そして6曲目はなんと、新曲。リハーサルでSPYAIRが間もなくリリースされるニューアルバムの曲をやるのを聴いて、急きょ、自分たちも今レコーディング中の新曲をやることにしたのだという。リズムの楽しさ満載のMAHのイントロのドラムに、オーディエンスはぴょんぴょん飛び跳ねて応える。SHAKALABBITSの素早い曲目チェンジも粋なら、SPYAIRのファンのリアクションもかっこいい。そう、この3番勝負は、SPYAIRのメンバーだけでなく、武道館でSPYAIRを応援するファンにとっても武者修行の場なのだ。

「みんな元気だね。オイラたちは、もうすぐ結成15周年なんだけど、夢中でやってきたから、15年って言われてもよくわかんないんですよ。みんなとこうやって遊んでる時間が楽しい。今回、SPYAIRから誘いが来たときびっくりしたんだけど、彼らが高校生のときにSHAKALABBITSを聴いててくれてて嬉しかった。そして今、みなさんがSPYAIRを聴いてる。そういうのって“食物連鎖”って言うの?(笑)。みなさんに会わせてくれたSPYAIRに、感謝です」。
 ラストの盛り上がりで、フロアにはオーディエンスたちのモッシュの輪がいくつも渦巻く。3番勝負初日にふさわしい、素晴らしい対バン・パフォーマンスだった。

 ステージにSPYAIRのKENTA(Dr)とENZEL☆(DJ)が現われて、自分の楽器のセッティングをしている。通常のワンマンライブではありえない光景だ。そう、これがライブハウスのイベント。自分のことは、自分でやる。やがてIKE(Vo)、MOMIKEN(B)、UZ(G)も位置に付いて、ステージから轟音が溢れ出す。
 1曲目は「Just One」。まだSHAKALABBITSの熱が残っているフロアが、一気にSPYAIRの色に染まる。IKEの歌う♪誰にも負けない 負けたくはない 未来は自分の手の中にある♪というリリックが、3番勝負に臨むバンドの決意と重なって聴こえてくる。力が入り過ぎたのか、少し粗っぽいスタートだったが、続く「Last Moment」でリズムがタイトになった途端、クアトロの床がハンパなく揺れ始めた。SPYAIRは確実にパワーアップしている。そしてこの3番勝負が終わった後、このバンドがどうなるのかがとても楽しみになった。

 続いては前回のツアーファイナルで披露した新曲「Rock’n Roll」だ。当時はオーセンティックなブギーのリズムが上手くグルーヴしていなかったが、この日はとてもSPYAIRらしいロックなノリを醸し出す。MOMIKENのベースも、UZのギターも、落ち着いてスケールの大きなリフを刻む。先のツアーファイナルからそれほど日が経っていないのに、驚くべき進化だ。伸び盛りのバンドからは目が離せないが、SPYAIRはまさに今、その状態。最新シングル「0GAME(ラブゲーム)」ではKENTAのドラムがグンと太くなり、ENZEL☆のパフォーマンスがオーディエンスを効果的にリードする。メンバーそれぞれが、それぞれのペースで進化している。が、それでも武道館には、まだ何かが足りない。

 「どうも、SPYAIRです。“真夏の3番勝負”に来てくれて、どうもありがとう。SHAKALABBITS、どうだった? ヤバいっしょ!」とIKEが言うと、すかさずKENTAが「うちは兄妹そろってファンですからね。名古屋のダイアモンドホールに観に行ったり、うちのフェイスタオルは、ほとんどSHAKALABBITS(笑)。対バンできて光栄です」と、素直に感謝の意を表わす。

 ハッとしたのは「BEAUTIFUL DAYS」だった。聴く者を勇気付けながら確実に歩を進める“マーチ(行進曲)”のようなリズムのこの曲は、バンドが堂々としていないと説得力が生まれない。♪誰かが君を笑っても 僕は笑ったりしないよ♪というリリックをしっかり届けないと、リスナーを励ますことはできないのだ。そしてこの日のSPYAIRのパフォーマンスと演奏は、立派だった。特にIKEのボーカルが、ひとつひとつの言葉を丁寧に伝えていて素晴らしかった。それこそ、武道館でこの歌を聴きたいと思った。オーディエンスもメッセージを正面から受け取っていた。
 「BEAUTIFUL DAYS」が素晴らしかったから、オーディエンスはさらに熱くなって、ライブは終盤に突入する。ここで「Break Myself」、「ジャパニケーション」と続くヤバいセットリストだ。フロアは以前にも増して飛んだり跳ねたりモッシュしたりする。
 しかしここで問題が起こった。バンドがオーディエンスの熱にアオられて、冷静さを失ってしまったのだ。演奏も歌も精度が下がって、乱暴なものになった。それでもクアトロは充分に盛り上がっていたのだが、武道館ではそうはいかない。盛り上がっているからこそ、丁寧に音楽を演奏しないと、武道館の二階席の一番後ろのオーディエンスには届かないのだ。“真夏の3番勝負”の核心はそこにある。

 恒例の“サムライハート”コールに包まれながらメンバーがステージに戻ってきて、アンコールが始まる。ENZEL☆は激しいパフォーマンスの後らしく、直角に立てていたモヒカンヘアを下ろしている。IKEが話し出す。「みんなに伝えたいことがあります。SPYAIRはライブを大切にしていますが、もうひとつ大切にしているものがあって、それはアルバムです。9月19日に2枚目のアルバム『Just Do It』を出しますっ! あー、やっと言えたぁ」。この日、待望のニューアルバムのリリースをようやく発表できた喜びをメンバーが全身で表わすと、オーディエンスも大騒ぎでそれに応える。「1年前から作ってたんですよ。いろいろ言いたいことがあるけど、それをライブと音に込めて、ニューアルバムの中から新曲やります」と、アルバム直前に出るシングル「Naked」が始まった。
 「Naked」はこれまでのSPYAIRになかったタイプのポップさを持つ曲で、広がりのあるメロディに乗せて“孤独な心の叫び”を描く傑作だ。そしてSPYAIRは冷静さを取り戻し、この曲をとても丁寧に演奏した。名曲を名曲として届けたのだ。この新曲が、この日のライブで一番よかった。SPYAIRは3番勝負の初日で、“自分たちのペースを取り戻す”ことを体得したのだった。
 ラストはみんなでタオルを回して、「サムライハート(Some Like It Hot!!)」。「こんな楽しいのが、あと2本も残ってる」というIKEの言葉に、クアトロにいた人全員がニコニコ笑顔になった。とても充実したイベント初日だった。

【取材・文:平山雄一】
【撮影:山川哲矢】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル SPYAIR

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リリース情報

Naked

Naked

2012年09月05日

ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ

1. Naked
2. STAR

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セットリスト

真夏の3番勝負2012【Road to 武道館】vs SHAKALABBITS
2012.8.7@渋谷クラブクアトロ


<SHAKALABBITS>
  1. head-scissors
  2. THAT THING YOU DO!
  3. 88ROYAL SKA
  4. NACHO ROLL
  5. マッシュルームキャットナンバープレート
  6. 新曲
  7. SADISTIC AURORA SHOW
  8. ダズリングスープ
  9. mademoiselle non non
  10. Pivot
  11. MONSTER TREE
<SPYAIR>
  1. Just One
  2. Last Moment
  3. Rock’n Roll
  4. 0GAME
  5. Beautiful
  6. BEAUTIFUL DAYS
  7. STRONG
  8. Break Myself
  9. ジャパニケーション
  10. SINGING
ENCORE
  1. Naked
  2. サムライハート(Some Like It Hot!!)


  3. <SPYAIR>

    真夏の3番勝負2012【Road to 武道館】
    2012.8.8@渋谷クラブクアトロ

    1. Rockin’ the World
    2. Last Moment
    3. 感情ディスコード
    4. Rock’n Roll
    5. 0GAME
    6. To
    7. BEAUTIFUL DAYS
    8. STRONG
    9. over
    10. ジャパニケーション
    11. サムライハート(Some Like It Hot!!)
    ENCORE
    1. Naked
    2. SINGING


    真夏の3番勝負2012【Road to 武道館】
    2012.8.9@渋谷クラブクアトロ

    1. 0GAME
    2. Last Moment
    3. Crazy
    4. Rock’n Roll
    5. Beautiful
    6. BEAUTIFUL DAYS
    7. STRONG
    8. over
    9. ジャパニケーション
    10. SINGING
    ENCORE
    1. Naked
    2. サムライハート(Some Like It Hot!!)

お知らせ

■ライブ情報

RockDaze!2012
2012/08/25(土)DRUM 福岡:LOGOS/Be-1/SON

MONSTER baSH 2012
2012/08/26(日)国営讃岐まんのう公園内 芝生広場

TREASURE05X ~dancing colorz~
2012/09/01(土)ラグーナビーチ

イナズマロック フェス 2012
2012/09/15(土)滋賀県草津市 烏丸半島芝生広場

SPYAIR LIVE at 武道館 2012
2012/12/18(火)日本武道館

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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