瞬く間にチケットがソールドアウトした星野源のZepp Tokyoワンマンの模様をレポート!
星野 源 | 2012.11.27
場内が暗転し、舞台袖からゆっくり歩いて現れた星野源(Vo・G)、伊賀航(B)、伊藤大地(Dr)。それぞれが暫く準備をした後、スタートした1曲目は「ばらばら」。じっと耳を傾ける観客たちのムードは、実に穏やか。「くせのうた」「湯気」……3曲を演奏し終えた頃、場内は温かい一体感で包まれていた。「みなさん今晩は。すごい人数ですね。ありがとうございます。今の3曲までが本番。ここまでが上手くいけば、後は大丈夫だと思っていました(笑)。だから今日のワンマンライヴは成功します。今からは自由時間です(笑)。今日、初めて観る人? すごくたくさんの人が手を挙げていますね。……海からたくさんの手が出ている、こういう心霊写真ってあるよね」、星野がパンチの利いたジョークを飛ばすものだから、当然ながら大爆笑が起こる。一際和んだところで、再び演奏へ。「ひらめき」を皮切りに、ますます瑞々しく響き渡った3人のアンサンブル。「グー」の演奏が終わった時、観客の間から大きな拍手が起こった。
「僕のライブは盛り上がりポイントが少ないです(笑)。この後の2曲は動けるチャンスです」と話した後、「乱視」へ。ここからは高田漣のペダルスチールも加わった4人編成となった。力強い手拍子を起こした「穴を掘る」。何処か郷愁を誘うペダルスチールの調べが印象的だった「ただいま」……多彩なサウンドを堪能するひと時を経て、再びMCタイムとなったのだが、体調を崩した女性の観客が現れた。スタッフに付き添われて退場する彼女を心配しつつ、「倒れた人にあだ名をつけるのをいつもやっているんです。今の人、誰かに似ていました?」と尋ねた星野。すると「眼鏡!」「おかっぱ!」という答えが観客から返って来た。「眼鏡でおかっぱ……じゃあ大木凡人で。かわいそう? 大木さんに失礼だろ(笑)。だったら間をとってボンちゃんにしよう」、観客との間のそんな独特なやり取りを経て次の曲へ。「僕はずっとサラリーマンに憧れていたんです。でも、お腹が弱いから諦めました。営業の人に捧げる曲です」という言葉を添えて披露した「営業」。厳しい現実と闘いながら懸命に生きる人物を描いたこの曲は、多くの観客の共感を誘ったに違いない。
バンドのメンバーたちが楽屋へと戻り、ステージに1人だけ残った星野。ここからは暫くアコースティックコーナー。「バイト」や「ストーブ」などを弾き語りで聴かせてくれた。佐野元春が司会を務める『ザ・ソングライターズ』に出演した時のエピソードなども紹介された。そして、最新シングルについても説明。「このシングルには「知らない」っていう曲が入っているんですけど……新曲はCDで聴いて欲しいので、今日はやりません」と言ったところ、観客の間から起こった「聴きたい!」という声。「仕方ねえな。じゃあ、1番だけやろう」と、「知らない」の触りだけを歌い、アコースティックコーナーは締めくくられた。
再びステージに戻って来たバンドメンバーたち。伊賀、伊藤、高田の他、4人編成のホーンセクションも加わり、一気に賑やかになったステージ上。星野を含めると総勢8名によるバンドの演奏は「パロディ」からスタートした。ホーンの厚みのあるサウンドが実に心地よい。「みんな、アネッサ塗ってる? 冬だけど(笑)」と言って突入したアネッサのCMソング「夢の外へ」では、飛び跳ねながら手拍子をする観客たちがフロアを揺らし、素晴らしい盛り上がりとなった。
「昨年の4月か5月くらいに、新幹線に乗っている時に歌詞を考えていたんですが、その時に車内の電光掲示板で、太平洋の100キロ沖で遺体が見つかって、家族のもとへ帰ったというニュースを見たんです。それがきっかけでこの曲ができました。昔から死ぬのが怖いから“死”のことをいろいろ考えることがあって……。この時も、いっぱい想像して書きました」と語って演奏した「予想」。瑞々しく躍動するサウンドが美しい。そして「くだらないの中に」が、場内の穏やかな一体感を一層加速していった。
「最後の曲です」と告げると、観客の間から「えー!」という声が上がる。「ありがとうございます(笑)。実は始まる前は具合が悪くて。今日は駄目かもしれないと思っていたんですが。でも、すごく楽しかった。みなさんのお陰です!」。本編ラストを飾ったのは「フィルム」。手拍子をする人々で満たされたフロアの風景が美しい。歌いながら、その様を心底嬉しそうに眺める星野の姿が印象的だった。
アンコールを求める拍手と歓声に応え、ステージに駆け込んできたのは星野1人。「アンコール、ありがとうございます! 黄色が似合う? これ新しいグッズなんです」と、着ているTシャツを指差し、「グッズで名前が大きく入っていると着にくいから、名前は極力排除! 自分で自分の名前が入っているTシャツを着てたら気持ち悪いでしょ(笑)」などと語って皆の笑いを誘う。そして、バンドメンバーたちも呼びこみ、「また来年かな。ツアーをやるかもしれません。たくさんの人が来られるようにいっぱいやりますから、また来てください!」と挨拶した後、演奏したのは「日常」。ホーンやべダルスチールのサウンドで彩られた爽やかなアンサンブルが広がっていく。エンディングを迎えた時、観客は大きな拍手を送った。星野はメンバーの1人1人を紹介。「ありがとうございました。気をつけて帰ってください。また近い内に会いましょう!」と言い、手を振りながらステージを後にする彼を、一際高鳴った皆の拍手が包んだ。
【取材・文:田中 大】
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リリース情報
お知らせ
星野源のSHIWASU
2012/12/13(木)渋谷公会堂
rockin’on presents COUNTDOWN JAPAN 12/13
2012/12/28(金)幕張メッセ国際展示場1~8ホール/イベントホール
SPEEDSTAR RECORDS 20th Anniversary Live~LIVE the SPEEDSTAR 20th~
2013/01/19(土)Zepp DiverCity
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