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cinema staff、アルバム『望郷』を引っ提げたワンマンツアーを完遂!

cinema staff | 2013.08.09

 「岐阜県から来たcinema staffです!」

 1曲目となった「望郷」の途中、三島想平(Ba.)の“いつもの一言”から、4人は一気に疾走し始めた。浮遊感のある轟音ギターの中で優しく響いていた飯田瑞規(Vo.&Gt.)の歌声は彩りを増し、久野洋平(Dr.)は爆発力のあるロールを叩き上げ、グングンと会場のテンションを高めて行く。美しくも力強い、シネマらしいライヴの幕開けだった。

 cinema staffがメジャー1stアルバム『望郷』を引っ提げて行なった「【僕たちの秘法】tour」。前半は彼らがリスペクトしてきた先輩や盟友達との対バンシリーズ、後半はワンマンシリーズとして、全19公演を開催。そのツアーファイナルとなった渋谷クアトロはソールドアウト! 彼らが地元の岐阜県から上京して2年半、その全てを注ぎ込んだ作品のラストを締め括るにふさわしいシチュエーションだったのだが、ワンマン前日にトラブルが発生。参加したイベントの最中に辻 友貴(Gt.)が足を骨折するというアクシデントが起きた。

 この日、辻はスタッフに抱えられて登場。イスに座りながら演奏することとなった。ステージ上を狂ったように暴れ回る彼のパフォーマンスを観られないのは残念ではあったが、なによりも本人が一番悔しかったと思う。しかし、イスに座りながらも、何度もギターを高く掲げ、感情が盛り上がってくると立ち上がり、客席を煽る辻。そんな気迫の籠ったプレイに、胸を熱くさせられた。

 またこの日は、ツアーファイナルらしいスペシャルな場面も用意されていた。「ファイナルということで、今日はアコギを弾こうと思って……」と、三島。しかしこのままではベースが居ないということで、ゲストとしてPeople In The Boxの福井健太(Ba.)が登場。実はシネマのメンバーとは同郷で同い年という福井。しかも、福井をピープルに紹介したのは、シネマのメンバー(一番最初に提案したのは久野)だったそうだ。アルバム『望郷』が故郷を歌ったものだったことを考えると、このライヴでベースを弾く人物として、まさに適役。5人は思い出話に華を咲かせつつ、「時計台」「夏の終わりとカクテル光線」の2曲を披露。美しいサウンドにオーディエンス達は酔いしれていた。

 そんな迫真のプレイが続く中、MCは比較的和やか、というか和気あいあいとしていた。序盤では“アンコールでMCをしていたら、ついに専用のマイクが設置された”と喜ぶ久野が「見ての通り、辻君が骨折してます! 皆さん、せーので“アホ!”と言ってやってください!」とオーディエンスを先導すると、飯田が「本当にアホなんですけど、辻の分まで僕が良い歌、歌いますんで」と、頼もしい発言。「こんな姿でライヴして申し訳ありませんでした! 今日はお前らも骨折して帰れよ!」と、辻が謝罪と“対応に困る(笑・三島談)”煽りをすれば、「辻君が言いたかったのは、骨折するような気持ちで盛り上がってくださいってことですよ!」と三島がフォローしたりと、楽しそうにオーディエンスとコミュニケーションをとっていた。

 ライヴ終盤は「想像力」「革命の翌日」と、ハードナンバーの応酬。三島が叫び倒す「蜘蛛の巣」や、久野のドラムが凄まじいテンションで疾駆する「西南西の虹」など、強烈な興奮を巻き起こし、本編は終了した。

 アンコールでは、TVアニメ「進撃の巨人」後期エンディングテーマ「great escape」をリリースに先駆けて一足早く披露! 疾走する激情的なギターと、飯田の澱みのない声が化学反応を起こす、彼ららしさを更に洗練させたサウンドに、オーディエンスは大興奮だった。そして、ゲストとして再び福井健太と、チェリストの高橋淳子を招いて、アルバム『望郷』のラストを飾る「溶けない氷」をプレイ。彼らにとって、ライヴにおいてバンドサウンド以外の音を入れるのは初めてとのこと。約10分に及ぶ超大作に挑み、大歓声に包まれたまま、ステージを後にした。

三島「いろんな葛藤をしながらバンドを続けてきたんですけど、バンドやってて良かったなとか、ひいては生きていて良かったなと思っています。そういう喜びを音楽で少しでも共有出来たら嬉しいです。そういう役割の職業だと思っているので、今すごく幸せです」

 思い返してみると、彼らのメジャーデビュー作『into the green』のテーマは「救い」であり、取材では「音楽に救いを求めていたし、時期的にはそういう曲しか出来なかった」と話していた。生まれた土地を離れ、東京という街で感じた正負あらゆる感情を受け入れ、消化し、音楽の可能性を信じながら、全てを綴り続けた2年半。その結果、『望郷』は、彼らにとってたくさんの新たな試みが注ぎ込まれた作品となった。過去と決別するのではなく、愛すべき故郷が、自分の帰る場所がいつまでも心の中にあるからこそ、彼らは、人は、前に進むことが出来るのだと思う。

「岐阜県から来たcinema staffです」

 『望郷』という作品を経て、“いつもの一言”には、更に強い意志と覚悟が宿った。そして、彼らの変わらない思い──望郷という感情は、これからも彼らの足を前へと進ませていくだろう。予定にはなかったダブル・アンコールまで飛び出したこの日のライヴ。フロアに残された熱を感じながら、彼らのこれからを楽しみに思った。

 cinema staffは、前述のシングル「great escape」を8月21日にリリース。今夏はイベントに多数出演し、10月5日に新宿LOFTで行なわれる、辻が主宰を務めるレーベル・like a fool recordsのイベント「You Gotta Move!」に出演。また、10月26日に地元・岐阜のCLUB Gにて、自主企画イベント「OOPARTS 2013」を開催する。「いつか大きいイベントを主催したいという野望があるので、その足がかりになるようなものをしたい」と話していた三島。詳細の発表はこれからとなるが、濃密な時間を堪能出来るイベントになりそうだ。

【取材・文:山口哲生】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル cinema staff

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リリース情報

great escape

great escape

2013年08月21日

ポニーキャニオン

1. great escape
2. cinema staff 【僕たちの秘法】 tour Final @2013.07.11 渋谷CLUB QUATTRO
・望郷
・世紀の発見
・into the green
・革命の翌日
・西南西の虹
・溶けない氷

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望郷 (初回限定盤) [CD+DVD]

望郷 (初回限定盤) [CD+DVD]

2013年05月22日

ポニーキャニオン

1.望郷
2.世紀の発見
3.西南西の虹(album version)
4.時計台
5.日記
6.待合室
7.いたちごっこ
8.あのスポットライトを私達だけのものにして
9.夏の終わりとカクテル光線
10.蜘蛛の巣
11.革命の翌日
12.小さな食卓(album version)
13.溶けない氷

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セットリスト

【僕たちの秘法】tour
2013.7.11@渋谷CLUB QUATTRO

  1. 望郷
  2. 世紀の発見
  3. 奇跡
  4. 待合室
  5. いたちごっこ
  6. 火傷
  7. 第12感
  8. 小さな食卓
  9. 日記
  10. あのスポットライトを私達だけのものにして
  11. 時計台
  12. 夏の終わりとカクテル光線
  13. into the green
  14. チェンジアップ
  15. KARAKURI in the sky walkers
  16. 想像力
  17. 革命の翌日
  18. 蜘蛛の巣
  19. 西南西の虹
Encore
  1. great escape
  2. 溶けない氷
W Encore
  1. AMK HOLLIC

お知らせ

■ライブ情報

ROCK THE A.U.G. -dois- Supported by ZIP-FM 「FIND OUT」
2013/08/16(金)名古屋 CLUB QUATTRO

Shibuya CLUB QUATTRO 25th Anniversary “QUATTRO QUARTER”
2013/08/27(火)渋谷CLUB QUATTRO

残響祭 9th ANNIVERSARY
2013/09/15(日)Shibuya O-EAST & duo MUSIC EXCHANGE
2013/09/21(土)梅田CLUB QUATTRO
2013/09/22(日)名古屋CLUB QUATTRO
2013/09/28(土)仙台CLUB JUNKBOX

like a fool records presents「You Gotta Move!」
2013/10/05(土)新宿LOFT

cinema staff presents“OOPARTS 2013”
2013/10/26(土)岐阜CLUB G

two strike 2(to) night 決定版
2014/01/18(土)SHIBUYA-AX

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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