cinema staffが、自分達の故郷と今を歌った2ndフルアルバム『望郷』をリリース!

cinema staff | 2013.05.22

 cinema staffが5月22日に2ndフルアルバム『望郷』をリリースした。
 本作は、彼らが故郷の岐阜県から上京してきて約2年半の間に芽生えた想いや感情によって全てが構成されている。生まれ育った土地を離れてみて分かったこと、辛かったこと、手に入れたもの、失ったもの――そして、そんな感情を抱いた東京という場所で、今を生きて行こうとする決意と覚悟に満ち溢れた作品になった。
 今回は、収録曲はもちろん、作品のキーにもなった上京後の変化や、彼らが故郷についてどう思っているのか、辻 友貴(Gt.)、飯田瑞規(Vo.&Gt.)、三島想平(Ba)、久野洋平(Dr.)の4人に訊いてみた。

EMTG:自分も地方出身者なんですけど、『望郷』を聴かせてもらったときに、上京してきた当時のことを思い出したんですよ。すごく伝わるものがありました。
三島:嬉しいですね。そう言っていただけると。
EMTG:今回のアルバムは、上京してから生まれたもので全てが構成されているわけですけど、上京したことで感じた変化って、どんなものがありましたか?
三島:根本的な変化だと、こっちに来てから作ってる曲って、生活のために作る曲なんですよね。正直言って、それが直接自分のお金になる、自分の生活を守ることになるので、やっぱり意識はすごく変わってますね。もちろん楽しいっていうところの延長にあるものなんですけど。あとはプロ意識みたいなものは出てきていると思います。
久野:昔は聴きたいなら買えば良いんじゃない?っていう感じだったけど、お金を払ってでも聴いてもらいたいものを提示しようっていう意識は持つようになりましたね。
三島:それに、音楽しかやっていない生活だと、音楽でコミットしないと言葉を発表する場がないので、言いたいことが自然と吐露されるようになったところはありますね。昔はそこまで言いたいことがあって曲を書いてるわけでもなかったんですけど、そういう表現欲求みたいなものが出てきてる気はします。
飯田:日常生活で聴けるような音楽になってるような気がするんですよね。ロックバンドとして激しいことはやってるんだけど、歌詞は一歩足を踏み出すキッカケになるような言葉が散りばめられてると思うし。聴かせたい相手もすごく広がった感じがします。自分達の親の世代にも、何かを感じる言葉がたくさんあるだろうし、相手に向ける感じが強くなってる気はします。
EMTG:辻さんはどうですか?
辻:変わってきたなとも思うし、でもあんまり変わらないでおこうっていう部分もあるし……。
EMTG:変わらないでおきたい部分って?
辻:変わらないというか、やっぱり大人だったり、周りからの意見がいっぱいあるので、それの取捨選択というか……。
飯田:確かにね。自分達で決めておかないと流されてしまうから。
三島:やっぱり大人って経験があるわけだから、全部右から左にって思えないところはありますからね。“これをやれ!”って言われてるわけじゃなくて“こういう意見もあるよ”っていうアドバイスとして聞けるかどうか……っていうことを、辻君は言いたかったんだと思います。
EMTG:分かりました(笑)。先ほどお話の中にあった「日常生活の中での音楽」っていうのは「小さな食卓」に感じました。サウンドに家庭の匂いがするというか、暖かさがあるなと思って。
三島:そうですね。この曲は上京しなかったら書けなかったと思います。歌詞としては当たり前の風景を書いてるだけなんですけど。
EMTG:故郷というか、自分の居た生活を。
三島:そうです。それを言葉に残したいって思ったのは、離れてみて思ったことなので。あの頃はこんな感じだったな、今は辛いけど……って思いながら書いた曲ですね。上京してわりとすぐに書いたから、もう2年前ぐらいになるんでだいぶ記憶が古いんですけど。
飯田:前のアルバム(『cinema staff』。2011年6月1日発売)を出す前からあって、それに入れるか?っていう話もあったんですけど、これは次の段階のcinema staffなんじゃないか? っていう話も出ていて。自分達もそう思ったし、大事な曲だからこそ取っておこうかなって。
三島:その判断は正解だったと思います。あの時点では真に迫るものにはならなかったと思うし、いろんなものを経た今のタイミングで歌った方が良かったと思うので。
EMTG:あと、幻想的なものはより幻想的に、ハードなものはよりハードにっていう、1曲1曲の強度や振り切り具合が強くなったと思いました。「夏の終わりとカクテル光線」がすごく気持ちよかったです。
三島:この曲は、元々バンドアレンジだったんですけど、歌を聴かせたいなと思って、一度全部ばらしてアコースティックアレンジにしていて。この曲のオケのキーワードとして「多幸感」っていうのがあって、それを出すのに辻君が頑張ってました。
辻:元々のフレーズを、エンジニアの人に“変えた方がいいんじゃない?”って急に言われて(笑)。
三島:しかも最終日に言われましたからね。プリプロでOKも出てるのに“ダサい”って言われて(笑)。
辻:結果的にめっちゃ良い雰囲気の音とフレーズになったと思います。何回も録り直しましたけど(笑)。
EMTG:そしてリード曲の「望郷」はcinema staffらしいんだけど、新しい雰囲気のある曲ですね。
三島:そうかもしれないですね。テンポチェンジとかあんまり僕らはやってなかったし。曲は『SALVAGE YOU』(2012年9月5日発売)をリリースした後ぐらいに出来たんですけど、この曲はアルバムの核になるなと思って。すごいスケールのデカい感じから、キュっとタイトになってバンドっぽくなるっていう全体像は、最初から思い浮かんでました。
飯田:上京をしたときに全く同じように思ってたし、3人の言いたいことを代弁してくれてたから、こういう歌詞を書いてくれたのは嬉しかったです。今までは、言葉を聞けばすぐに分かるっていう曲が少なかったんですよね。三島が作った物語の中で、お客さんが何か感じるものを受け取ってくれればっていう感じだったんですけど、今回はしっかり道筋を立てて、聴いた人が受け入れやすくなってる曲が多いんですよ。特に「望郷」にはそれがすごく出ていると思います。
EMTG:その「望郷」と対をなす形になるラストの「溶けない氷」は、10分近くある大作ですね。
三島:メッセージ性としては「望郷」の延長だったり、総括してるわけですけど、その印象が強く残ればと思って、最後はこれでっていうところはありました。
辻:今回初めてゲストを呼んでチェロをいれてもらったんですけど、鳥肌が立ちました。新しい発見でしたね。
久野:昔はバンド以外の音が入るのが好きじゃなかったんですけど、やってみるといいなと思ったし、むしろもっとやりたいって思いました。バンドっていうよりは、音楽として良い形を目指すことが楽しくなってきてますね。
EMTG:そもそも、なぜ大作を作りたかったんですか?
三島:これで10枚目の作品になるんですけど、キャリアもわりと成熟してきている中で、ここらで本気で世に語り継がれるものを作らなきゃいけないなって思ったんです。自分の中で勝手にですけど(笑)。あと、メジャーになって、これだけ制作において環境を整えてもらってるんだからやるでしょ!っていう。インディーの頃は仕事だったり、バイトしながら音楽をやってたわけですけど、今は音楽だけで生活していて、アルバムを作るためだけに何ヶ月間生きれるっていうことに、すごく幸せを感じたんですよ。だから、これが俺らの生活なんだっていうのを見せれるものにしたかったし、これだけ音楽に時間を使ってるんだから、負けたくないっていう気持ちもありましたね。
EMTG:先ほどメッセージのお話が出ましたけど、今回のアルバムでは「許し、受け入れること」について書いているわけですが、それってプラスにもマイナスにも捉えられますよね。すごく愛のある行為だとも思うし、諦めている行為とも思えるし。
三島:そうですね。ただ、何にせよ「消化する」ことだと思うんです。それは次へ進むために、少なくとも僕には必要なことだったので、良い意味でも悪い意味でもこれを残しておこうと思って。上京してからシンドくて、未だに思い出したくないこともいっぱいあるんだけど、その時期があったからこそ、今がある。それがネガティブなものだったとしても、今、地に足をつけてちゃんとやれている自分が居るなら、全然良いんじゃないかって。
EMTG:分かりました。やっぱりいつかは故郷に帰ろうと思ったりします?
三島:僕は思ってますね。多分血筋なんですよ。親父が地域貢献のことをやってるんで。この前、市が合併して10周年を記念した式で劇があったんですけど、その脚本とか書いてるんですよ。そういうのに憧れますね。地元のために曲を書いたりとか。いつかは自分がやってきたことを地元に還元出来たらいいなと思います。でもまぁ、そこはみんなそれぞれだと思いますけど。
久野:僕はあんまり東京にこだわってる感じはないですね。一番落ち着くのは地元だなって思いますけど。
辻:この前久し振りに実家に行って、甥っ子と遊んだときにめちゃくちゃ心地よくて、すごいラクやなって思ったんですけど、逆にそれがすごく怖かったんですよね。まだ何もしてないのに、楽しいところに居ちゃいけないって思って。いずれ戻るかなとは思うんですけど、当分は帰れないですね。
飯田:俺も一緒です。やっぱりまだ何者でもないなっていう感じがしちゃうんで。いつかは帰ろうと思いますけど、今は考えてないです。
EMTG:故郷は帰る場所であり、東京は戦う場所であると。
飯田:本当にそうだと思います。でも「場所」というよりも「人」ですかね。そこに関わってきた人達がいるから、帰りたいと思うというか。だから住む家はあれど、こっちは戦う場所になってますね。まだまだバンドでやりたいこともあるし、ちゃんと成し遂げないといけないと思ってます。

【取材・文:山口哲生】

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リリース情報

望郷 (初回限定盤) [CD+DVD]

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2013年05月22日

ポニーキャニオン

1.望郷
2.世紀の発見
3.西南西の虹(album version)
4.時計台
5.日記
6.待合室
7.いたちごっこ
8.あのスポットライトを私達だけのものにして
9.夏の終わりとカクテル光線
10.蜘蛛の巣
11.革命の翌日
12.小さな食卓(album version)
13.溶けない氷

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2013/06/13(木)広島ナミキジャンクション
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2013/06/16(日)徳島CROWBAR
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2013/07/11(木)渋谷CLUB QUATTRO

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