レビュー
cinema staff | 2012.09.05
cinema staffが9月5日にリリースした4thミニアルバム『SALVAGE YOU』。今年6月にリリースしたメジャーデビューEP「into the green」から、約2ヶ月半というショートスパンでリリースされる本作は、「SALVAGE=救出」というタイトル通り、前作「into the green」に引き続き、“救い”がテーマになっている。
『SALVAGE YOU』に収録されている楽曲は、先日行なわれた恵比寿リキッドルームワンマンで一足先に披露されていて、一聴した瞬間に“次作は素晴らしいものになるだろう”と思っていたのだが、その期待を遥かに上回るものになっていた。ライヴでも披露されたファンタジックで浮遊感のある「warzawa」や、彼ららしい激情的なナンバー「her method」や「小説家」、夕焼けの情景が感傷を呼び起こす「salvage me」など、どれも良曲ばかり。本作のテーマやリリースタイミングから推測するに、おそらく「into the green」と『SALVAGE YOU』は同時期に制作されたと思うのだが、“こんな隠し球があったのか!?”と、ただただ驚かされた。そして何よりも、リードトラックの「奇跡」である。<奇跡はいらない>と歌い上げるこの曲は、偶然ではなく、自分達の力で突き進んでいく決意や覚悟が、曲の疾走感と相まって瑞々しい輝きを放つ、力強さに満ち溢れた曲だ。10月からスタートする本作のリリースツアー、そしてその先──cinema staffの未来に“必然”と期待が高まる作品を、彼らはしっかりと産み出してくれた。
【文:山口哲生】