T.M.Revolution、ツアー大詰めの両国国技館公演をレポート!
T.M.Revolution | 2013.09.04
6月からスタートしたT.M.Revolutionの全国ツアー“T.M.R. LIVE REVOLUTION’13 -UNDER:COVER2-”。渾身のセルフカバーアルバム『UNDER:COVER2』を掲げ、ホール会場という密な距離感で展開してきたツアーのセミファイナルが、東京・両国国技館で2日間(8月24、25日)にわたって行われた。会場となった両国国技館は、もちろん国技である相撲が行われる 伝統的な場所。そこに白いボックスが積み上げられた近未来風ステージが設置され、何ともミスマッチな雰囲気。ライブそのものも映像と曲がシンクロしており、まるでSF映画とコンサートが一体化したようなものだった。いつもなら、開演前に手拍子が起こり、「turbo」コールから派手にラ イブが進むのだが、開演直前、SEの代わりに“ゴゴゴ……”と、地鳴りのような音が響き始める。場内の照明が落ちると、映像が流れ、ここからライ ブはひとつのストーリーと共に展開していく。まず“THE ONE”というキーワードが映される。どうやら、これが大きなテーマとなっているようだ。映像ではカプセルに横たわった西川貴教が目覚めると、最新シングルでもある1曲目の「Preserved Roses」につながるという具合。ここでステージの後方に登場した西川はゴージャスな白い衣装で観客の目をひきつける。演奏中も映画のように映像は流れ、曲に呼応しながら進んでいく。映像には演技派俳優の奥田瑛二氏が登場。謎の人物としてストーリーに重みを加える。曲によっては、西川が映像と同じポーズをとるなど、素晴らしいシンクロぶり。もちろん、演奏自体もツアーで鍛えられ、円熟味を増している感じだ。ハードなアレンジで蘇った「蒼い霹靂」や「独裁 -monopolize-」、そして2006年にリリースした第1弾セルフカバーアルバム『UNDER:COVER』からも「魔弾?Der Freischütz?」など、人気の楽曲を組み込むという豪華な構成だ。映像は近未来なのかパラレルワールドなのか、現世ではない世界。実は非常に緻密に計算されたショーなのだ。ただ、魅せるところはしっかり魅せるのがT.M.R.。
中盤「last resort」でしっとり聴かせたあと、一瞬ステージから姿を消した西川だが、「IMITATION CRIME」では黒い衣装で再登場! 白黒の衣装の対比は彼の十八番ともいうべき演出だが、黒バージョンからの選曲もかなり激しめ。映像も、ふたりの西川がひとつに、という変化を見せ、後半へ。このブロックでは『UNDER:COVER』から人気曲「Zips」や、「INVOKE」「Albireo」などを披露。観客とのコール&レスポンスも見事な調和を見せ、続く「LOVE SAVER」では、衣装の上着をはぎ取ると、背中が丸見えのインナーに早変わりして、叫声をあびる。このあとは、映像のストーリーも本編もクライマックスへ。「Meteor-ミーティア-」から「vestage-ヴェスティージ-」という重厚な流れの中に“何のために生きているのか……”そんなメッセージが浮かび上がってくる。「vestage-ヴェスティージ-」の後半、背景には翼が映し出され、ステージの上段に立つ西川の背中から翼がはえたかのような演出で本編は幕を閉じた。アンコールになって、ツアーTシャツに着替えた西川とサポートメンバーの登場で、ようやく現実世界に引き戻される。
「このツアーもこの東京と仙台を残すのみとなりました。SFと国技というスイカと脂モノくらい食い合わせが悪いですが(苦笑)」と、西川が挨拶。ここで本編のあいだ、張り詰めた空気が一気にやわらぐ。
「いけるかー! アリーナ……枡席ーっ(苦笑)、2F?!」と、言い慣れない“枡席”コールには困惑しながらも、そこから元気にアンコールをスタートさせた。大きくなる手拍子を受け、進化したダンスナンバー「WILD RUSH」や、ヘヴィーでラウドなロックサウンドへと変貌をとげた「SHAKIN’ LOVE」などで、観客は存分に感情を爆発させた。
西川はタオルを握りしめつつ、「もういっちょう!」と叫び、アンコール3曲目「CHASE/THE THRILL」に突入。客席では色とりどりのタオルが振られ、ここにきてライブはお祭りモードに。すっかり気分が盛り上がってしまったオーディエンス、このままでは帰れるはずがない。2度目のアンコールがかかり、すぐに白いTシャツに着替えた西川がステージに戻ってくる。そして、「もうちょっとやっていいですか?」と語りかけ、今回のツアーのコンセプトがいかに挑戦だったのかを告白。だが、最後の最後は「もっと面白くしようぜ! いけるか!」と煽って、大ラス曲「Tomorrow Meets Resistance」へ。この曲、今では誕生した頃からは想像できないほどのパワーを持つ曲に成長したと思う。曲後半のブレイクからテープが発射され、場内をキラキラとテープが舞う。斬新な演出とコンセプトで新境地を切り開いたT.M.Revolution。こういったパフォーマンスができる力量と実力には感服させられるばかりだ。9月には恒例のイナズマロックフェスも控え、10月9日にはT.M.Revolutionが関わったアニメソングをまとめた『GEISHA BOY-ANIME SONG EXPERIENCE-』もリリースと、今年後半もアグレッシヴな活動は止まりそうにない。
【取材・文:海江敦士】
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リリース情報
セットリスト
T.M.R. LIVE REVOLUTION’13
-UNDER:COVER 2-
2013.8.24@両国国技館
- Preserved Roses
- LEVEL 4
- 独裁 -monopolize-
- 蒼い霹靂
- とっておきのおはなし〜新説恋愛進化論
- 魔弾〜Der Freischütz〜
- O.L
- last resort
- IMITATION CRIME
- Out Of Orbit
- Zips
- INVOKE
- Albireo -アルビレオ-
- LOVE SAVER
- Meteor -ミーティア-
- vestige-ヴェスティージ-
Encore1
- WILD RUSH
- SHAKIN’ LOVE
- CHASE/THE THRILL
Encore2
- Tomorrow Meets Resistance
お知らせ
イナズマロック フェス 2013
2013/09/21(土)滋賀県草津市 烏丸半島芝生広場
2013/09/22(日)滋賀県草津市 烏丸半島芝生広場
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。