前へ

次へ

女祭り! それは、UVERworldのプライド

UVERworld | 2014.01.22

 2013年12月25日・日本武道館。
この日、ここに集まったオーディエンスの数は、12,000人だったという。ステージ裏の見きれ席の一部を除き、お客さんはすべて女子。そう。この日は、『UVERworld ARENA LIVE 2013 winter QUEEN’S PARTY at NIPPON BUDOKAN』と題された、“女祭り”だったのだ。翌日の26日を“男祭り”としたこの特別なライヴ形態は、UVERworldにとって初めてのことではないのだが、“女祭り”は、実に2年半ぶり。さらに、その“女祭り”を武道館という規模で行うのは、初めての試みでもあった。

 近年、こういった性別を限定した企画ライヴは少なくないこともあり、最初は、彼らが企てた今回のライヴ形態にも、さほど特別な意味を感じてはいなかった。

 しかし。UVERworldにとって、この日のライヴは、単に、男女を別けただけではなく、単に、“クリスマスだから女子限定!”といった安易な思いつきではなかったのである。

 会場内にうっすらと漂っていたクリスマスソングは、爆音のSEによって掻き消され、5人(真太郎・克哉・彰・信人・サポートメンバーのSEIKA)が太鼓を叩く力強いパフォーマンスを魅せた「Wizard CLUB」から幕を開けた。

 下手から、全力疾走でステージに飛出してきたTAKUYA∞。いつもと変わらぬその勢いに、客席からも、いつもと変わらぬ轟音のような歓声が沸き上がった。その力強い歓声は、観客が女子ばかりだということを忘れてしまうほどのモノだった。その歓声は、驚いたことに黄色いモノではなく、男ファン顔負けの、力強さを持った最高に熱い歓声だったのだ。

「2度とはやってこない2013年12月25日の女祭り! 始めようか!」(TAKUYA∞)

 1日1日を噛み締めながら、しっかりと地に足を付け、一歩ずつ懸命に生きているTAKUYA∞らしい一言から、ライヴは一気に加速していった。

 「Don’t Think.Feel」では、歌い出しのTAKUYA∞の“好きなようにやれ そして俺に指図をするな”という言葉に、オーディエンスは共感の声と拳を上げた。彼らの音に、声を加えていく彼女たち。そこには、UVERworldを愛するプライドが見えた。彼女たちのその声からは、ファッションとして彼らを選んでいるのではなく、UVERworldというバンドの音と歌に込められた精神に心底惚れ込んでいるのだという、彼らに対する絶対的な想いと、その音と歌に出逢えた喜びと、他の誰でもなく、UVERworldというバンドを選んだ自分へのプライドが溢れ出ていたのだ。

 そして彼らもまた、そんな彼女たちの想いのすべてをしっかりと感じて受け止め、その想いへの応えを音と歌に変えていた気がした。間髪入れずに畳み掛けられる絶対的なポテンシャルは、UVERworldというバンドのありのままの姿を感じさせた時間だったと言えた。

 もちろん。いつだって彼らはありのままだ。
しかし。この日の彼らは、いつも以上にありのままに、“女祭り”というライヴに対し、いつも以上の本音を吐き出していた様に感じたのだ。

「デビュー当時、UVERworldは95%が女の子のファンでした。今の俺たちは、女の子たちが支えてくれたんだよ。男祭りが出来るようになって、こうやって武道館で女祭りが出来るようになった。これも、全部、女の子たちが俺たちを見つけてくれたおかげなんだ。本当に感謝してる。ありがとう」(TAKUYA∞)

 この言葉に、彼らの本音とプライドが詰め込まれていたのは言うまでもない。ルックスのいい彼らゆえ、当初はアイドル視されていたこともあり、バンドとしての実力を評価されるまでに時間がかかった。それを悔しく思い、もがいた時期もあったことだろう。TAKUYA∞は、この言葉に、こんな言葉を繋げた。

「女の子ってさ、カッコイイモノとか、新しいモノ見つけるの上手じゃん! そんな女の子たちがさ、いち早く、俺たちのこと見つけてくれたんだよな! ありがとう。感謝してるよ!」(TAKUYA∞)

 こんなふうに笑って言えるようになったのも、彼らが正真正銘のNO.1になったからこそ。どれだけ叫ぼうと、どれだけもがこうと、評価というのは自分たちで思い通りに操作出来るモノではない。彼らは、ここに至るまで、もがき、叫び続け、変わらぬ想いを歌い続け、誰に媚びることもなく、自らの力と、彼らを愛するクルーたちと共に、“現在(いま)”を手にしたのだ。

 まさにこの日。その言葉と、この女祭りにかけた彼らの想いを、私たちは見せつけられたのである。

 そしてこの瞬間。そんな彼らの想いは、この日ここに集まった彼女たちには、最初から届いていたことを、改めて知らされたのだ。全身の力を振り絞り、ありったけの声を張り上げ、彼らの音に合わせて一緒に歌っていた彼女たちのプライドは、彼らのこの想いに繋がるモノだったのだと。この時、両者によって教えられたのである。

 最高の絆。最高の関係性を見た気がした。
そして。彼らはこの日のラストに、まだまだこの先、ありのままで居続けながら、止まること無く、過去にしがみつくこと無く、新しい世界を生き抜いて行くと約束し、胸の中に込み上げる“現在(いま)”を歌に託した「7日目の決意」を届け、ライヴの幕を下ろしたのだった。

【取材・文:武市尚子】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル UVERworld

関連記事

リリース情報

ナノ・セカンド【初回生産限定盤】

ナノ・セカンド【初回生産限定盤】

2013年12月18日

Sony Music Records

[CD]
1.ナノ・セカンド

[DVD]
Fight For Liberty version.1と2013年の活動をまとめたWizard CLUB~2013 UVERworld collage~を収録

トップに戻る