Nothing’s Carved In Stone、新木場COASTの2DAYS公演でパワーを実証!
Nothing’s Carved In Stone | 2014.02.14
最初に聴いたその時から、はっきりとライヴの光景が目に浮かんだ。2013年を締めくくる12月にリリースされた「ツバメクリムゾン」は、それほどまでにストレートさを放つ楽曲であり、Nothing’s Carved In Stoneの“今”を切り取った音と歌詞だと感じた。
2014年1月30日、新木場STUDIO COAST。
4都市5公演のツアーの終着点であったこの日、彼らは1曲目にこの「ツバメクリムゾン」を選んでいた。フロアから自然発生したクラップは、彼らがそこに吐き出した“決意”への共鳴だったのだろう。フロアは波を打つように、オーディエンスはステージに向かって押し寄せる。彼らから発せられる熱を、より近くで感じ取ろうとするように。真っ赤に染まったステージに立った4人は、そんなオーディエンスにむけ精一杯の熱を放った。熾烈さを極めた音の中で、歌詞の一節である“消えゆくまで”や“空っぽの夜に叫べ”と歌う松村の声は、真っ直ぐに胸へと運ばれた。そう、この瞬間を感じるために今日ここに来たと言ってもいい。そんな感覚に陥ったほど、その説得力のある熱に一瞬にして呑み込まれた。やっぱり最高だ。
「躍ろうぜ! 新木場!」
村松は叫んだ。そして、オーディエンスを包み込むように大きく両手を広げる。
「どんな夜になると思う? 俺は想像付いてるけどね。最高の夜にしようぜ!」
彼らは日々、この日の景色を思い描きながら、そこに熱く燃えたぎる衝動を吐き出し、そして閉じ込めているのだ。村松のその言葉の後に放たれたのは、「Cold Reason」。和音を響かせる日向。艶のあるアルペジオを響かす生形。衝動は音へと替えられた。
「誰も止めるヤツはいねぇぜ! 躍ろうぜ! 新木場!」
この日の村松は、いつも以上に熱かった。そんな村松の衝動を途切れさせることなく、大喜多はビートを刻み、Nothing’s Carve d In Stoneのダンスナンバーである「Out of Control」へと音を繋げた。音は途切れることなく、「Raining Ash」へと流れていく。シンバルが曇りのないギターフレーズを導いたそのとき、オーディエンスは押さえきれない感情を歓声に変え、彼らへとぶつけた。
最高の空間だ。しかし彼らの衝動は、ただただ感情的なモノではない。この日届けられた「Palm」では、静かに彼らの情熱を噛み締めることが出来たのだ。
透明な光が差し込み、静かな空気が流れる中、柔らかなギターフレーズが、とても静かな時間を作り上げていく。そこにそっと声を置く村松。村松の声に重ねて、声を放つ生形。4人の音はやがて重なり、敷き詰められた音たちは、やがて光を含み、村松の感情と共に、一気に爆発したのだった。
「最高に楽しいです。ありがとう。今回の「ツバメクリムゾン」は決意表明というか、一瞬の花火でもいいから、燃えるだけ燃えて燃え尽きてやろうじゃないか、みたいな。そんな想いがあって今回ツアーをまわってます。懸けるものがあると気持ちも強くなるけど、その分、良いことも悪いことも、いろんなことが全部のしかかってきて負けそうになる。だから、どんだけ熱くなって、どんだけ正直になってそこに立ち向かえるか。そんなとこかなって。今、うちのバンドにとって1番大事なのはそこなのかなって。なんかね、考え過ぎちゃうと、頭ん中でどんどん真面目になっちゃって、どんどんつまんない人間になっちゃいそうでさ。つまんなに人間になりたくないじゃない。そうでしょ? 笑ってるヤツに人はついてくるんだよ。愚かでも、馬鹿になった方が楽しいと思って」
村松は、まとまりきらない言葉で、ありのままの感情を言葉にした。たくさん言いたいこと、伝えたいことがあったのだろう。上手くまとめられた言葉ではなかったが、その言葉からは、痛いほど村松拓という人間そのものを感じ取ることが出来た。葛藤を繰り返す毎日の中で、小さな光を見つけて一歩前進したり、ときに一歩後退してみたり。もがきながら、叫びながら、日々自分たちの生きる意味を探しているのだ。
彼らがNothing’s Carved In Stoneというバンドをこの世に生み出して早5年。村松は、他にバンドをやっていたり、いろんなプロジェクトをやっていたりするNothing’s Carved In Stoneは、それぞれプレイアビリティを持つバンドだと自負していると言った。この4人で音を出せば、負けないと。そして。俺の声を出せるヤツは、日本のどこを探してもいないと熱く叫んだ。いつも以上に熱い村松の言葉に、オーディエンスは轟音のような歓声と拍手を贈った。
「きらめきの花」で本編を締めくくった彼らは、鳴り止まぬ彼らを呼ぶ声に応え、「Assassin」から、再びライヴをド頭から始めようとしているのか?と錯覚するほどの熱で、アンコールの幕を開けたのだった。アンコールでは、本編以上に自由な空間を生み出し、手放しで音楽を楽しみ、楽しませた彼ら。この日は、新木場STUDIO COAST、2DAYSの最終日とあって、アンコールの後、さらなるアンコールに応えたのだった。
「じゃぁ。俺たちのエモが詰まった曲を。でも、最近全然練習してないから、上手く出来ないかもだけど(笑)。また、ライヴで会おう!」と、最後に「村雨の中で」を届けたのだった。
“しまい込んだルールブック信じない 満ち欠け繰り返してる真実 駆り立てられるのはあの情景 繋がってゆくランゲージfrom you”――冒頭の歌詞からも思いが伝わる。
彼らが音楽を通して叫びたいこと。それは、許せない自分に負けず強く光ること。
この日、彼らのそんな叫びは、真っ直ぐにオーディエンスに届いていた。結成6年目を迎える彼らが、この先、この決意をさらに深め、力強く放ってくれることを切に願う。
【取材・文:武市尚子】
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リリース情報
セットリスト
Dive Into The Crimson Tour
2014.01.30@新木場STUDIO COAST
- ツバメクリムゾン
- Spirit Inspiration
- Spiralbreak
- Cold Reason
- Out of Control
- Raining Ash
- Palm
- Sunday Morning Escape
- 朱い群青
- The Fool
- Sick
- Pride
- It means
- Diachronic
- November 15th
- Isolation
- Around the Clock
- きらめきの花
- Assassin
- Rendaman
- You’re in Motion
- 村雨の中で
お知らせ
Hand In Hand Vol.5
2014/04/10(木)札幌ペニーレーン24
Hand In Hand Vol.6
2014/04/17(木)渋谷AX
Hand In Hand Vol.7
2014/04/18(金)なんばHatch
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。