THE NOVEMBERS、圧倒的に美しいサウンドで切り拓くバンドの未来
THE NOVEMBERS | 2014.03.07
昨年の秋にリリースしたアルバム『zeitgeist』を掲げ、1月13日の宇都宮HEAVEN’S ROCKを皮切りに“zeitgeist”RELEASE TOUR「Flower of life」”を展開中だったTHE NOVEMBERS。2月21日には、恵比寿リキッドルームでセミファイナル公演を行い、独特の美学に満ちたパフォーマンスで満員の会場を圧倒した(当初は、これがツアーファイナルになるはずだったが、雪の影響で仙台公演が延期となり、実質的には振り替え公演である3月29日のLIVE HOUSE enn 2ndがファイナルとなっている)。
彼らのライブのおもしろいところは、何と言ってもその空気感だ。開演前から暗めに設定された照明の中、ミラーボールの光が幻想的に観客を迎える。その時点で、THE NOVENBERSの世界に取り込まれてしまう。
ライブはアルバム1曲目を飾る「zeitgeist」でスタート。ベースの高松浩史とドラムの吉木諒祐がひねり出す変則的なビートに、浮遊するような小林祐介のボーカルが絡んでいく。この時点で、観客の多くは、心ごと異空間に持って行かれるようなトリップ感を味わうのだ。ライブはアルバムからの曲を中心に進み、合間にこれまでに発表してきた楽曲もバランスよく配置。6曲目には音源化されていない「ブルックリン最終出口」を披露するなど、幅広いセレクトで聴かせていく。
中盤では、湿度のあるケンゴマツモトのギターフレーズに乗せて淡々と歌われる「Meursault」や、アンビエントな味わいもある「Sky Crawlers」など、穏やかで情感のこもったナンバーをプレイ。ライブに起伏を持たせた。
ライブでは時に映像を使い、うまく楽曲の世界観を表現していくあたりにも、バンドのこだわりがうかがえる。THE NOVEMBERSの音楽には映像がリンクする印象があるだけに、納得のこだわりだ。
12曲目「Louder Than War (2019)」、そして続く「鉄の夢」では、バンドの狂気が顔を出す。リズムのペースが上がり、刻まれるギターリフにテンションが高まる。小林祐介もヒステリックなシャウトで場内の熱気を上げていった。
「dogma」では、小林がそれまでひとつに束ねていた髪をほどき、感情を爆発させるようなパフォーマンスでオーディエンスの感覚にも火を点ける。ジワジワと熱くなったライブの本編は、アルバムでもラストナンバーである「Flower of life」で締めくくられた。この曲は、80年代のUKロックに強く影響を受けた彼らのDNAがうかがえるTHE NOVEM
BERS風ポップナンバーだと思う。
本編で『zeitgeist』を思い切り表現したあと、アンコールに登場した彼らは「mer」と「再生の朝」を披露。特に最後の曲の「再生の朝」では、再びオーディエンスを覚醒的な轟音の渦へと引き込んでいった。しかし、今回のライブを見て感じたのは、決して彼らのパワーが内にこもってくわけではないということ。彼らの持つ文学的でもあり、美しいまでのサウンド美学は、今後大きな広がりを持つに違いないと確信した次第である。5月14日にはニューシングルもリリースするとのことで、そこからの展開も楽しみだ。
【取材・文:海江敦士】
【撮影:Daisuke Miyashita】
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リリース情報
zeitgeist
2013年11月30日
MERZ
2. We
3. Louder Than War (2019)
4. Wire (Fahrenheit 154)
5. D-503
6. 鉄の夢
7. Meursault
8. Sky Crawlers
9. Ceremony
10. Flower of life
セットリスト
zeitgeist”RELEASE TOUR
「Flower of life」
2014.2.21@恵比寿リキッドルーム
- zeitgeist
- We
- D-503
- primal
- Fiedel
- ブルックリン最終出口
- pilica
- philia
- Meursault
- アマレット
- Sky Crawlers
- Louder Than War (2019)
- 鉄の夢
- dogma
- 彼岸で散る青
- Wire(Fahrenheit 154)
- Ceremony
- Flower of life
- mer
- 再生の朝
お知らせ
TOUR -The World Will Listen -
2014/05/17(土)岡山IMAGE
2014/05/18(日) 梅田Shangri-La
2014/05/30(金)仙台MACANA
2014/06/01(日) 新潟CLUB RIVERST
2014/06/13(金)池下UP SET
2014/06/19(木) 広島ナミキジャンクション
2014/06/22(日) 福岡DRUM Be-1
2014/06/28(土)札幌COLONY
2014/07/11(金) 六本木EX THEATRE
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。