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フラカンの3ヶ月に及んだ「4人で100才」ツアー。最終日をレポート!

フラワーカンパニーズ | 2014.07.16

 そろそろやらねばなりません。頑張れ圭介。
 1曲目「孤高の英雄」の中で、鈴木圭介はこう宣言した。すし詰めの会場に「オオォォォ─ッ!!」と野太い声援が響く。結成25周年ワンマンツアー第一弾のツアーファイナルは、記念すべき1stシングルから始まった。さらに4曲目で驚く。いきなり「深夜高速」を放り込んできたのだ。

 生きててよかった。そんな夜と出会うためだけに人生という真暗な道を走る。そう歌う「深夜高速」はフラワーカンパニーズの代表曲だ。東京・恵比寿のLIQUIDROOM。前日、同会場で行われたファイナル2DAYSの初日に、オーダーメイドのスーツ姿のまま、ほぼ全編をロックンロールで駆け抜けた彼らは、アンコールの大事な場面に「深夜高速」を持ってきた。それなのに翌日は早々と4曲目…。これがまず最初のサプライズだった。

 そこからは小さなサプライズが随所に顔を出す。2012年発表の「人生GOES ON」の後に1999年発表の「スマイル」が披露され、昔からのファンは「キャ──ッ!!」と悲鳴を上げた。「♪歌え──!! 歌え──!!」の大合唱となった「はぐれ者賛歌」の後には、呪術的な「世田谷午前三時六分」と、初期の代表曲で毒のある「虹色の雲」を放ち、ファンの心をグイグイと揺さぶっていく。

「俺達、よそよそしかったよな、最近」
 鈴木圭介が突然そう切り出した。楽屋では、まーちゃん(グレートマエカワ)、圭くん(鈴木圭介)、かんちゃん(竹安堅一)、小西くん(ミスター小西)と昔ながらのあだ名で呼ぶのに、オフィシャルだと苗字になるのが不満だという。
「俺、リセットしたい。まーちゃんに戻すから」
 ほのぼのMCからも、絶妙な選曲からも伝わる、25年という歳月。それがハイライトでさらなるサプライズを呼んだ。

 12曲目「君のこと」は1998年発表のラブソング。「♪考えてる君の事を 君の声や君のしぐさや君の匂いさ」と歌われた幸福な日常が、2011年3月11日午後2時46分に変わる。あの日に感じた無力感や罪悪感は消えていなかった。「246」「エンドロール」の破壊力がそれを証明する。何度も観ているはずのスタッフまで泣いている。25周年記念だからこそ、重大な分岐点となったこの2曲は外せなかった。そして25年という時間があったからこそ、永遠の力を持つこの2曲が生まれたのだ。

 その直後に驚いた。
「♪俺、本当に、馬・鹿・の・さ・い・こ・う・さ!!」と叫ぶ「馬鹿の最高」を彼らは選んだのだ。何歳になっても恋に落ちる。何歳になっても夢を追いかける。人生は残酷だから、せめてバカ陽気な歌を。せめてバカみたいなギャグを。馬鹿のままでさぁ行こう。ブラジルW杯を思わせるラテン・ナンバー「ラララで続け!」や「俺たちハタチ族」もその精神を高らかに歌い上げる。悲しみから再生へと向かう第一歩が、まさか、これほど無邪気なものとは思わなかった。そして、これこそがフラワーカンパニーズが25年間持ち続けた最大の武器だったのだ。

 アンコール1曲目は不意打ちで涙腺を直撃した「東京タワー」、いきなりの絶叫でその涙を一瞬で乾かした「白眼充血絶叫楽団」、この夜を象徴する「最高の夏」と、サプライズはこれでもかと続いた。3か月に及んだ「4人で100才」ツアーの後も、8月からのアコースティック・ツアー「フォークの爆発」、9月13日の真心ブラザーズとのツーマン、10月からのほぼ対バン・ツアー、10月発売のトリビュート・アルバムと、25周年のサプライズは目白押しだという。

 鈴木圭介は稀代のストーリーテラーだが、25周年ワンマンツアー第一弾ツアーファイナルのフラカンもまた見事なストーリーテラーだった。絶妙な伏線を積み重ね、それが大きなサプライズを生み、ハッピーエンドへと突き進んだ。その物語の主役はファンだ。
 「チェスト」では右から左から後ろから一斉に拳が生えてLIQUIDROOMを覆い尽くした。「サヨナラBABY」では右に左に揺れる手が、朝焼けの風に揺れる草原のようだった。こんな景色は見たことがなかった。25年間を共に進み、少しも枯れないこのパワーこそが最大のサプライズかもしれない。

 そのパワーに負けじと、グレートマエカワは勝負服の白のオーバーオールに着替え、ミスター小西はファイナル初日になぜか「ボンジュール」と挨拶をして、竹安堅一は寝る前にそれを思い出して笑い、鈴木圭介はスーツを脱いで乳首スケスケで歌った。あんた達、本当に馬鹿の最高だ。

【取材・文:柳村睦子】
【撮影:柴田恵理】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル フラワーカンパニーズ

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リリース情報

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2013年10月23日

SMAR

[CD]
1. ロスタイム
2. 夜空の太陽
3. ビューティフルドリーマー
4. 心の氷
5. 日々のあぶく
6. 元少年の歌(Album ver.)
7. この胸の中だけ
8. エンドロール
9. たましいによろしく
10. 感情七号線
11. 大人の子守唄
12. 深夜高速(25th Anniversary Mix)
13. ロックンロール
14. ローリングストーン
15. 春色の道(Live@WWW)

[DVD]
Music Video(2008-2013)

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セットリスト

フラカン結成25周年ワンマンツアー
「4人で100才」
2014.7.4@恵比寿リキッドルーム

  1. 孤高の英雄
  2. 煮込んでロック
  3. BELLBOTTOM JACK
  4. 深夜高速
  5. 人生GOES ON
  6. スマイル
  7. はぐれ者讃歌
  8. 世田谷午前三時六分
  9. 紅色の雲
  10. ロスタイム
  11. ビューティフルドリーマー
  12. 君のこと
  13. 246
  14. エンドロール
  15. 馬鹿の最高
  16. ラララで続け!
  17. 俺たちハタチ族
  18. チェスト
Encore1
  1. 東京タワー
  2. 白眼充血絶叫楽団
  3. 最高の夏
Encore2
  1. 真冬の盆踊り
  2. サヨナラBABY

お知らせ

■ライブ情報

フラワーカンパニーズ・アコースティックワンマンツアー 『フォークの爆発2014~座って演奏するスタイルです~』
2014/08/22(金) 福岡 Gate’s7
2014/08/26(火) 香川 高松DIME
2014/08/28(木) 神奈川 川崎CLUB CITTA’
2014/09/18(木) 宮城 仙台カフェ・モーツァルト・アトリエ
2014/09/20(土) 秋田 THE CAT WALK
2014/09/27(土) 兵庫 神戸クラブ月世界
2014/09/28(日) 島根 出雲APOLLO

25×25×25!!!今夜だけ!日本中年館
2014/09/13(土)日本青年館
w/真心ブラザーズ

フラカン結成25周年 ~ほぼ対バンtour~
『シリーズ・人間の爆発スペシャル』

2014/10/25(土)北海道 函館club COCOA
2014/10/26(日)北海道 札幌PENNY LANE24
2014/11/01(土)山口 LIVE rise SHUNANN
2014/11/03(月・祝)愛媛 松山Double-u studio
2014/11/05(水)大阪 十三ファンダンゴ
2014/11/15(土)福井 福井CHOP
2014/11/16(日)富山 club MAIRO
2014/11/21(金)岩手 盛岡club change WAVE
2014/11/23(日)山形 酒田MUSIC FACTORY
2014/11/30(日)岐阜 CLUB ROOTS
2014/12/06(土)栃木 HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2
2014/12/07(日)栃木 HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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