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plentyのワンマンツアー。3人のアンサンブルが煌めいたファイナル公演

plenty | 2015.01.19

 SEが流れ、ステージ上に現れた江沼郁弥(Vo & G)、新田紀彰(B)、中村一太(Dr)。彼らを観客の穏やかな拍手が迎える。スティックカウントを合図にスタートした1曲目は「手紙」。瑞々しく響き渡る旋律がとても美しい。放たれる音の一粒一粒が照明を浴びてキラキラ輝いているような印象を覚えた。続いて「幼き光」。躍動するビートに彩られた透明感溢れる音像が心地よい。今回のツアーを通じて培われたアンサンブルを存分に示すオープニングとなった。「今晩は。plentyです。新しいドラマーが入りました。中村一太でございます」、紹介されて「よろしくお願いします!」とお辞儀をした中村。落ち着いたトーンで「今晩は」と挨拶をした新田に「今日もクールですね」と声をかける江沼。さり気ない3人のやり取りだったが、メンバー同士の仲の良さが自ずと窺われた。

 江沼がギターをストロークして歌い始めた「理由」。随所でテンポを変化させ、起伏に富んだ展開を遂げる。「普通の生活」「からっぽ」「まだみぬ君」……その後も次々と曲が届けられたが、この3人で音を鳴らす喜びに満ちているのを感じる。客席で聴いているこちらも思わず顔が綻んでしまう瞬間が度々あった。時折、江沼がギターのチューニングをしたり水を飲む間、新田や中村がMCをするのが新鮮。観客の熱い興奮をさそった「枠」「おりこうさん」「パンク」……エネルギッシュなナンバーの連続の後に辿り着いたインターバルで心境を語った中村。「ここ数年、毎日がめまぐるしく変わっていました。でも、江沼と新田と出会って。自信を持って音楽ができることに、先程喜びを感じておりました」という言葉が印象深かった。

 表現力豊かな演奏がさらに続いたライブ後半。密やかに爪弾くギターと歌から始まり、やがてベースとドラムが合流。清らかなメロディがダイナミックに広がった「あいという」。「日々是好日という言葉がありまして。“毎日がいい日でありますように”という意味だと思っている人が多いみたいですが、“晴れの日があったり、雨や曇りの日があったり。楽しいこと、悲しいこと。全部をひっくるめて幸せじゃないか?”という意味です。“そうなんだ”と思っていたんですが、岡本太郎の本を読んだら“幸せを感じるのは鈍感なやつだけだ”って書いてあって。“うわー!”ってなったんです(笑)。そんな時に作りました」、江沼が語って披露された「見知らぬ朝」……などなど、様々な曲を経る毎に観客の抱える心の震えが劇的に高まっていくのを感じた。

 「喧嘩できるっていいよね。怒ってくれる相手とか、怒り合える人って大事にした方がいいですよ。大事にしてこうと僕は思いました」。中村が加入し、再び3人編成の「バンド」となったplenty。互いに意見をぶつけ合えることが嬉しくて堪らない様子の江沼のMCを挟み、いよいよ終盤へ。「先生のススメ」「待ち合わせの途中」が披露された後、突如、ステージ上に釣り上げられたヴェール。その表面に映像を投射しながら披露された「イキルサイノウ」は、幻想的な世界へと我々を引き込んだ。そして、本編を締め括ったのは「空から降る一億の星」。無数の電飾が瞬いたステージ上。その柔らかな光に包まれながら奏でられたサウンドは、とても清らかに我々の胸の奥に届いてきた。

 鳴り止まない拍手に応えて行われたアンコール。まずは「人との距離のはかりかた」と「最近どうなの?」が披露され、その後に続いたのは、なんとこの日2回目となる「枠」。身体を激しく揺さぶりながら演奏に没頭し、互いのサウンドを激しくぶつけ合う3人の姿がとても眩しい。掴み取ったアンサンブルの切れ味を、あの時の彼らは改めて噛み締めていたのだろう。スタジオでお気に入りのナンバーを大音量で鳴らす楽しさに震えるロック少年達のような無邪気さも窺われる一場面であった。「バンドになって良かったー! これからも我々の我がままに付き合ってください。さようなら」、江沼の実感のこもった言葉を添えて、ラストを飾った「蒼き日々」。渋谷公会堂の隅々にまで広がるサウンドが綺麗だった。「みなさん、良いお年を!」と手を振り、清々しい笑顔を浮かべて去っていったメンバー達。彼らを拍手で見送った観客も実に嬉しそう。新体制となったplentyを集まった全ての人々が心から祝福したライブとなった。

【取材・文:田中 大】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル plenty

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リリース情報

空から降る一億の星

空から降る一億の星

2014年11月05日

headphone music label

1.手紙
2. 幼き光
3. ぼくがヒトであるなら
4.パンク
5.見知らぬ朝
6.イキルサイノウ
7.空から降る一億の星

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セットリスト

plenty 2014年 冬 ワンマンツアー
2014.12.27@渋谷公会堂

  1. 手紙
  2. 幼き光
  3. 理由
  4. 普通の生活
  5. からっぽ
  6. まだみぬ君
  7. 或る話
  8. ボクのために歌う吟
  9. その叙情に
  10. おりこうさん
  11. パンク
  12. プレイヤー
  13. あいという
  14. 見知らぬ朝
  15. 東京
  16. 先生のススメ
  17. 待ち合わせの途中
  18. イキルサイノウ
  19. 空から降る一億の星
Encore
  1. 人との距離のはかりかた
  2. 最近どうなの?
  3. 蒼き日々

お知らせ

■ライブ情報

SANUKI ROCK COLOSSEUM
2015/03/21(土)高松オリーブホール / 高松DIME / 高松MONSTER / 高松SUMUS CAFE / 瓦町駅地下広場(天地下ブリスク) / ジャンヌガーデン

MUSIC CUBE 15
2015/03/22(日) 広島クラブクアトロ / ナミキジャンクション / Cave-Be /Hiroshima Back Beat / アリスガーデン(無料ステージ)

VIVA LA ROCK 2015
2015/05/03(日)さいたまスーパーアリーナ

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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