go!go!vanillas流ロックンロールで全国に“魔法”をかけた「Magic Number Tour 2014-2015」ファイナル!
go!go!vanillas | 2015.01.29
大きな歓声を浴びて、両手を高く上げたメンバーが各々の場所へ着くと、「シブヤー、始めるぞー!」という牧 達弥(Vo・G)との声と共に、go!go!vanillas「Magic Number Tour 2014-2015」のファイナルは「セルバ」からスタートした。満員のクアトロ。待ってましたと一気に波打つフロアの熱気がスゴいが、ステージに立つ4人に浮足立った気配はない。落ち着いた、丁寧な演奏でしっかりと楽曲を客席へ届けていく。「ハイテンション」では、歌詞の一部を♪渋谷クアトロ?と変えて歌うと、続けて「ドアー」。短めのストラップで高い位置にベースを構えた長谷川プリティ敬祐(B)が髪を激しく振り乱して掻き鳴らす。終盤には、そのサラサラヘアが汗でびっしょりと濡れることになるのだ。
「東京に帰ってきました。ただいま!」と、プリティ。「真冬の渋谷を常夏のサマータイムにしませんかー?」と呼びかけて、その名のとおり「サマータイムブルー」だ。気がつけば、早くも牧は登場のときに着ていたジャケットを脱ぎ捨てていた。バニラズ印の陽気なギターリフが気分を高揚させる「エマ」では、PVに登場した女子高生ダンサーが登場。バンドの演奏に合わせて激しいダンスを見せると、「ミスタースウィンドル」では、プリティが「セイヤ!セイヤ!セイヤ!セイヤー!」とバニラズのお祭り男らしく大盛り上げ。一時曲を中断して、ジェットセイヤ(Dr)が「お前らは夜空に輝くお星様だ!」と熱血漢なセリフを叫べば、「お前らのテンションをく・れ・く・れ!」と謎の掛け声。これにはメンバーもステージ上で大笑いだった。
初っ端からジャンプジャンプの会場を、ゆったりと横に揺らしたのが「春眠」だった。スカイブルーのエレキの音色にファルセットをのせた牧がロックボーカリストとして凛とした佇まいを見せると、南国っぽいサウンドと明るいライティングが照らした「ニューエイジ」、そして、軽やかに弾むリズムに細やかな演奏が重なる「トワイライト」へ。歌のメロディとは異なる旋律をなぞる宮川 怜也(G)のギターが、ぐっと楽曲に哀愁を与えていた。バニラズのライブがアッパーな楽曲を中心として、アグレッシブなパフォーマンスを繰り広げながらも、決して勢いだけで終わらないのは、まずは牧のソングライティングによる普遍的なメロディがあり、なによりも、細部にまで気を配った丁寧な曲づくりにある。
ツアーの思い出を振り返ったMCでは、プリティが牧の失態発言をあられもなく開陳。
「オリエント」に入る前にかっこよく決めるはずが、「聴いてください、「トワイライト」……じゃなくて「オリエント」と言ってしまったこと。「これから後半戦はじめませ“ぬ”かー!?」と武士みたいな物言いになってしまったことを、おかしそうに語っていた。
ひと笑いしたあと、「後半戦いきましょうか」というプリティの声を合図に、「人間讃歌」からライブは折り返し地点へ。宮川のマイク1本に、プリティと宮川がふたりでコーラスに入れば、セイヤは立ち上がってドラムを叩く。「ホラーショー」では、プリティ主導のコール&“ウィスパー”のコーナー。「もっと小さく!」「もっともっと小さく!」という指示に、お客さんは囁き声のレスポンスを送る。その静けさたるや、「いま、下のブックオフから“いらっしゃいませ”が聞こえた」とプリティが言ったほどだった。
そしてライブは終盤、この日の渋谷クアトロは本当に暑い。牧の首筋には汗が光るが、セイヤは最後まで革ジャンを脱がなかった。「アクロス ザ ユニバーシティ」では、牧の「シンギンッ!」の声を合図に、オォーオォーと会場中が雄叫びのような声をあげ、プリティは宙に向けて拳を振り上げる。そして、プリティが「魔法にかかる準備はいいかー?」と叫んでからの「マジック」。まさに《魔法をかけた坩堝の中 人は狂ってく》という、歌詞の世界そのままの景色が目の前に広がっていた。プリティと宮川はステージの前方ギリギリまで出てフロアを煽り、牧は《胸を指す》のフレーズで強く胸を叩く。ふと思う――ロックンロールを最初に“魔法”と呼んだのは誰だろう? 全てを忘れてそれに身を委ねるだけで胸がいっぱいになる。その日、バニラズが渋谷クアトロに作り上げたのは、そんな他には代えがたいステキでワンダーな時間だった。
最後のMCでプリティは真面目な口調で、今回のツアーの中心となった最新アルバムについてこう語った。「『Magic Number』は作るときに苦労した作品だった。みんなで喧嘩したり、泣いたりもした。……(マジックナンバーにかけて)“マジ苦難”した(笑)。でも作ってよかったと思う」(一部要約)と。昨年の11月にスタートした全国ツアーが15ヵ所目、ファイナルを迎えて、改めてそう語るプリティのその言葉にはズッシリと重みがある。そして、ラストナンバーは「アルバムの中でも僕を前に進めてくれた曲です」と牧が紹介した「オリエント」。いつまでも終わってほしくない。それでも、いつか終わるなら悔いのないように、そんな想いが届いてくるような、渾身のステージだった。
アンコールは会場から「大暴走! Die 暴走!」というコールが起こった。これは、セイヤの父親のバンドのアンコールで使われている言葉だそう。ふだんは滅多に喋らない宮川がひとりで先に登場して、「ツアーが終わって寂しい」と少したどたどしい口調で伝えると、遅れて3人が登場。5月5日(=go!go!の日)に2015年も自主企画を開催することを発表した。そして、ツアーファイナルを迎えられた感謝を伝えながら、「次に進んでいかねぇと!」と牧が言うと、新曲へ。より開放的な、どこか新しいバニラズの幕開けを告げるようなナンバーだった。ラストは「ライクアマウンテン」からアンコールの定番「ビッグモンスーン」と立て続けに披露。ミラーボールが煌めき、セイヤが「ロックンロール!!!」と絶叫するなか、ライブは幕を閉じた。
【取材・文:秦理絵】
【撮影:浜野カズシ】
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リリース情報
セットリスト
Magic Number Tour 2014-2015
2015.1.16@渋谷CLUB QUATTRO
- セルバ
- ハイテンション
- ドアー
- サマータイムブルー
- エマ
- ミスタースウィンドル
- 春眠
- ニューエイジ
- トワイライト
- 人間讃歌
- ホラーショー
- 非実在少女
- デストロイヤー
- アクロス ザ ユニバーシティ
- マジック
- ティーンネイジャーズノイズ
- オリエント
- 新曲
- ライクアマウンテン
- ビッグモンスーン
お知らせ
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※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。