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ゲスの極み乙女。新木場STUDIO COASTでツアーファイナル

ゲスの極み乙女。 | 2015.02.25

 11月からスタートした最新アルバム『魅力がすごいよ』を引っさげた全国ツアー「ゲスな魅力?」の追加公演「ゲスでいこかvol.3」のファイナルが新木場STUDIO COASTで行なわれた。そもそもバンド史上最大規模だった全国ワンマンツアーにさらに追加となった全国4ヵ所7公演。しかも東京はキャパシティ2,400人規模の会場で2Daysの開催だ。実際にそのライブを見ると、その数字が示す以上に、会場のものすごい盛り上がりが、今のゲスの極み乙女。の勢いを物語っていた。

 オープニングはいきなり「猟奇的なキスを私にして」と「デジタルモグラ」だった。いずれも、お茶の間にまで知れ渡るキラーチューンがいきなり投下され、フロアのテンションは一気にマックスに達した。ヒップホップ、ロック、ジャズ、クラシック、様々なジャンルをクロスオーバーして、独自のポップスへとアプローチするゲスの極み乙女。の自由なサウンドが、圧倒的な無敵感を放って、降り注いでくる。続く、「パラレルスペック」のファンキーバージョンでは、ほな・いこか(Dr)を囲むように集まるメンバー。ステージ中央で、ふだんは正面を向いて鍵盤を弾くちゃんMARI(Key)も、少し身体を後ろに向けてメンバーと顔を合わせると、川谷絵音(Vo・G)と休日課長(B)は楽器がぶつかるぐらい大接近して挑発的なプレイを見せる。最高にかっこいい滑り出しだ。

 この日のセットリストは、アルバム『魅力がすごいよ』の楽曲を中心としたツアー本編とは趣を変えて、新旧ゲスの人気曲を詰め込んで進行していく。

 そんななか、特に印象的だったのは、『魅力がすごいよ』に収録のナンバー「ラスカ」で幕を開けた中盤の流れだった。《今日もまた 嫌なことばっかり》と歌うサビの独白。それに寄り添う寂しげなメロディとブルーの照明が照らすヒヤリとした空気感は、ライブ序盤の熱狂的なムードとは似て非なるものだった。そして、《もっと愛されるようになりたい》と歌うミニマルなダンスチューン「サリーマリー」では、クライマックスでちゃんMARIがショパンの「子犬のワルツ」のフレーズを披露。それは、バンドのソングライティングを手がける川谷絵音のムードと、クラシックが裏テーマだったという『魅力がすごいよ』というアルバムの世界観が凝縮された、このツアーらしい2曲であり、同時に、“踊れるゲス”のその先を少しだけ垣間見らえた瞬間でもあった。

 ゲスの極み乙女。といえば、長~いMCも楽しみのひとつだ。ちゃんMARIがお馴染みの「コポ!!」で元気に会場を盛り上げると、マシンガントークがはじまった。キュウソネコカミとライブ日程がよく被ることを話し、(前日2/14にキュウソは豊洲PITでワンマン)このあと、登場するサプライズゲストが、「講演会か!」と茶化した長さだったが、少しぶっきらぼうな絵音の語り口とメンバーとのやりとりはいつも面白い。

 そして、「「キラーボール」で踊りませんか?」という絵音の煽りからは、これでもかとフロアを躍らせる怒涛の後半戦に突入した。絵音はステージの際ギリギリに立ち、腕を強く突き上げてフロアを容赦なく煽っていく。さらに、いこかの力強いドラムソロのあと、休日課長が「私の愛するドラム、ほな・いこかのビートに合わせてコール&レスポンスを!」と言って、「ドレスを脱げ」へ。ちゃんMARIは踊るようにシンセサイザーを弾いている。……が、よく見ると、ステージ下手では、なんとキュウソネコカミのヤマサキセイヤ(Vo・G)が、全力のダンスを披露しているではないか!会場からは「セイヤー!」の声も飛ぶなか、《ヤンキーこわい!》のフレーズで知られるキュウソの人気ナンバー「DQNなりたい、40代で死にたい」を演奏。これにヤマサキは、「台本にないやんけ!」と叫びながらも、絵音&休日課長とともに熱唱して、おそらく両方のファンも多いであろう会場は大興奮だった。

 そんなサプライズのあと、「反省会をしよう」と絵音がヤマサキを引き連れて退場すると、いこかによるツアーグッズの紹介コーナー。そして、「みんな餅は食べたいかー!」と叫ぶ休日課長の声を合図に始まった「餅ガール」では、絵音が、改めてステージに登場。「餅が」(ちゃんMARI)、「食いたいわ!」(いこか)という女子ふたりが叫びに続いて、絵音がエモーショナルなギタープレイを見せるシュールな光景に、会場はワッと歓声が湧いた。そして、「ホワイトワルツ」では、ゲスライブのお約束“ゲスの4ヵ条”をいこかが華麗に宣言すると、メロディアスなダンスチューン「スレッドダンス」でライブ本編を締めくくった。

 続く、アンコールでは、まず4月22日にニューシングル『私以外私じゃないの』をリリースすることが発表された。すでに、5月からは全国ツアー「私以外ゲスじゃないの」を開催することがアナウンスされており、こう来たか!と思わせる新曲タイトルがニクい。そして、早速披露された「私以外私じゃないの」は、ちゃんMARIのクラシカルなピアノを皮切りに、ファルセットを駆使したボーカル、そこに4人の変則的な演奏が絡み合う、ゲスらしくも新しい攻めのナンバーだった。そして、「最後にパラリラパラリラ歌いませんかー? ゲスの極み乙女。と遊びませんか?」(絵音)と繰り広げた「アソビ」で、フロアの熱気が頂点に達すると、およそ2時間のライブは幕を閉じた。

 思えば、ゲスの極み乙女。がメジャーシーンに鮮烈な登場を果たしてから、わずか10ヵ月ほど。結成から考えても、3年足らずだ。恐るべき勢いで加熱するバンドの人気の裏で、首謀者・川谷絵音が、本当にやりたいことを収めたのが、『魅力がすごいよ』というアルバムだった。そのツアーもようやく終えたいま、早くもバンドは第2章へと突入する。

【取材・文:秦 理絵】
【撮影:橋本塁】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル ゲスの極み乙女。

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リリース情報

私以外私じゃないの(初回限定盤)[CD+グッズ]

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2015年04月22日

ワーナーミュージック・ジャパン

[CD]
1. 私以外私じゃないの
2. ルミリー
3. パラレルスペック(funky ver.)
4. But I’m lonely


(初回限定グッズ:ゲスくん以外ゲスじゃないレジャーシート)

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セットリスト

ゲスでいこか vol.3
2015.2.15@新木場STUDIO COAST

  1. 猟奇的なキスを私にして
  2. デジタルモグラ
  3. パラレルスペック
  4. サカナの心
  5. 星降る夜に花束を
  6. ノーマルアタマ
  7. ラスカ
  8. サリーマリー
  9. ハツミ
  10. ユレルカレル
  11. キラーボール
  12. ドレスを脱げ
  13. 餅ガール
  14. song3
  15. ホワイトワルツ
  16. スレッドダンス
Encore
  1. 私以外私じゃないの
  2. アソビ

お知らせ

■ライブ情報

ワンマンツアー「私以外ゲスじゃないの」
2015/05/10(日)北海道 Zepp Sapporo
2015/05/11(月)北海道 Zepp Sapporo
2015/05/16(土)大阪 大阪城音楽堂
2015/05/19(火)愛知 Zepp Nagoya
2015/05/20(水)愛知 Zepp Nagoya
2015/05/27(水)福岡 Zepp Fukuoka
2015/05/28(木)福岡 Zepp Fukuoka
2015/05/31(日)東京 日比谷野外大音楽堂
2015/06/03(水)岡山 岡山オレンジホール

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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