新進気鋭の若手バンドとまわる9年ぶりの対バンツアー、初日をレポート!
Nothing’s Carved In Stone | 2019.12.12
昨年10月に結成10周年記念となる日本武道館公演をソールドアウトの大盛況で終え、今年2月には自身のレーベル「Silver Sun Records」を立ち上げるなど、何かと話題を振りまいてきたNothing’s Carved In Stone。9月には最新アルバム『By Your Side』をリリースし、10月2日の恵比寿LIQUIDROOMからは「By Your Side Tour 2019-20」がスタート。年内は対バン形式で、威勢のいい若手バンドと各地で激突。そして年明けからはワンマンツアーも決定しているが、まずは対バンライブの空気感を確かめるべく、初日の恵比寿LIQUIDROOMに足を運んだ。パンパンに観客が詰まった場内を見ながら開演を待つ。
開演時間ちょうどに、対バン相手のNewspeakのライブが始まった。彼らは2016年に結成された4人組で、メンバーはリバプールで音楽活動の経験があるRei(Vo/Key)に加え、Ryoya(Gt)、Yohey(B)、そしてカナダ人のSteven(Dr)という国際色の強い面々だ。照明が暗転し、センターに置かれたキーボードを弾きながら、まずはReiがひとりで歌い出す。ファルセットを使いこなすボーカルに圧倒されていると、ほかの3人がステージに登場してスタンバイ。ほどなくバンドサウンドでインすると、観客をグッと引きつけていく。自然に手拍子が起こり、ジワジワと空気が暖まっていった。
「皆さん、楽しんでますか? このままいきましょう!」とReiが挨拶し、いいテンポで曲が進んでいく。英語詞のハマり具合とサビメロの良さ、バンドアンサンブルもまとまっており、結成約3年とは思えないグルーヴを叩き出してくる。UKロックの影響も感じられるが、引き出しの多さも発揮され、今後の活動が楽しみだ。Reiは後半のMCで、「バンドを始めた頃、ナッシングスの『Isolation』を聴いて衝撃を受けました」と告白。先輩と同じステージに立てている喜びをを噛み締めていた。持ち時間の40分のあいだに、「Lake」など代表的な楽曲を並べ、存分に個性をアピール。さらに、11月6日には1stアルバム『No Man’s Empire』をリリースし、それに伴うアルバムリリースツアーの告知がされた。ナッシングスのツアー初日1発目の対バンという重責を果たした。
Newspeakのパフォーマンスが終わり、転換時間へ。彼らが残した鮮烈な衝撃を、ナッシングスの面々はどう吹き飛ばしてくれるのだろうか……。
20時を少し回った頃、場内に流れるBGMの音量が下がり、再び暗転。SEに乗ってメンバーがステージに現れる。リラックスした表情が会場後方からでも確認できた。やはりこの距離感はうれしい。細かい曲順などの記述は避けるが、やはりバンドが音を出した瞬間の熱量は相当なもの。ステージとフロアの感情が激突し、一気にボルテージが上がっていった。メンバーだけでなく、ファンもアルバムツアーを渇望していたのがわかる。本編は『By Your Side』からの楽曲を中心に構成されているが、前半から観客のノリがハンパない。熱い展開が予想された「Who Is」など、観客は戸惑いなくフロアを揺らしていく。「Blow It Up」では、村松拓(Vo/Gt)が「一緒に歌えるか?」と、コーラスを観客に要求。そこにしっかりと応えていくファンの反応は「本当に初日なのか?」と疑うほどだ。
また、アルバムの中でも聴かせる楽曲として際立っていた「Still」や「Bridges」も堂々と披露し、ライブの山場を作った。音源でも情感たっぷりに歌われていたが、やはりライブでは感情がリアルに伝わってくるので圧巻。パワーを増した歌モノの表現力も、彼らの大きな武器になりそうだ。個人的にはこれら歌が主役の楽曲たちは、もっと広いハコでも聴いてみたい――と、感じた次第だが、そこは来年のワンマンツアーで確認してみようと思う(東京公演は1月9日のZepp Tokyo)。また、アルバムに先駆けて発表されたリード曲「Beginning」も、一体感を生むキラーチューンとしてプレイされるので、思い切り噛み締めていただきたい。『By Your Side』というアルバムにつながっていった曲が、頼もしい存在に進化しているのを実感していただけるはずだ。
後半ブロックに向かう前、村松は再び観客に向かって語り始めた。
「楽しいです。『By Your Side』はレーベルを立ち上げて初めてのアルバム。みんなに届けられてうれしい」。そんな感謝を述べながら、「Newspeak、すげえかっこいいバンドだと思います」と対バン相手のNewspeakに言及。そして「みんな知ってた?」と観客に問いかけたのだが、手を挙げたのはなんとごくわずか。Newspeakのライブ中の反応を見る限り、知っている人が多いのではという印象だったのだが、これは満員の観客をまとめたNewspeakの健闘を讃えたい。村松は「みんな、信じてたんだ。ありがとう」と、対バンのセレクトが間違いでなかったことにうれしそうな表情を浮かべた。
後半は人気の曲が飛び出し、バンドのプレイも激しさが増していく。生形真一(Gt)がキレのあるギターで切り込めば、日向秀和(Ba)は個性的なフレーズで自在にグルーヴを操っていく。そして、“オニィ”こと大喜多崇規(Dr)のドラムも、荒ぶる弦楽器隊のサウンドをしっかり支えていく。スリリングな一方、それぞれがリラックスしているようで、その“楽しさ”がフロアにも伝わってくる。「いけるところまでいこうぜ!」と煽る村松に、満杯のオーディエンスも体全体で応えていく。
アンコールでは曲をやり直すというハプニングもあり、ここでようやく「お、初日らしいな」と感じたわけだが、そんなアクシデントもライブの醍醐味。空気がほぐれて、その後の演奏が一層盛り上がったのは言うまでもない。
こうして、ツアー後半のようなテンションの初日は無事に終了。いやはや、とんでもなくヤバいツアー初日だ。この先も各地には威勢のいい若手バンドが対バン相手に控えているので、相乗効果、化学変化が起こるのは間違いない。村松は「言うの忘れてたけど、今日が初日なんで(苦笑)。今日が基準になるんだよね。これを超えるのは大変……」と苦笑いしていたが、「俺らも戦って東京に帰ってくるから! また会いましょう!」と、来年のワンマン公演に向けて宣言した。そのワンマンツアーは来年1月9日、Zepp Tokyoからスタートする。久々の対バンで、ナッシングスのパフォーマンスにどんな変化が生まれるのだろうか。年明け早々、エモい空間が体験できそうだ。
【撮影:西槇太一】
ライブ
男性ボーカル
Nothing’s Carved In Stone
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リリース情報
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Digital Live Album「Live on November 15th 2019」
2019年12月18日
Silver Sun Records
01.Kill the Emotion
02.Crystal Beat
03.Like a Shooting Star
04.In Future
05.The Poison Bloom
06.Crying Skull
07.Sands of Time
08.きらめきの花
09.シナプスの砂浜
10.Pride
[DISC-2]
01.Milestone
02.Alive
03.Spirit Inspiration
04.Around the Clock
05.Music
06.Isolation
07.Out of Control
08.November 15th
09.Shimmer Song
10.Beginning
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リリース情報
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By Your Side
2019年09月25日
Silver Sun Records
02.One Thing
03.Blow It Up
04.Alive
05.Bridges
06.The Savior
07.Kill the Emotion
08.Music
09.Still
10.Beginning
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お知らせ
By Your Side Tour 2019-20
[ONE-MAN]
2020/01/09(木) 東京 Zepp Tokyo
2020/01/11(土) 福岡 Zepp Fukuoka
2020/01/13(月・祝) 宮城 仙台Rensa
2020/01/17(金) 愛知 Zepp Nagoya
2020/01/18(土) 大阪 Zepp Osaka Bayside
SPECIAL ONE-MAN LIVE“BEGINNING 2020”
2020/02/27(木) 東京 新木場STUDIO COAST
MERRY ROCK PARADE 2019
2019/12/22(日) 愛知 ポートメッセなごや 1号館~3号館
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2020/02/15(土) 福島 郡山HIPSHOT JAPAN
SUPER BEAVER 自主企画
「現場至上主義 supported by TOWER RECORDS」
2020/03/10(火) 愛知 名古屋DIAMOND HALL w) SUPER BEAVER/LOSTAGE
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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