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バンドの新たなる旅立ちの瞬間――灼熱のクレストワンマンを観た!

Novelbright | 2019.12.19

 美しいメロディーラインとボーカル・竹中雄大の圧倒的なハイトーンボイスを武器に、大阪出身5人組ロックバンド・Novelbright。路上ライブの模様がSNS上で注目を集め、インディーズながらも地上波TVで特集を組まれるなど、その勢いが止まらない彼らが、9月4日にリリースした最新アルバム『「EN.」』を引っ提げ、5大都市ワンマンツアー「『EN. -アンピリオド-』RELEASE ONEMAN TOUR 2019」を行った。来年の1~2月には「『EN. -アンピリオド-』ツアー」の追加公演として、東名阪のCLUB QUATTROでワンマンライブを行うことも決定!
EMTG MUSICでは、10月17日、SOLD OUTした渋谷TSUTAYA O-Crestで繰り広げられたライブの模様をレポートする。

 2013年に竹中雄大(Vo)を中心に結成され、今年1月に圭吾(Ba)が加入したことで現体制となったNovelbright。少しでも自分達の存在を知ってもらおうと始めた路上でのアコースティックライブがきっかけで、突如としてシーンに旋風を巻き起こした彼らの勇姿を目撃しようと、渋谷TSUTAYA O-Crestには250人もの観客が集結していた。
ピアノベースのSEがそっと流れるなか、ステージに登場した5人。シルエットが浮かび上がると、温かな拍手とは裏腹に心地よい緊張感が会場を包み込んだ。そしてパッとステージがライトアップした瞬間、SEに連なるように生バンドが重なり、意を決した表情で「Revive」の頭サビを歌い出す雄大。その大迫力のハイトーンに、ライブ慣れしているロックキッズも、初めてライブハウスに足を運んだ人も、一気に胸を掴まれる。アルバム『「EN.」』でも1曲目を飾るこの曲が、記念すべきライブの幕開けを告げた。

「待たせたな、東京!大阪からやって来ました! Novelbrightです!」。
まるで遅れてきたヒーローのような清々しい笑顔で挨拶すると、「拳あげられますか?」と煽りながら、結成初期の楽曲「Count on me」へ。曲中には口笛の世界大会で優勝経験のある雄大の生演奏もあり、2曲目にしてすさまじい熱気が充満する。“踊れる曲”と紹介された「Shall we dance??」や、ここから始まる新たな旅への想いを乗せた「We are calling you」では、繰り返されるコール&レスポンスと頼もしいシンガロングが観客とメンバーたちの心をひとつに。アルバム『「EN.」』を制作するうえでも生音の質感にかなりこだわったという話をしていたが、この日は、歌や演奏の中にメンバーたちが抱える想いや生き様、この先に輝く未来さえも鮮明に映し出しながら、より躍動感のあるライブを届けていった。

「ねぎくん、楽しんでますか?」(雄大)
「やったー! 楽しさいっぱい!(笑)」(ねぎ/Dr)
「ねぎくんが楽しいと俺も楽しいです(笑)」(雄大)
MCではそんな心温まるやりとりもありつつ、そのまま遊び心溢れるダンスチューン「フォーリン・ヴィーナス」に突入すると、山田海斗(Gt)、沖聡次郎(Gt)、圭吾も軽快に手を叩き、まさに楽しみながら音の波を乗りこなしていく。メンバーたちの笑顔に引っ張られるように、観客も自然と体をゆすりながらめいっぱい声を張り上げる。文字に起こすとクスッと笑える《みっちり 2時間 do muscle training》というパワーワード(=歌詞)も、等身大のメッセージソングが多いセットリストの中で粋なスパイスとなっていた。

「夜空に舞う鷹のように」でバンドとしての信念や一体感を再び示すと、本編中盤では、アルバム『「EN.」』の収録曲を立て続けに演奏。まずは、圭吾が加入したことによりピアノストリングスの要素が強まったという、“最先端のNovelbright”を色濃く打ち出したファンタジックなラブソング「the Eternal oath」が会場の空気を変えていく。透明感のあるピアノとドラマティックなバンドサウンド、雄大のしなやかな歌声が絡み合いながら駆け抜け、このアルバムで初めて作詞に挑戦したという海斗も、心地よさそうに声を重ねる。聡次郎が作曲したインストゥルメンタルナンバー『parade-Я-』では、楽園に迷い込んだような不思議な感覚に。木々のざわめきや雄大が口笛で表現した鳥のさえずりが、熱狂のライブハウスをほどよくクールダウンさせていった。しかし、アルバム同様、ねぎのドラムによる鋭いカットインが平穏を切り裂くと、疾走感溢れる「Rain Dancer」になだれ込む。この曲は、海斗が本気で夢を追うことの意味を綴ったメッセージソング。中途半端に夢を追う人に対する怒りにも似たパワフルな演奏が、Novelbrightがどれほど命懸けでこの旅を続けているのかを伝えている。とはいえ、続く「My Savior」では、本気で挑むからこそ苦しみもあるけれど、《救世主はきっと/すぐ側で待ってるよ》と微笑む。寄り添うような優しい言葉と生バンドならではの人柄の滲む音が、心をじんわりと温めていった。

「みんなの日々の疲れやストレスを全部吹き飛ばすくらいの歌を、あなたの心臓のど真ん中目がけて歌います」
本編後半戦、雄大がそう言い添え届けられたのは「ヒカリへ」。Aメロでねぎが踏み鳴らすキックの音が鼓動とリンクし、観客の手を引いて光の中に進んでいく。また、当たり前に“また明日”と言える日常の幸せを歌った「また明日」、大切な人を失った心情を切々と綴った「ふたつの影」、結成当初から大事に歌ってきた「Photo album」など、表現力の高い演奏、圧倒的なボーカルが映えるラブバラードも欠かせない。曲ごとに描かれたストーリーが巧妙に連なり、舞台のような臨場感を生み出していくことも彼らのライブの評価すべきところで、冒頭のアカペラが際立つ「Photo album」では、感情を限界まで曝け出し、今にも泣きそうな声で歌う雄大がとても印象的だった。

「今日という1日を迎えられて、幸せな気持ちでいっぱいです。皆さんとこれからもずっと一緒にいられるように、僕たち5人で素敵な音楽を届けていきますので、これからも応援してやってください。お願いします」
飾らない言葉で感謝を述べると、ハリウッド級のスケールに挑戦した、全編英詞のバラード「Heart voice」を披露。ワンマンライブでこそ活きるこの曲が、Novelbrightの実力を見せつける。そのうえで「死んでも5人組ロックバンドなんで! ロックバンドらしくロックして帰ろうぜ!」と叫び、人気曲「Morning Light」と「Walking with you」でラストスパートをかけた。ここでは、「『EN.-アンピリオド-』RELEASE ONEMAN TOUR アンコール編」と題して、年明けに東名阪のCLUB QUATTROでワンマンライブを行うことも発表され、挑戦し続けることでNovelbrightと会場にいる観客全員の絆をより強固にしたいと、雄大は語る。そして、観客一人ひとりとバンドを結び付けた“縁”を噛みしめながら、ラストを飾るのは、アルバム『「EN.」』のリード曲「拝啓、親愛なる君へ」。ずっとずっと一緒にいたいという純粋な“ラブソング”と、その想いに応えようとする観客の大歓声で、特別な1日を締めくくった。

 なお、アンコールでは、にぎやかなトークで笑いを誘いつつ、「今日という1日が、僕らにとってもみんなにとっても、何か素敵な始まりになりますように」と願いを込めて「スタートライン」を歌唱。MCでの親しみやすいキャラクターから一転、まだインディーズであることを忘れてしまうほどの存在感を放ちながら、新たな挑戦に向けて、5人は大きな一歩を踏み出した。

【取材・文:斉藤碧】
【撮影:堀内れい子】

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リリース情報

「EN.」

「EN.」

2019年09月04日

Emperor Mode

01.Revive
02.the Eternal oath
03.ふたつの影
04.フォーリン・ヴィーナス
05.parade -Я-
06.Rain Dancer
07.Heart voice
08.拝啓、親愛なる君へ

セットリスト

「EN. -アンピリオド-」RELEASE ONEMAN TOUR 2019
2019.10.17@渋谷TSUTAYA O-Crest

  1. 1.Revive
  2. 2.Count on me
  3. 3.Shall we dance??
  4. 4.We are calling you
  5. 5.フォーリン・ヴィーナス
  6. 6.夜空に舞う鷹のように
  7. 7.the Eternal oath
  8. 8.parade -Я-
  9. 9.Rain Dancer
  10. 10.My Savior
  11. 11.ヒカリへ
  12. 12.また明日
  13. 13.ふたつの影
  14. 14.Photo album
  15. 15.Heart voice
  16. 16.Morning Light
  17. 17.Walking with you
  18. 18.拝啓、親愛なる君へ
  19. 【ENCORE】
  20. 1.スタートライン

お知らせ

■ライブ情報

「EN. -アンピリオド-」RELEASE ONEMAN TOUR アンコール編
2020/1/5(日)大阪 梅田CLUB QUATTRO
2020/1/10(金)愛知 名古屋CLUB QUATTRO
2020/2/6(木)東京 渋谷CLUB QUATTRO
※SOLDOUT
FLOW 2MAN TOUR 2019-2020「VS NEXT GENERATION」
2019/12/22(日)兵庫 神戸VARIT.
※SOLDOUT

FM802 30PARTY FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2019
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2020/1/11(土)静岡 ツインメッセ静岡

HAPPY JACK 2020
2020/3/14(土)、3/15(日)熊本 熊本市内ライブハウス4会場

HIROSHIMA MUSIC STADIUM-ハルバン’20-
2020/3/21(土)、3/22(日)広島 広島市内複数会場

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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