前へ

次へ

歓喜と興奮の配信ライブ「バーチャルブライト」――同じ時を刻んだ一夜、その瞬間を観た!

Novelbright | 2020.07.22

 おそらく彼ら自身が誰よりもこの日を待ち侘びていただろう。画面の中にいる5人の純度100%な屈託ない笑顔にグッと胸に込み上げてくる熱いものをこらえながら、つくづくとそう思う。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、ライブ、コンサート、各種イベントなど音楽業界においても次々と開催を自粛、そのまま中止や延期に追い込まれる状況となって約5ヵ月。Novelbrightもその例外ではなく、6~7月にかけて予定されていたワンマンツアーの中止を余儀なくされた。5月にリリースしたばかりの1stフルアルバム『WONDERLAND』を携えて東名阪のZeppを含め全国6公演を回り、のべ1万人を動員しようという、バンドにとってさらなる飛躍への一歩となるだろうツアーを断念しなければならなかったことは、事情が事情だと理解したうえであっても、どれほどの痛みと悔しさを伴っただろうか。だが、彼らは少しも腐ることなく、前向きに模索を続けた。バンドマンにとって最も大切なもの、すなわちライブをいかに実現し届けるか。そうして辿り着いたのが7月11日に開催された配信ライブ「バーチャルブライト2020summer~WONDERLAND release ONE MAN SHOW」だ。自粛要請期間中にはアコースティックで配信ライブを行うなど、配信ライブそのものはいち早く活動に取り入れて来たNovelbrightだが、フルバンド編成(バンドセット)では今回が初となる。アコースティックももちろん捨てがたいが、ロックバンドの本領はやはりバンドセットでこそ存分に発揮されるもの。実に5ヵ月ぶりとなる本格的なステージを見届けるべく、当日は何千人ものファンがそれぞれにパソコンやスマホの画面の前で、彼らの登場をワクワクと待っていたに違いない。

 開演時刻の19時を回るや、画面に5人の姿が現われた。事前に都内ライブハウスからの配信とアナウンスされていることから推測するに、楽屋を出てステージへと向かう直前であるらしい。全員で輪になると「ずっと待っていた久しぶりのバンドセット、バチコン!とぶちかましたいと思います。楽しんでいきましょう!」と竹中雄大(Vo)が音頭をとり、揃って鬨の声を上げる。リアルタイムでバックステージの様子が見られるなんて、のっけからうれしいことをしてくれるではないか。この日に向けたスタジオリハーサルやミーティングの様子などオフショット映像とともにSEが流れ、しばしののち、壇上にスタンバイする5人へと再びカメラが切り替わった。客席フロアに面した前方を除き、白いスクリーンに三方が囲まれたシンプルなステージセット。あまり広くはないが、それがむしろ彼らと観る者との距離の近さを感じさせるかのようだ。

 刹那の静寂を破って迸るギターリフ、間髪入れずに「やろうぜ!」と雄大が叫んで疾走感溢れるアンサンブルが待ってましたとばかりに炸裂した。待ちに待ったオープニングは「ランナーズハイ」。1月5日に配信リリースされた、Novelbrightにとっては2020年の幕開けを告げた曲であり、アルバム『WONDERLAND』の口開けでもあるこの曲から、新たに一歩を踏み出さんとするバンドの意志がひしひしと伝わってくる。続く「Believers」で勢いは急加速。さらに「We are calling you」になだれ込むと、雄大は「ようこそ! 最高に幸せな夜を一緒に作りましょう!」と画面の向こうに呼びかけて朗々と歌声を響かせ、サビの最後には無観客でありながら普段のライブになんら劣らぬテンションで「カモン!」と果敢にオーディエンスのシンガロングを誘ってみせた。オーディエンスの声を熱望する彼らの想いはまっすぐに画面を越えて伝わっただろう。同じ瞬間、一人ひとりが「Woo...」と歌声を響かせている光景が5人の脳裏にもはっきりと浮かんでいたと思う。おそらく緊張もしていたのだろう、それまでは気持ちばかりが先走るような微かなぎこちなさのようなものもところどころに見られていたのがあっという間に消え去り、一気に堂々とした佇まいへと変わっていくのだから面白い。ひとたびバンドにスイッチが入れば、観ているこちらもいっそう惹き込まれるというものだ。そうか、配信でも相乗効果、相互作用は生まれるのか。俄然、繋がっているのだという実感が湧いてくる。

 「ありがとうございます!」

 興奮気味に挨拶する雄大だったが、そこはやはり無観客。シーンと無音が際立ってしまうのは致し方ない。本人も「そうでした、今日は無観客でしたね」と苦笑い。続けて「でも撮影クルーの方たちはいますから、手の空いてる方は拍手をお願いします。配信上に音は乗らなくても僕たちのテンションが上がります!」とリクエスト、即座にパチパチパチと送られた拍手に、たちまち相好を崩すメンバーがなんともかわいい。しかし目の前に観客はいなくとも、この配信ライブではコメント・チャット機能を使ってコミュニケーションができるという。その場でログインし、次々と寄せられるコメントを読み上げていく雄大。なかには「人生初のライブ」というコメントもあり、「俺らもバンドセットで配信やるの初やもんな」と沖聡次郎(Gt)。「コメント見ながらライブするって、なあ?」と圭吾(Ba)が目を丸くすれば、「どんな近未来に生きてるんだって話ですよ」と雄大も口を揃えるなど、いつになくユルいメンバートークに癒されるのも配信ライブならではの魅力と言えるだろう。初めて彼らを見る人たちに向けて、いつもはなかなかやらないという自己紹介が、これまたユルくて笑ってしまった。

 だが、ひとたび演奏に入れば、切れのいいパフォーマンスで画面越しであることなどお構いなしに熱狂を牽引。グルーヴィーなビートが否応なしに聴き手を踊らせる「フォーリン・ヴィーナス」で、<あらお口にお米つけたままじゃん>と歌いながら雄大が山田海斗(Gt)に接近、その口元に手を伸ばしてバーチャル米粒を取ってあげる動作など実に扇情的だった。狂騒的なダンスビートに貫かれながら曲中でいきなりスローなワルツにテンポチェンジしてみせたりと、『WONDERLAND』の中でも極めてトリッキーな1曲「おはようワールド」は、生演奏されるとその遊び心がいっそう際立つ。真っ赤に燃え盛るライトに照らされてアグレッシブかつシニカルにオーディエンスへと斬り込む「ENVY」はNovelbrightの新境地であり、一方で「夜空に舞う鷹のように」ではダイナミックなスケール感とともに彼らの揺るぎない覚悟を体現する。「君色ノート」のキラキラと甘酸っぱい旋律、「ヒカリへ」のそこはかとなく立ちこめるケルティックな匂いのサウンド感。大人の恋愛模様が綴られた、Novelbrightのラブソングの中でも異色と呼びたい「candle」がライブでさらに切なくエモーショナルな1曲に化けるとは驚きだった。聡次郎と海斗の繊細なギターアンサンブル、圭吾とねぎ(Dr)のリズム隊による抑揚を効かせたビート感、打ち込みトラックの乾いた質感の、ライブだからこその絶妙な三つ巴が、情緒を孕んで切実な雄大の歌唱をドラマティックにブーストさせているのだと思う。もとより音楽的振り幅は相当に豊かなバンドだが、『WONDERLAND』というアルバムが生まれたことにより、幅だけでなく厚みもさらに加わったという印象がこの日のライブにはあった。

 大勢のスタッフに配慮し、感染防止対策のための換気タイムもしっかりと導入してライブは徐々に後半戦へ。雄大のたおやかな口笛が導入となって温かに沁み入る「また明日」、アコースティックギターの柔らかい音色も耳に心地いい「夢花火」、全編英語詞で歌われる「Heart voice」は回を重ねるたびに歌声の伸びやかさが増している気がする。そうしてバラードで構成されたブロックを締めくくったのは「Photo album」だった。「Heart voice」を終えて暗転したステージに訪れた数秒間の無音の刹那。束の間の静寂を破る渾身のアカペラに心が震える。圧倒的な声量と荘厳にして透明感をも宿した歌声、ライブだからこその迫力にただ陶然と聴き惚れた。雄大がバンドを結成した18歳のときから大切に歌い続けてきた楽曲であり、Novelbrightの原点と言うべきこの曲。それを、今や唯一のオリジナルメンバーである雄大が結成から5年を経てようやく出会えた今のメンバーたちと、自粛を余儀なくされたこの5ヵ月間を耐え忍んでようやく実現できたバンドセットのこの配信ライブで、再び大勢のファンに届けられた喜びはきっと至上だったろう。この日のMCで彼が繰り返し語ったのは、Novelbrightにとっていちばんの幸せはライブができることだという、当たり前のようでいてかけがえのない事実だった。数ヵ月ライブができないことで、同じ期間お風呂に入れないのと同じくらい辛いものだったこと、去年このメンバーになってもう一度走り出し、「よっしゃ! やっとここからたくさんの人に観てもらえる!」と思った矢先にライブができなくなってしまったこと、歯痒い日々を送っていたこと、曲を作ったりテレビ番組に出演したりアーティスト活動を続けられている有難さは感じながらも何かが足りないモヤモヤをずっと抱えていたことを赤裸々に明かし、だからこそ「今日こうやってバンドセットで音を掻き鳴らして自分たちの音が爆音で響いて、それがしっかり皆さんの耳に心に届いているっていうことが何よりも幸せです」と。

 「ラストスパートは5人組ロックバンドらしく派手にロックしていく」と宣言し、言葉どおり「Walking with you」「Morning Light」と激しいアクションで畳み掛けた興奮もさめやらぬまま、インスト曲「Prologue~Before the dawn~」をインタールードにライブは「時を刻む詩」でいよいよクライマックスを迎えた。深いグリーンの照明から一転、クリアに5人の姿が画面に浮かび上がったときのえも言われぬカタルシス。歌詞に綴られているのは、彼らが去年全国を路上ライブで飛び回っていた日々であり、これまでに歩んできた紆余曲折の歴史であり、そんな彼らを応援し続けたファンと彼らとの間に結ばれた固い絆の物語でもあるが、新型コロナウイルスによって一変してしまったこの状況下で聴けば、よりいっそうの説得力をもって響いてくるようだ。特に曲の最後に歌われた<ここまでの険しかった道のりは/神様が与えた試練だと思って/必ず届くと奮い立たせた/やっと僕らが全てを捧げたものの意味を知ったんだ>というフレーズはまさに、今をサバイブするためのお守りにだってなりそうじゃないか。

 「まだまだ実際にファンの皆さんの目の前で歌うことはできないけど、こうやって僕たちがバンドマンらしくあれる場所を用意してもらえたのは皆さんのおかげです」

 本編ラストを目前に、バンドを代表して雄大が改めて画面の前の一人ひとりに感謝を告げた。そして「ほんと僕たちはライブで生きてます。ライブがなかったらどこで僕たちの音楽を主張したらいいんだ?ってわからなくなるくらいライブが好きです。もし次に皆さんと会える機会ができたら、『出会ってくれてありがとう』っていう想いと、『なかなか会えない時期も応援し続けてきてくれて、今日もこうして会いに来てくれてありがとう』っていう想いを全力で届けたい。だからこれからも僕たちはどんな困難があっても折れずに頑張っていきます」と誓った。さらに、8月18日午前0時に新曲「Sunny drop」を配信リリースすること、加えて「もっともっと2020年の下半期ぶちアゲていきたいなということでバカみたいな挑戦をすることにしました」と、その前日に当たる8月17日に大阪城ホールにて無観客の無料配信ライブを行うことを発表。「スカスカの大阪城ホールのライブなんて今まで誰も観たことないでしょう?」と不敵に笑ってみせるのだから、やはりこのバンドはただ者じゃない。「画面越しで結構です。拳を突き上げて、一緒に想いを分かち合って歌ってください!」とラストは「拝啓、親愛なる君へ」。<居場所を求めて踏み出した一歩目/そんな時にあなたと出逢えた>と歌ってはメンバーを振り返り、一人ひとり指差してアイコンタクトを交わす雄大のなんといきいきとしていたことか。もちろん雄大だけではない。聡次郎も海斗も圭吾もねぎも、全身で歓喜を叫んでいるようだ。

 それにしてもこの日の5人はびっくりするほど無邪気だったように思う。アンコールの「Count on me」で海斗のもとへと聡次郎と圭吾が駆け寄り、3人で向かい合って弾いている様子に気づいた雄大が、歌いながらもお立ち台の上から降りて、少し羨ましそうにその様子を伺いにいく場面があったかと思えば、曲の後半、聡次郎と圭吾が今度は雄大の立っている台に2人揃って足を掛け、歌う彼を見上げつつプレイするという粋な計らいも。そんな2人をニコニコと見つめ返す雄大の表情は無邪気以外のなにものでもなかった。ねぎはねぎで終始、雄大の後ろで口を大きく動かして一緒に歌っているのが丸わかり。MCでもちょくちょくイジられてはうれしそうにしているのがおかしかった。5人のちょっとした表情や、楽器を操る細やかな指先、躍動感に満ちた動きの一つひとつまでをじっくり味わい尽くせたのは、もしかしたら配信ライブならではの利点かもしれない。超満員のライブハウスでそこまで視認することはきっと最前列に陣取れたとしてもなかなかに難しいだろう。それでもいつかは必ず生で向かい合いたい。ダイレクトにその熱を感じたいし、その場所にこの声を届けたい。それが本音だ。

 「今日は本当に素敵な1日をありがとうございました。下半期も最高に楽しんでいきましょう!」

 雄大が明るくそう告げて、オーラスは「スタートライン」で大団円。<オワリはハジマリに変えられるから everyday>、ならば今日の終わりは8月の大阪城ホール無料配信ライブに直結する新しいスタートでもあるだろう。大阪城ホールではバンド史上最大級の発表も控えているという。バンドにとって大事な発表になるからこそ、彼らの地元である大阪城ホールを選んだのだそうだ。はたしてその内容とは? そこに広がる景色はいったいどんなものなのだろうか。みすみす見逃すわけにはいかないだろう。

 ところで、終演後にはファンクラブ会員限定のリモート打ち上げも開催された。熱いライブを繰り広げたばかりのステージに再度5人が集結し、画面の向こうのファンとコメント・チャット機能を駆使しながら、ライブの感想などをあれこれ語り合うというスペシャルな企画だ。まずはNovelbrightの乾杯隊長、ねぎの発声によるソーシャルディスタンス乾杯。その後、今日の配信ライブを振り返り、「改めてありがたみとか、尊さとか、応援してくれている人への感謝がすっごい湧いてきて、『時を刻む詩』ではちょっとウルッときてしまった」と聡次郎が言えば、「わかる、“エモみ”がね」とねぎ。圭吾も「ライブってこんなやったな、めっちゃ楽しいわ!って思い出した」と声をはずませ、雄大は「ほんとライブを欲してて。飢えてました、ずっと。アコースティックもそれはそれで楽しいし、メンバーで音を合わせられているから幸せなんですけど、でもやっぱりバンドセットでライブをするのが僕たちの主戦場だから」と噛み締める。「ずっと家で練習ばっかりしてたけど、このためだったんやってやっと実感が湧いた。スタジオに入ってるときも、やっぱりみんなに届けたいからね、僕らは」という海斗の言葉にメンバー全員うなずいていたのも印象的だ。最後はねぎの叩き語り(カホンを叩きながら、Novelbrightの曲を歌うというもの)でグダグダながらも大爆笑でエンディング。ファンクラブだからこその飾らない彼らを堪能できた、貴重なひとときとなったことをここに付記しておきたい。

【取材・文:本間夕子】
【撮影:堀内れい子】

tag一覧 J-POP 配信ライブ 男性ボーカル Novelbright

関連記事

リリース情報

WONDERLAND

WONDERLAND

2020年05月27日

Emperor Driver

01.ランナーズハイ
02.Believers
03.君色ノート
04.Photo album
05.おはようワールド
06.ENVY
07.夜空に舞う鷹のように
08.夢花火
09.スタートライン
10.candle
11.Prologue -Before the dawn-
12.時を刻む詩

セットリスト

バーチャルブライト2020summer
~WONDERLAND release ONE MAN SHOW~
2020.07.11

  1. 01.ランナーズハイ
  2. 02.Believers
  3. 03.We are calling you
  4. 04.フォーリン・ヴィーナス
  5. 05.おはようワールド
  6. 06.ENVY
  7. 07.夜空に舞う鷹のように
  8. 08.君色ノート
  9. 09.ヒカリヘ
  10. 10.candle
  11. 11.また明日
  12. 12.夢花火
  13. 13.Heart voice
  14. 14.Photo album
  15. 15.Walking with you
  16. 16.Morning Light
  17. 17.Prologue~Before the dawn~
  18. 18.時を刻む詩
  19. 19.拝啓、親愛なる君へ
【ENCORE】
  1. EN1.Count on me
  2. EN2.スタートライン

お知らせ

■ライブ情報

バーチャルブライトSPECIAL at 大阪城ホール
~バンド史上最強の発表あります無料です~

08/17(月)大阪 大阪城ホール
※20:00~ 無料配信

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る