信じ続けてきたバンドの可能性と手応え、そしてNovelbrightの未来を5人で語る。

Novelbright | 2019.09.25

 美しいメロディーラインとヴォーカル・竹中雄大の圧倒的なハイトーンボイスを武器に、大阪を中心に活動する5人組ロックバンド、Novelbright。今年1月に新メンバーを迎え、新体制としてリリースしたミニアルバム『「EN.」』は、ピアノストリングスを取り入れたり、作詞に初挑戦したメンバーがいたりと、メンバーにとっての“挑戦”が詰まった1枚だという。路上ライブの模様がSNS上で話題を呼び、各種配信/サブスクランキングでも急上昇とネクストブレイク必至な彼らに、結成秘話や今作の制作に懸ける想い、そして、間もなく始まる『「EN. -アンピリオド-」RELEASE ONEMAN TOUR 2019』について語ってもらった。

Walking with you [Official Music Video]
EMTG:Novelbrightを最初に始めたのは雄大さんだそうですね。
竹中雄大(Vo):そうです。ほかの4人は、全員あとから加入したメンバーで、2013年僕が17歳の時にこのバンドを結成しました。Novelbrightの名前の意味は“新たな輝き”という、僕らが新しい光になれたらいいなっていう想いが込められています。
EMTG:その後、2017年にGt.海斗さん、Gt.聡次郎さん、Dr.ねぎさんが加入。さらに、今年1月にBa.圭吾さんが加入して現体制になりました。みなさん、どういう経緯でバンドに入ることになったんですか?
ねぎ(Dr):僕は雄大くんと、17歳くらいの頃からよく夢を語り合う仲で。僕が前のバンドを抜けるタイミングでNovelbrightの最初のドラムも抜けたので、声をかけてもらいました。でも、最初は断ってたんですよね。
雄大:武者修行に行くって。なぁ?(笑)。
ねぎ:新しくバンドを組む前に、もっとドラムを極めようと思って……。でも結局、「ねぎくん、どうせ俺とバンドすることになるで!」って、根拠のない説得をされて(笑)。こんな雄大くんと一緒やったら面白そうやなって思って入りましたね。
EMTG:ギターのおふたりは?
山田海斗(Gt):僕も前にやってたバンドの頃から雄大と知り合いやったんで、一緒にスタジオに入ったりしてて、雄大の声に魅力を感じてましたね。ただ、僕はねぎほど雄大と親しかったわけではなくて。逆に、ねぎとはめちゃくちゃ仲が良かったんです。だから、ねぎが入ったら安心だなっていうのが自分の中であって。自分が加入を決める前に、ねぎに「おまえ、絶対Novelbright入れよ」って言って入ってもらいました(笑)。
ねぎ:僕としては、最初に知り合ったバンドの先輩が海斗くんやったんです。しかも僕、海斗くんの前のバンドのライブをよく最前列で観てて。
EMTG:完全にファンじゃないですか(笑)。
ねぎ:当時から海斗くんはかっこよかったですね。そのバンドのライブでダイブしたり号泣したりもしました(笑)。っていうのもあって、断る理由がなくなりましたね。
沖聡次郎(Gt):で、ひとまず、前のベースと雄大・海斗・ねぎの4人でNovelbrightとして動くって決まってたみたいなんですけど……。実は僕、元々メンバーが使ってたスタジオで働いてて、店員とお客さんっていう関係やったんですよ。
EMTG:不思議な関係性ですね。
聡次郎:そこまで深く話をしたこともないのに、「ツインギターでやっていきたいから、入ってほしい」って声をかけられましたからね。でも、どういう人かお互いに全然知らなかったので、とりあえず一緒にスタジオに入ることになって。なんやかんやしてたら……気づいたら3年経ってました。
全員:はははは!(笑)。
聡次郎:音楽性っていうより、みんなと一緒にいて居心地がよかったので、それが加入の決め手だったのかなって思います。
雄大:うん、気持ちの面が大きいよね。正直、圭吾以外のメンバーと初めてスタジオに入った時って、音的にはグチャグチャやったんですよ。もちろん、最初から合うわけがないんですけど、全然合わなかったんです。でも、なぜかわからないけど、こいつらと一緒やったらいけるわ!って思って。
聡次郎:なんの根拠もないのにな!(笑)。今やったら、アホやろって思うんですけど、ヘンな自信がありました。
EMTG:その自信は、圭吾さんの加入時にも感じていましたか?
雄大:そうですね。僕はもう自信しかなかった(笑)。
ねぎ:特に、圭吾くんの加入にはドラマがありまして……。圭吾くんはもともと別のバンドをやっていて、Novelbrightとよく対バンしてたんですけど、その時は彼ドラマーやったんですよ。でも、Novelbrightの前のベースが抜けたあと、雄大くんと話していた時に「僕、一緒にやってみたいミュージシャンがいるんですよ」って言ったら、雄大くんも「俺も固まってんねん」って言ってて。それが偶然にも、ふたりとも圭吾くんだったっていう(笑)。
EMTG:それは、ドラムの前にベースをやっていた経験があったからとか?
圭吾(Ba):いや、全然ないです。ただ、ベーシストとかギタリストに憧れはあって、ベースは一応持ってたんですけど、鏡の前でポーズを決める程度しか使ってなくて(笑)。
ねぎ:圭吾くんをベーシストとして迎え入れようっていうのは、僕らの勝手な理想でしたね。
圭吾:しかも当時、僕は名古屋に住んでたんで、(Novelbrightが拠点としている)大阪とは距離があったんですよね。でも、対バンするうちに雄大と仲良くなって、月1くらいでふたりで飲みに行くようになって。
雄大:俺が名古屋に行ったこともあったけど、圭吾を大阪に呼び寄せたこともあったよな。
圭吾:夕方くらいに「飲みに行かへん?」っていきなり電話が来て、「今から行くわ~」って新幹線で飲みに行く、みたいな(笑)。
EMTG:フットワーク軽すぎません?(笑)。
圭吾:そのくらい仲良かったんです。それに、僕の中では、自分が別のバンドをやっていた時からNovelbrightが最高のバンドだっていう認識があったので、「キーボードでもいいから俺を入れろ」ってずっと言ってて。「ピアノとか欲しいやろ?」って。
全員:あははは!(笑)。
圭吾:だから、ベーシストでっていう話をもらっても、すぐに「やる!」って返事をして。翌日には大阪に飛びました(笑)。
EMTG:そんな衝撃の加入から早8ヵ月、新体制となって初のミニアルバム『「EN.」』が9月4日にリリースされました。このタイトルは……。
ねぎ:文字だけ見たら読めないと思うんですけど、“アンピリオド”と読みます。僕らからすると、“EN.”っていう表記は、セットリストを組む時のアンコールを意味する表記なんですけど、圭吾くんが加わって新体制として再スタートするNovelbrightと重なるなって思ったんですよ。しかも、アンピリオドを“unperiod”って読むと、ピリオドじゃない=終わらせないぞっていう意味もあるし。EN=縁とも読めるから、このアルバムを聴いてくれた人とのご縁がいつまでも続きますようにっていう想いも込めていて。そういった複数の意味が合わさった造語なので、タイトルに「」まで含めて『「EN.」』というタイトルにしました。
EMTG:トリプルミーニングなんですね。ミニアルバム『「EN.」』を制作するにあたって、圭吾さんが加入したことで、バンドの方向性や曲作りにはどんな変化がありましたか?
雄大:ほんまにいろんなことが変わりましたね。
圭吾:バンド周りのことで言うと、僕がアパレルブランドをやってることもあって、グッズのデザインも任されるようになったし。曲のことで言えば、今回の『「EN.」』は特に感じると思うんですけど、僕が加入したことで、大好きなNovelbrightの音楽にピアノストリングスの良さを強く反映できたなって思いますね。
聡次郎:曲を作る時って、僕と兄さん(海斗)がデモを作ったら、まずはみんなに聴いてもらって。その上に雄大がメロディーをつけて、各メンバーがアレンジを加えていくっていう流れになっているんですけど、圭吾くんってめちゃくちゃズバズバ言うタイプなんですよ(笑)。それってすごいことだと思っていて。自分がデモを上げたら、真っ先に圭吾くんが「こうしたほうがいいと思います」って言ってくれるので、より良い音楽にしようっていう気持ちが高まっているのを感じますね。音楽的にも、圭吾くんはピアノストリングスが好きで知識が豊富なので、ほかの4人だけやったら出てこないようなアイデアを出してくれます。
EMTG:バンドとしてできることが増えたんですね。
聡次郎:そうですね。でも、それぞれの楽器のポテンシャルを全部詰め込んじゃうと、ゴチャゴチャになっちゃうので。「何を一番聴かせたいのか?」をさらに意識するようになって、引き算を覚えました。前作『SKYWALK』(2018年10月3日リリース)よりも成長できた部分かなって思います。
EMTG:では、それぞれ、制作過程で特に挑戦した楽曲というと?
圭吾:そもそも、メインコンポーザーをやっていた前のベースが抜けて、もともとサブで作曲していた聡ちゃんと海斗くんがメインで曲を作ったっていうのが挑戦だよね? 「今の自分達だったら何ができるだろう?」って考え抜いて、たくさん形にして、それをひとつにギュッとしたアルバムなので。
海斗:そうですね。僕は「the Eternal oath」と「Rain Dancer」で初めて作詞をしました。「Rain Dancer」は、僕自身が夢を追ってきたからこそ、「ほんまに夢を叶えたいんやったら、人の言葉に左右されずにちゃんとやれよ!」っていう強いメッセージを書いて。逆に「the Eternal oath」は、僕は恋愛をしないんですけど、恋愛ソングですね。
EMTG:恋愛しないんですか……?
海斗:したいですけどしてないですね。実体験じゃないから書いちゃダメってことはないと思うんですよ。『ONE PIECE』だって、海賊が描いてるわけじゃないから(笑)。
全員:はははは!(笑)。
ねぎ:『ハリー・ポッター』も魔法使いが書いてるわけじゃないしね(笑)。
海斗:だから、あえて僕が経験しないような恋愛観を書いていて。雄大とはまた違った方向で歌詞が書けたんじゃないかなと思います。
雄大:僕も、出来上がった歌詞を見比べて、ほんまに真逆やなって思いました。
EMTG:雄大さんの歌詞は、「フォーリン・ヴィーナス」のような遊び心のある曲もありつつ、ご家族のことを歌っている「Revive」とか、リアルな恋愛のワンシーンを切り取ったような「ふたつの影」のように、等身大の言葉で伝えている印象がありますけど。
ふたつの影 [Official Music Video]

雄大:海斗くんは、言い回しのクールやつが多いですね。詩人っぽい。ポエマー?
海斗:ポエマーはそっちやろ(笑)。
雄大:でも、今回は僕も作詞の面で新たな挑戦をしていて。「Heart voice」は聡ちゃんが作曲して、僕が歌詞を書いたんですけど、初めて全部英語で書きました。僕らはロックバンドですけど、ロックバンドが好きっていう人にも、普段ロックは聴かへんねんっていう人にも聴いてほしいし。先日もねぎと圭吾とアメリカに行ってストリートライブをしてきたんですけど、将来的な野望としては海外でも活動したいんですよ。だから、いろんな方にNovelbrightの歌が刺さるようにしたくて。「フォーリン・ヴィーナス」もそうなんですけど、耳に馴染むメロディーとか、自分達らしい要素は大事にしながらも、振り幅が見せられたらいいなって思いながら歌詞を書きましたね。
EMTG:「Heart voice」は英詞だからか、スケールの大きさを感じました。それこそ、洋画のエンドロールで流れていそうだなって。
聡次郎:まさに、僕がこの曲のデモを雄大に送る時に言った一言が「タイタニック」でした(笑)。
雄大:せやな。でね、僕、歌う時は歌姫になりたいんですよ(笑)。海斗くんは池田エライザさんに憧れてるらしいんですけど、僕はセリーヌ・ディオンとか、ホイットニー・ヒューストンみたいな圧倒的な歌姫に憧れてて……。
EMTG:どこから突っ込んでいいのかわからないんですけど(笑)。
海斗:僕、池田エライザさんのファッションが好きなんですよ。髪を切る時も彼女の写真を見せてて(笑)。
雄大:っていう、海斗くんとはまた違うベクトルの憧れを歌に反映させました!
EMTG:リズム隊のおふたりの挑戦は?
圭吾:ベーシストとしては全部挑戦ですね! 伸びしろしかない(笑)。リード曲の「拝啓、親愛なる君へ」は、僕が初めてドラムのフレーズや曲の構成にも深く関わりました。元ドラマーだからこそできる表現というか、要所要所で必要なフレーズを散りばめて、1曲を通して聴いた時にきれいな流れになるように作りました。僕はまだひとりで曲を作ったことがないんですけど、今後ひとりで曲を作るようになったら、もっとそういうカラーが出てくるのかな?っていう可能性も見せられたなと思います。
拝啓、親愛なる君へ [Official Music Video]

ねぎ:僕は「Heart voice」のレコーディングがいちばん印象的ですね。今まではドラムのレコーディングしかやってこなかったんですけど、今回はシェイカーっていう楽器にも挑戦しました。シェイカーはパーカッションの種類のひとつなんですけど、今って打ち込みで入れられるんですよ。でも「生でやってみたい」って言って。とはいえ、シェイカーを使ったことがなかったので、ドラムの師匠に来てもらって、使い方もイチから教えてもらって録りました。
聡次郎:シェイカーもそうだし、生音にこだわるっていうのは僕ららしさかもしれないですね。たとえば、5曲目に『parade -Я-』っていうインストの曲があるんですけど、その中の鳥の鳴き声も雄大の口笛だし。
EMTG:今年世界大会で2位をとったという、あの伝説の口笛ですね!?
雄大:あはははは(笑)。
聡次郎:僕、機械では出ない、温かいグルーヴ感ってあると思ってて。そういう意識でどの曲も取り組んだ結果、1枚通して聴いた時に、より生感の強い音像になったなって思いました。
圭吾:「Rain Dancer」で鳴ってるコインが落ちる音も、みんなで何円がいいかって試しながら録ったしね(笑)。
海斗:結局、何円がよかったんやっけ?
聡次郎:100円と5円を同時に落とす(笑)。
圭吾:しかも、服が擦れるとその音まで拾っちゃうんで、聡ちゃんは全裸で録ってました(笑)。
EMTG:いい話だったのに、まさかの全裸オチでした(笑)。最後に、9月27日から『「EN. -アンピリオド-」RELEASE ONEMAN TOUR 2019』が開催されますが、こちらへの意気込みはいかがですか?
圭吾:今は路上ライブもやっていて、そこでは普段の僕らの仲の良さやグルーヴ感を感じていただけると思うんですけど、毎回メンバー5人で路上ライブをやっているわけではないので、ツアーでは完全体の僕らを観てほしいですね。
雄大:路上ライブやSNSに上がってる動画でアコースティック編成を見ているけど、本来のバンド編成のNovelbrightを初めて見る、ライブハウスに初めて来るって人も多いと思うしね。
ねぎ:そうですね。SNSで注目していただいて、それをキッカケに新たな出会いがあることはめちゃくちゃありがたいと思っているんですけど、僕らは路上ライブをメインでやっているアコースティックのバンドではないですから。ツアーではライブハウスならではの圧倒的なロックバンドのライブを見せるので、楽しみにしていてください!

【取材・文:斉藤碧】

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リリース情報

「EN.」

「EN.」

2019年09月04日

Emperor Mode

01.Revive
02.the Eternal oath
03.ふたつの影
04.フォーリン・ヴィーナス
05.parade -Я-
06.Rain Dancer
07.Heart voice
08.拝啓、親愛なる君へ

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

「EN. -アンピリオド-」RELEASE ONEMAN TOUR 2019
9/27(金)宮城 仙台spaceZero
10/4(金)愛知 名古屋ell.SIZE
10/17(木)東京 渋谷TSUTAYA O-Crest
10/30(水)福岡 天神Queblick
11/10(日)大阪 阿倍野ROCKTOWN

『「EN.」』発売記念ミニライブ&特典会
10/5(土)愛知 タワーレコード名古屋パルコ 西館1Fイベントスペース
10/12(土)福岡 キャナルシティ博多B1F サンプラザステージ
10/26(土)香川 丸亀町グリーン1Fけやき広場



7秒とロック
9/29(日)東京 下北沢ライブハウス4会場

葡萄祭2019 Brand New Festival
10/12(土)福岡女学院大学メインステージ

FM802 30PARTY MINAMI WHEEL 2019
10/14(月・祝)大阪 心斎橋周辺ライブハウス20会場

AliAliVe 2019 -realize-
10/19(土)広島 Cave-Be
10/20(日)岡山 LIVEHOUSE IMAGE
11/4(月・祝)岩手 The five morioka
11/5(火)福島 KORIYAMA CLUB #9
11/22(金)香川 高松TOONICE

KNOCKOUT FES 2019 autumn
11/2(土)東京 下北沢ライブハウス10会場

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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