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日本全国のライブハウスを繋いだ日本最大級のオンラインサーキットフェス「NIPPON CALLING 2020」レポート第1弾!

NIPPON CALLING 2020 | 2020.10.10

2016年から始まった日本最大級のサーキットフェス「TOKYO CALLING」。東京の下北沢、新宿、渋谷を拠点に開催していたが、今年はご存知の通り、新型コロナウイルスの影響を考慮し、全国のライブハウスへと輪を広げたオンラインサーキットフェス「NIPPON CALLING」として開催。9月21日・22日の2日間に渡り、全国51会場計204組のアーティストが激戦を繰り広げた。ここでは初日の新宿LOFTに加え、隣接した新宿LOFT barで行われたライブの模様をお伝えしたい。

【MOSHIMO】
 まずは福岡発の4人組、MOSHIMOが登場。「NIPPON CALLING!」と紅一点・岩淵紗貴(Vo/G)が叫び、一瀬貴之(G)がクラップして場を盛り上げると、「猫かぶる」でスタート。躍動感溢れる高島一航(Dr)のドラムを含め、ヘヴィなミクスチャー的ノリを刻みつける曲調が気持ち良し。キャッチーなメロディも訴求力が高く、バンドのグルーヴに惹き付けられていく。「触らぬキミに祟りなし」に移ると、岩淵は持ち前のハイトーンボイスを発揮する一方、「久しぶりのライブで私たちも楽しみにしてました! 凄い時代に突入した!映像を通して繋がれる」と喜びを露にする場面もあった。「バンドマン」ではベース、ギター、ドラムとソロパートを繋いでプレイ面の見せ場もアピール。「電光石火ジェラシー」に入ると、<OUT セーフ よよいのよいよい>と合唱フレーズを織り込み、岩淵はスマホ片手に視聴者の反応を見て、場を盛り上げていった。その活気はいるはずのないフロアに観客がいるような気さえしてきたほど。ラストは裏声を巧みに織り込んだ「命短し恋せよ乙女」で締め、終始エネルギッシュなステージングで魅了した。

【Ezoshika Gourmet Club】
 爽やかなメロディを武器に、一癖も二癖もあるロックバンドの強味をアピールしたのはEzoshika Gourmet Club。冒頭曲「東京」を終えると、「お久しぶりです!」と池澤英(Vo/Gt/Key)が挨拶し、主張激しい松下和樹(Ba)のベースと共に「春風」へと突入。演奏は加速の一途を辿り、視聴者にもその勢いは十二分に伝わったことだろう。リズミックなリフが刻まれると、「猫と占いと家具屋」へ。宙空を舞う鍵盤、オルタナティブなエッジ性、パワフルな守屋優樹(Dr)のドラムも加わり、熱情迸るロックを叩き付ける。「青山通り」を挟んで、「半年ぶりのライブになります」と池澤が発言。そして、10月に1stミニアルバム『モミジノススメ』を発売することを告げ、そこに収録された「昨日の月にさまよえば」を披露。幻想的な鍵盤をイントロにストーリー性豊かな曲調で聴かせてくれた。最後に「六畳間のヒーロー。」を披露し、どこか屈折した曲展開でバンドの懐の深さも魅せつける。どこか掴めそうで掴めないユニークな音楽的手腕に引き込まれた。

【ザ・リーサルウェポンズ】
 ザ・リーサルウェポンズはいろんな意味で衝撃アクトの筆頭株と言っていい。80’S、90’Sカルチャーから出てきたようなアメリカ生まれのサイボーグジョー(Vo)と彼を発明した日本人プロデューサーのアイキッド(Gt/Key)によるユニット。ド派手なサウンドが場内に響くと、「80年代アクションスター」でライブは開始。曲名通りに身振り手振りの激しい動きを交え、元気溌剌とした歌声を視聴者に訴えていく。「シェイキン月給日」に入ると、アイキッドが無人のフロアにスナック菓子を投げ込み、床にお菓子が静かに転がる光景はなかなかシュールであった。ここでジョーがMCを挟み、先週群馬に行き、もつ煮と焼き饅頭を食べましたと報告。その流れから食べ物にちなんだ新曲「半額タイムセール」を披露。腹にズシリと響くビートはインパクト大で、アッパーに振り切った曲調も刺激性に富んでいた。それから「クールジャパン」、「特攻!成人式」と日本をテーマに掲げた楽曲を連発。どちらの曲もつい口ずさみたくなるファニーな歌詞で頭から離れなかった。バイク音が鳴り響くと、次は「Super Cub is No.1」をプレイ。ノリのいい軽快な音を振り撒き、最後は「ホッピーでハッピー」で締め括る。明るさ全開で突っ走りながら、エンターテイメント性に優れたステージングで耳目を釘付けにした彼ら。今後に要注目だろう。

【ユレニワ】
 魂のこもったパフォーマンスで新宿LOFT barのステージからハミ出す爆発力を発揮したのはユレニワである。クリーントーンのギターが響くと、「Bianca」で幕を開け、特にシロナカムラ(Vo/Gt)の繊細にして剛胆なボーカルには心を鷲掴みにされた。感情のグラデーションを鮮明に突きつける歌声がやけに生々しくてリアルなのだ。「遺書」に突入すると、バンドアンサンブルはヒートアップし、観ているだけで手に汗握る緊張感に襲われた。そうしたビリビリとした現場の空気は視聴者にも伝わったのではないだろうか。勢い余って、シロの弦が切れてしまうハプニングもあったが、残りのメンバー3人が急場を凌ぐようにインストを奏でる様も頼もしかった。「わりーな、わりーな、ごめんな」とシロが謝った後、「Cherie」、「fus?e 101」と畳み掛け、ピンチをチャンスに変える怒濤の演奏力にも大興奮。続く「まぼろしの夜に」のドラマチックな展開も秀逸であった。「好きな人に贈る歌です」と言うと、「バージン輿論」を最後に披露。爪先立った激情ロックを炸裂させ、後半にシロはステージ下のフロアに出向き、感情のすべてを投げ打つ豪快なシャウトを見舞う。その鬼気迫るパフォーマンスに釘付けになった。

【Wienners】
 「みんな久しぶり元気っすかー!」と玉屋2060%(Vo/Gt)が呼びかけると、Wiennersはフルスロットルで駆け抜ける豪放なライブを叩き付ける。「MY LAND」が始まると、玉屋2060%、アサミサエ(Vo/Key/Sampler)の息の合った掛け合いボーカルを披露。疾走ナンバー「ANIMALS」では∴560∵(Ba/Cho)はヘドバンしながらプレイしたりと、メンバー自身がこの瞬間を心底楽しんでいる様子だった。演奏が終わると、「爆音、気持ちいいー!早くこの場所を分かち会えるように」とMCしていたが、それは視聴者も同じ気持ちだろう。ダンサブルな「蒼天ディライト」に入ると、まるでバンドとフロアがぐちゃぐちゃに混ざり合う景色が脳裏に浮かんでくるようだった。「今、俺たちめちゃくちゃ楽しい! 最後まで付いて来てください」と言うと、「Kindergarten Speed Oprchestra」へ。カオスな勢いで走り抜けるサウンドを聴いているだけで、笑顔が零れる痛快さ。「画面の前の皆さん、付いて来てますか? スタッフも」と現場にも気を配った後、「辛い人や苦しい人、人生にはまだ先がある」と力強く言い切る玉屋2060%。さらに「俺たちに必要なのはユニティなんだ」と付け加え、「UNITY」をプレイ。同じ場所は共有できなくとも、音楽でひとつになれる。そのメッセージ性は視聴者にも届いたに違いない。ラストのパーティーチューン「FAR EAST DISCO」まで隙のないアグレッシブな演奏に身も心も熱く焦がされた。

【忘れらんねえよ】
 新宿LOFTのトリを務めたのは忘れらんねえよ。「配信は配信で面白いじゃん。俺らも観ている人もドキドキできる」と柴田隆浩(Vo/Gt)が語る通り、この日はLOFT名物の代名詞とも言える黒白の市松模様フロアにて、柴田とサポートメンバー3人が輪になる形でパフォーマンスを決行。「運動ができない君へ」が始まると、初っ端から柴田はエモーショナルに歌い上げていく。無人のステージにも煌々とライトが照らされ、会場全体がロマンチックなムードに包まれていた。「別れの歌」の出だしを間違えて再度やり直す場面はご愛嬌。その後に「普段やらない曲」と呟き、「7.1oz」をプレイ。哀切なメロディを存分に響かせ、間髪入れずに「この高鳴りをなんと呼ぶ」に移る流れも良かった。
 今回、「TOKYO CALLING」を「NIPPON CALLING」と名称を変え、全国に繋ぐアイデアを誉め称える柴田。「今、一番伝えたいこと」と言い放ち、ここで「喜ばせたいんです」を披露。ストレートな言葉にありったけの思いを乗せ、ハートフルな歌心を詰め込んだ曲調はお世辞抜きで素晴しかった。アンコールはお祭り感満載の「ばかばっか」を演奏し、柴田は途中バーカウンターでビールを一気に飲み干す奔放ぶりも発揮。曲のアウトロでは耳をつんざく爆音を轟かせ、「NIPPON CALLING」初日を盛大に締め括ってくれた。

【取材・文:荒金良介】

tag一覧 ライブ NIPPON CALLING 2020 MOSHIMO Ezoshika Gourmet Club ザ・リーサルウェポンズ ユレニワ Wienners 忘れらんねえよ

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セットリスト

NIPPON CALLING 2020
2020.09.21

    <MOSHIMO>
  1. 01.猫かぶる
  2. 02.触らぬキミに祟りなし
  3. 03.バンドマン
  4. 04.電光石火ジェラシー
  5. 05.命短し恋せよ乙女
  6. <Ezoshika Gourmet Club>
  7. 01.東京
  8. 02.春風
  9. 03.猫と占いと家具屋
  10. 04.青山通り
  11. 05.昨日の月にさまよえば
  12. 06.六畳間のヒーロー。
  13. <ザ・リーサルウェポンズ>
  14. 01.80年代アクションスター
  15. 02.シェイキン月給日
  16. 03.半額タイムセール
  17. 04.クールジャパン
  18. 05.特攻!成人式
  19. 06.Super Cub is No.1
  20. 07.ホッピーでハッピー
  21. <ユレニワ>
  22. 01.Bianca
  23. 02.遺書
  24. 03.Cherie
  25. 04. fusée 101
  26. 05.まぼろしの夜に
  27. 06.バージン輿論
  28. <Wienners>
  29. 01.MY LAND
  30. 02.ANIMALS
  31. 03.蒼天ディライト
  32. 04.Kindergarten Speed Oprchestra
  33. 05.プロローグ
  34. 06.UNITY
  35. 07.FAR EAST DISCO
  36. <忘れらんねえよ>
  37. 01.運動ができない君へ
  38. 02.別れの歌
  39. 03.7.1oz
  40. 04.この高鳴りをなんと呼ぶ
  41. 05.喜ばせたいんです
  42. 【ENCORE】
  43. EN.1ばかばっか

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