Charisma.comが今年3月に発表したミニアルバム『愛泥C』以来、約8ヵ月ぶりとなるフィジカル作品「unPOP」をリリース。全4曲入りのEPとなった今回の作品をCDで買えるのはライブ会場と所属レコード会社の通販サイトのみ。デジタル音源であれば各配信サイトでも購入可能、iTunesでEPをまとめ買いすれば、さらに1曲「SEMI SWEET」という曲も無料でゲットできる。
　ちなみにこの曲、彼女たちの記念すべき初セルフプロデュース曲。歌詞は、今夏に雑誌「TV Bros.」の企画で行ったファンとの蝉の抜け殻採り大会にインスパイアされたと思しきもので、蝉の羽化を甘～いラブソングのように上位変換。彼女たちらしいヒネクレ具合に思わずニンマリしてしまう。

　本題に戻ると、今回のEPはコラボーレーションが大きなコンセプト。初顔合わせのコラボもあり、「新しいことをやってみたい！」という彼女たちのフットワークの軽さと逞しい実験精神が感じられる。
　タイトル曲の「unPOP」は、今年8月からAbema TVで月イチ放送された番組「Charisma.company 生ホウレンソウ～番組中に1曲作ります!!～」から生まれた楽曲。視聴者から募集した“痛くて泣けるエピソード”をベースにMCいつかが作詞。サウンドプロデューサーには初手合わせとなる西寺郷太を迎え入れて完成させた。テーマは盛り過ぎ・やり過ぎ・凝り過ぎな現代へのアンチテーゼ。しっとり聴かせるヴァースで晴れない気持ちを表現し、サビではパーティラップ風のビートにテンポアップして憂さ晴らしといった感じの構成がユニークで印象に残る1曲だ。
　2曲目の「999」は、かつて「チャンコイ」でタッグを組んだアルファのDJ兼トラックメイカー、TOMOTHがプロデュース。わずかにエキゾなエッセンスも感じ取れるフューチャーベース風のナンバーに仕上がっている。はたしてタイトルの数字は何を意味するのか。それは今後、ライブのMCなどで本人たちの口から明らかにされていくことだろう。
　3曲目「もや燃やして」は、キリンビール「のどごしオールライト」のキャンペーンコラボソングとして今夏に公開されていた曲の待望の音源化。元DOPING PANDAのフルカワユタカが手がけた疾走感あるビートに乗せ、女子が恋愛や仕事、友達関係などで感じるモヤモヤとイライラを代弁して焼却処理、スッキリさせてくれる。
　4曲目の「恨み積もって山となる」は、「お局ロック」をプロデュースした岩渕マサルと再タッグ。身の回りのインチキや世の中の不正に対する恨み辛みを抱えながらも、目をつむってやり過ごしてしまう自己矛盾をテーマにした曲で、ヴァース部分の攻撃的高速ラップがカッコイイ。

　iTunes限定の「SEMI SWEET」も含め、どの曲もこれまでのCharisma.comの曲調に新味をプラス、コラボという手段を使って自分たちに新風を吹き込んだ本作。恐らく2人も“何が生まれるかわからない”というガチャポンみたいなワクワク感を抱えながら制作したことだろう。これが次なるチャプターへの序奏となっているのかはわからないが、Charisma.comの“今”を知るには絶好の一枚だ。

【文：猪又 孝】