レビュー

SPYAIR | 2010.12.17

<悲痛>

別にこれを、僕はネガティブな言葉とは捉えていない。何故ならば、このような感情を用いてしか、想いを伝えられない者もいるし、伝わらない場合もあるからだ。僕の中で、まさにこのSPYAIRはそんなバンド。そして、1stシングル「LIAR」でおぼろげながら、感じていたこのバンドへの上記の印象は、今回の2ndシングル「Last Moment」で更に強固なものとなった。そう、今回の彼らのニューシングルは、どの曲も心の中の<悲痛さ>が、歌や演奏という感情移入のメゾッドを通し、聴く者の心を鷲づかみにし、同調させるものばかり。

ハードなディストーションギターとドライブ感のある演奏と、サビでの上昇感のある4つ打ちと裏打ちの16分のハイハットが印象的な、“生涯君にとって自分は、君や己の思い描いている自分で居続けることが出来るのか?”が問われるタイトル曲。サビでのテンポアップし、駆け抜けるようなストレートさと、そこへ向かうまでのモヤモヤのコントラストが、まるで歌の主人公の心情を表しているかのような、インディーズ時代の代表曲のリマスタリング曲「哀より愛し」。そして、ダークでヘビーなギターリフと、ラウドなビート、若干のインダストリアル性のあるサウンドと共に、“現実はドラマみたいに大団円でキレイでドラマチックなものじゃない”と歌われる「ノンフィクション」。M-4には、ストリングスもブワッと広がっていくスケール感のあるサウンドの上、ノドが張り裂けんばかりに、“この想いよ届け!!”と歌われるところもあれば、傍らでの心に秘めた想いを伝えるようなデリケートさも持ち合わせたダイナミックなバラード曲「Just Like This」を収録。

是非、彼らの<悲痛さ>に心も身体も激しく踊らせて欲しい。

【池田スカオ和宏】

リリース情報

Last Moment

このアルバムを購入

Last Moment

発売日: 2010年12月01日

価格: ¥ 1,143(本体)+税

レーベル: SMAR

収録曲

1.Last Moment
2.哀より愛し(re-mastering)
3.ノンフィクション
4.Just Like This

スペシャル RSS

もっと見る

トップに戻る