レビュー
ストレイテナー | 2011.01.12
いやー、あがるね~。グイグイくるし、ヒリヒリ、ザラザラする。ロウでラフ、それでいて作品全体に漂う緊張感もたまらない、ストレイテナーのセルフカバー集。こういった録り直しは彼らにとっての初の試みのようなのだが、今の4人態勢になってならではのライヴ感と、スタジオならではの上がり過ぎない高揚感と勢いが上手く1枚に収まっている。
多くの方はご存じの通り、彼らストレイテナーは、当初ドラム&ボーカル/ギターの2人組から始まった。そこから2004年にベースを加え、2008年には、その頃よりボーカル&ギターのホリエがステージでキーボード/鍵盤を弾き出したこともあり、ギターをもう一本加え、時に2本のギターで、時にギター&キーボードといったスタイルを、都度取ってきた。現在はすっかり4人組になってきて、ライヴでも代表曲や定番曲も増えてきたんで、「ここらでいっちょ、現在の自分たちでかつての2人~3人編成だった頃の曲を録り直してみる?しかも、ラフに一発で(笑)?」なんて声も聴こえてきそうな今作。
それもあってか、今回はグイグイとくるいさぎの良いギターロックバンド、ストレイテナーが楽しめる1枚に。そう、今回はホリエのピアノや美しい曲はお休みなのだ(笑)。
アルバムのトップを飾る新曲「VANISH」からして最高な今作。イントロのギターカッティングに、日向の歪んだベースが入り、ナカヤマのドラムなタイトなリズムを加え、バンド感を生み、そこにポップなホリエの歌が乗り、大山のギターが色を加え、更にはラストに向かうに連れの高揚感と、長回しのライトハンドが煌びやかな面を見せてたりしてたまらない。しかも、勢いだけでなく、ボーカルのエフェクトや、抜き差しや強弱をつけ、ラストはとてつもなく高みに連れていってくれる。「BERSERKER TUNE」もスリリングさと勢い、それでいてキチンと抜き差しによるドラマ性、それから何よりもドライヴ感が増しているし、他にも不穏さとダンサブルさを増した「SPEEDGUN」、より上昇感も増した「SING」、エモ度や刹那度も上がった「PLAY THE STAR GUITAR」、より歌が全面に出た「CLARITY」、更にスケール感とダイナミズムの増した「TODAY」等、メリハリや抜き差しを活かした勢いと、カッコ良さの同居した1枚となっている。
聞くところによると一発録りらしいし、まことにライヴに於ける現在の彼らの攻めの部分(もう一面がホリエが弾く鍵盤に合わせた美しさの部分)がたまらない今作。シングル曲や代表曲ではなく、あえてライヴでお馴染みだったり、人気があるシングルのカップリング曲をリメイクするところも、自分たちはライヴバンドだという自負と潔さを感じてならない。
【 文:池田スカオ和宏 】