レビュー
EXILE | 2011.03.11
2011年にEXILEが掲げた「5大プロジェクト」、その第1弾となるのがこのニューアルバム『願いの塔』だ。ニューアルバムと言っても、昨年6月のダブルマキシシングル「FANTASY」は8曲入りだからほとんどアルバムと言えるものだったし、その「FANTASY」収録曲の多くや、最新シングル「Each Other's Way~旅の途中~」、3年連続のレコード大賞受賞曲「I Wish For You」などをパッケージした『願いの塔』は、もはやベスト盤と言っても過言ではないほどの圧倒的な内容で、相変わらずのモンスターぶりである。
だが、昨年リリースされたスタジアムライブのDVD「EXILE LIVE TOUR 2010 FANTASY」を観たときにも感じたことだけど、EXILEはただ単に"物量"というもので圧倒するだけのグループではない。7人もの新メンバーを加えて総勢14人とか、シングルなのに8曲入り(ボーナス曲も加えれば9曲)とか、ともすれば話題性だけと捉えられるリスクを蹴散らすように、しっかりとその物量の隅々にまで血を通わせ、意味をもたせている。決してハリボテではなく、EXILEにしかできないエンタテインメントを構築しているのだ。それを休むことなく次々に世の中にぶちかましてくるEXILEというチームのすごさには、もう脱帽するしかないだろう。
そしてこの『願いの塔』でのさらなる進化は、EXILEという基地から放たれる巨大なエンタテインメントのパワーをリスナーが受け止めていたこれまでとは違って、作品全体を"願い"というテーマで貫き、とっても温もりのある想いや祈りを、聴く者ひとりひとりの手元までEXILEが届けてくれるということ。"願い"には身近なことやパーソナルなこと、そしてラストに収録されたハイチ大地震復興支援チャリティー曲の「One Wish」のような大きなテーマまで様々だし、奇しくも最近はニュージーランド大地震という悲しい出来事も起きてしまったが、そんなあらゆることへの僕らの願いを、EXILEがすぐ側に寄り添ってサポートしてくれるような温度感のあるアルバムなのである。
そこにはネガティブな感情なんて一切存在せず、未来への希望に満ちあふれた歌とパフォーマンスを届けてくれるEXILEがいる。それが、EXILEの存在意義なのだろう。
【 文:小野瀬正人(memory motel)】
リリース情報
願いの塔
発売日: 2011年03月09日
価格: ¥ 2,914(本体)+税
レーベル: rhythm zone
収録曲
1. Each Other’s Way ~旅の途中~
2. I Wish For You
3. Miracle
4. 願い -Album Version-
5. GOING ON
6. 手紙
7. Orion
8. もっと強く
9. 掌の砂
10. VICTORY
11. My Station
12. 24karats STAY GOLD
13. Interlude for One Wish
14. One Wish (CD初収録)