レビュー
平井堅 | 2011.05.02
「PART.1」での全世界的な人気と評価。日本国内に於いては、近年まれにみる高視聴率を受け、この春の人気No.1ドラマとして放映前から話題となっていた日曜劇場「JIN-仁-」完結編。初回の視聴率も、4月期ドラマの最高視聴率をマークし、その下馬評通りの好スタートを切った。
そのエンディングで起用されているのが、この平井堅の「いとしき日々よ」。そこまで特にタイアップ告知もなかったため、あのエンディングで彼の壮大なバラードが流れ出し、その起用を知った方も多いことだろう。
平井のアーティスト活動15周年のしめくくりにピッタリな同曲は、彼にとっても約3年ぶりとなるドラマ主題歌。特有の絶唄が、聴く者の胸を締めつけ、愛しい人の姿を思い浮かばせる素晴らしいナンバーだ。
そんな同曲を共作詞し、トータルプロデュースを担っているのが松尾潔。そうMr.KCだ。平井のファンならピンとくるであろう、この組み合わせ。10年ぶりにタッグを組んだこのコンビこそ、過去『gaining through losing』『THE CHANGING SAME』の平井堅2枚のミリオンアルバムを世に送り出したゴールデン・ペアだったりする。
そんな2人の組み合わせらしい同曲は、6分にも渡るドラマティックな大曲。ドラマのストーリーや場面場面を思い浮かばせながらも、それだけに捉われない広い意味での愛しさや愛、絆や永遠性を感じさせてくれる。ピアノの弾き語りから優しく、柔らかく歌い始められながらも、歌われるその1フレーズ1フレーズがドラマの場面場面や、愛しい人との一場面一場面と重なり合い、徐々に広がっていくストリングスと絡み合い、とてつもない雄大なドラマや物語を聴く者の頭の中に広げていく。今は会うことが出来ていない愛しい人と再び出会い、一緒に暮らせるというブリリアントな希望も多分に含まれている同曲。クライマックスでも、あえて歌いあげず、その直前で、優しさと力強さ、雄々しさまでの表現にとどめている歌唱も特徴的だ。
ドラマ同様、広いテーマや永久性や永劫感を多分に感じ、再び出会える希望、一緒に暮らせる夢を聴く者に与えてくれる同曲。そう、「いとしき日々よ」と、過去の黄金時代を振り返り歌われているように響くかもしれないが、その実、今作はキチンと未来や前、いつかやいつの日にかに想いを馳せさせてくれる、懐の深い楽曲だったりする。
【文:池田スカオ和宏】