レビュー
MONOBRIGHT | 2011.05.10
うーん、ますます今後のMONOBRIGHTのライブが楽しみになり、且つ楽しくなりそうなアルバムだ!
より肉体的になったというか、躍動的になったというか。まさしく、この時期にピッタリな毎年恒例BRUTUSの「まだ夏に間に合う肉体改造計画」よろしく、ヒダカトオルによる「MONOBRIGHT肉体改造計画」は大成功といえるだろう。夏フェスを視野に入れた、まさに夏に間に合ったって感じの作品だ。あとは、ライブでこれをどれだけのクオリティで再現できるかだな(笑)。出口(ベース)、タッキ―(ドラム)頑張ってくれ(笑)。
と言うのも、今回の進歩は、やはりリズム隊。いかんせんドラムは変幻自在にいろいろなタイプのリズムを叩き出し、加え疾走感や激走感のある曲は半端ない。そして、ベースは楽曲をグリグリグイグイ引っ張る曲が多分になってるし、複雑なルートやスクエアながらベースが際立つ曲も多い。が故に、松下のギターも自由に伸び伸びと、イキイキ痛快に、作品を遊び、泳ぎ回り、桃野のボーカルも各曲毎に激変した歌い方をしつつも、これまでになかった新たな振り幅をこれでもかと言わんばかりに、ねじ込めている。そして、それを解放、自由にさせているのが、やはり今のMONOBRIGHTのジェネラル、ヒダカトオルに他ならない。まさに五位一体だな、このアルバムは。
今思えば、元々彼らにもダンス的な要素やノリの良い曲も多数あったが、それらはどこか頭を中心とした計画/計算的に踊らせたり、ノらせたりするものばかりだったような気がする。しかし、このアルバムは何も考えさせずに、気がついたら踊らされていたり、大ノリしていた類い。中には首根っこつかまれたり、血沸き肉踊る的な強引さもあるけど、基本、以前の頭でっかちに、キチンと身体もついてきたというか。もう、各曲に宿る躍動感や生命力が全然違う。加え、歌詞も、よりメッセージさを増したというか。表層、脳天気で肉体的に豹変と思わせておきながらも、しっかりと自分に置き換えて考えさせるものばかりだ(一部例外あり)。
楽曲にしても、分かりやすい肉体改造的なナンバーはさておいても、「踊りませんか」や「Pet」のようなニューウェービーな曲も、従来そのままならず、ダンサブルさや上昇感を交え、新しいものとして提示している。「夜明けのパル」のラストに向かうダイナミズムや、「スロウダイヴ」のシューゲイズ性は、前述の肉体性とは対照的に、実にMONOBRIGHTらしい快楽や甘美を味あわせてくれる。
自分の中では、<変身>や<変化>というよりは、<脱皮>と捉えたい今回のこの『ACME』。シンガロングな箇所も数多になり。文系中心の彼らのファンが、心を開いて大声で呼応するのか?等にも興味は尽きない。
ライブでは今まで以上に過呼吸になっちゃうファンが多数出そうな今作。まだ、夏に間に合う。今から万全な体力づくりで、この屈強なアルバムに対抗しよう!!【池田スカオ和宏】